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112話

リアから他にも儀式の怪物についての話を聞き、キクヒメに纏めさせた。

その後は少し世間話をしていたが、リアの方が用事があるとかで通話はそこで終わった。


「それにしてもだ」

「はい」

「フィアが儀式の事を知らなかったとなると、秘匿されてはいるんだな」

「そのようですね。それなりに長い時間を生きていましたが、聞いたこともございませんでした」

「20年に1回・・・まぁ普通の人間で考えれば長いわな」


フィアたちにとっては違うのだろうがな。

それくらいその儀式が続いていたのか知らないけど、かなりの人数が犠牲になっているはずだ。

だがそれをフィアが知らなかった。つまりは、かなり厳重に隠されていることになる。


「その割にはアルカナはあっさり喋ったが」

「恐らく、コウ様が流れ人だからかと」

「俺が?」

「はい。この世界の住人でないコウ様なら、お話ししても問題ないと思うのは自然なことですので」

「ふーん。そんなもんか」


後は俺の状況もあるのかもな。

社会的な地位を持っている知り合いなんてリアくらいだし。

そのリアは色々例外で儀式の事を知っていてもおかしくない存在。


俺自身は村や基地にいてこの世界の社会とはほとんど関わってない。

だから話でも、秘密をばらされるといった危険性が低いと思ったのだろう。


フィアの言うことは・・・まぁこれはこの世界の住人の流れ人に対するスタンスの問題かな。

だから俺にはちょっと理解出来ないことだ。


「まぁ問題はなさそうで良かったな」

「・・・いえ。問題はあると思うのですが」

「ああ。海路の問題だろ?んなもん本当なら最初から悩むもんなんだから今更だろ」


リアは自分達が手を出すことで人間が自立出来なくなるのではないかという理由で手を出さなかった敵。

実際の所はそれだけではないだろう。

恐らく、リアもモルトン王国の人間に頼られれば普通に倒したと思う。

俺のリアの印象じゃ、何だかんだいってお人よしのそれだからな。

てかレギアスの知り合いって時点でそうだと思う。


だが頼られることもなかったと俺は考えている。

まぁ損得勘定の問題だな。20年に1人。それだけの犠牲で本来は危険なはずの海を比較的安全に渡れる。

それは大きな得だろう。海運業を営んでいるのなら、間違いなく食いつく利益だ。

命が地球に比べてあっさりと失われることの多いこの世界では猶更だ。


「胸糞悪い話ではあるがな」

「・・・コウ様は、いかがなさるのですか?」

「・・・どうすっかね」


俺の考えが合っているのなら、今すぐモルトン王国に殴り込みを掛けてもいい。

だが違うのなら・・・俺から動くべきではないだろう。

まず本来は関係ない話っていうのもあるしな。

他にもやりたいことはあるし、調べたいことはそれ以上にある。

困っている人間がいて、それをどうにかできるのに何もしないというのはまぁ・・・思う所が無いわけではない。


「では?」

「はぁ。話をちゃんと理解すると猶更そう思えちゃうからよくないなぁ」


何でもかんでも、問題に首を突っ込むのは良くない。これは俺の持論だ。

それもあって、最初にアルカナから話を聞いた時はあんまり乗り気じゃなかった。

所詮他人事だし。まず長いことずっと続いていた問題だからこそ、その根も深いだろうと。


だけど実際話をちゃんと聞くと、深刻と言えば深刻だがそこまで解決には手間取らないだろう。

力づくでどうにかなってしまう以上、俺にとっては簡単な問題だからだ。

だからこそ・・・ちょっとした軽い気持ちで助けてしまおうとも思えてしまう。


「どうすっかなー」

「コウ様」

「ん?」


フィアが今までにないくらい柔らかい表情でこちらを見ている。

まるで何か・・・そう、嬉しい物をみたような感じだ。


「でしたら、コウ様の自由になさるのがよろしいかと思います」

「・・・はぁ」

「気にはなっているのでしょう?」

「・・・まぁな」

「でも、簡単に手を出しても良いのかという思いもある」

「あるな・・・」

「でしたら、答えは既にコウ様の中にあると思いますよ」

「・・・は?」

「だって・・・コウ様の心に、少しでも助けたいという思いがあるからこそ、いま悩んでいるのですから」

「・・・なるほど・・・なるほどー」


そうかそうか・・・なるほど確かにそうだ。

ああうん。これは納得がいった。何だこんな簡単なことだったか。


「頭硬くなってか」

「流れ人だとしても、コウ様はコウ様ですので」

「はっはっは。お前まだそんな付き合い長くないだろうよ」

「はい。ですが、今のコウ様が一番らしいかと思いますよ」

「何だ。お前も今の方がらしいぞ」

「そうでしょうか」

「ああ。今の方が軽くていいや」


フィアが悩んでいる俺を見て、何を思ったのかは分からない。

分からないが・・・まぁいいか。今はこれでいい。


「じゃあアカリ達には悪いが・・・全部かっさらうか」

「素晴らしいご決断です。ご主人様」

「止めろ止めろ。分かってやってるだろ」

「ふふ。ええ当然」

「はぁ。お前さんは見た目はめっちゃ美人だからそういうのも絵になっていいねぇ」

「・・・コウ様」

「あ?」

「キイナさんという方ありながら、私に手を出すのは流石にどうかと」

「違うわ!!」


お前そこもわかってやってるんだよな!?!?















「全くフィアめ。あの性格が素だったか」


基地を見学中のアカリ達から連絡があり、その対応にフィアを向かわせた。

まぁ俺が行くより都合良さそうだったし・・・後、俺は俺でやることやらないといけないからな。


「さぁてキクヒメ。久しぶりの大仕事だ」

『ご用件を』

「国一つ脅かす怪物を潰す。情けも容赦も。一切の配慮も無しに叩き潰すぞ」

『了解いたしました』


使う機体は・・・多分『ドルフィンレーン』になるな。

海中での戦闘がメインになると思うし、そうなると他の機体では劣る。

てかそういう場合に用意した機体だしなこいつ。


敵の様子・・・まぁ大体だがそのあたりもリアに聞いている。


「相手はイカだそうだ。恐らく触手による打撃攻撃。後はこの世界特有の魔法に注意だな」

『新たな研究成果があります』

「お、何か実用まで持ってけたか?」


普段からやっている、解析とそれの応用の話だ。

いくつか平行して作業させているし、俺自身も時々研究している。

そのうちのいくつかが、既に実戦に耐えうる領域にまできたらしい。


『魔力吸収フィールド発生装置。アンチ魔法コーティング剤。憑依前提の武装運用データ』

「・・・かなりデカいのがきたな」


特にアンチ魔法コーティング剤がデカいな。

前からあるのはあったが、今回ので完全に出来上がったようだ。


そして魔力吸収フィールド発生装置。

これに関してはそのままだ。そしてこの世界ではこれが恐ろしく強い。

何せ生物の持つ魔力すら根こそぎ奪うのだから。

これはアルのやつが使ってた封印魔法・・・を使う為に魔力をかき集めていたあれからデータを得ていた。

元となる物が恐ろしいくらいの範囲の魔力を奪うから、このフィールドもかなり良い物になっている・・・はずだ。

その辺はまぁ実用してデータ収集だな。


最後の憑依前提の武装運用データ。

これも文字通りと言えば文字通りなんだがな。

俺の持っている、ストレングスギア含めたすべての武装は当然だが精霊が憑依することなんて考えられていない。

そもそもゲームの中にそんなシステム存在してなかったしな。

だがこの世界に来て、それがとてつもなく有用であることを俺は学んだ。

そして猫玉ラックという、ののか達が憑依して運用すること前提の装備も作った。

それらのデータを解析し、これから先新しく作る武装にそれを反映させることが出来るようになった。

時間は掛かるが、既存の武装を更新してその性質を持たせることもできる。


『いずれかを『ドルフィンレーン』に使用するのはいかがでしょうか』

「全部だな」

『・・・バランスが崩れる恐れがございます』

「そこは何とかするさ。てか、何とか出来るのが俺だろ」


今までいろんな機体を作ってきたが、魔力を本格的に使った機体は初めてになる。

だがそれでも・・・俺は上手くできる。

これは過信ではなく自信だ。俺が今まで作ってきたストレングスギアがそれを物語る。


何故ここまで急にやる気になったのか。

逆だ。やると決めたからやる気になっているのだ。


「基本武装も全部見直すぞ。後海中探査機も増やすぞ」

『新機体製造時と同レベルの消費になりますが』

「その程度何を構うものか。まぁ時間は気になるが」

『期限は』

「一年・・・だがもっと早く終わらせたいな」


一年というのは、イカがモルトン王国に接近してくる時期だそうだ。

つまり、そのイカは広い海のどこかには絶対にいるのだ。

それを先に見つけ出して潰すもよし。それが出来ないとしても、近くで網を張ればいい。


開発期間と、捜索期間。

この二つの時間を考えると・・・


「機体の方は一月で終わらすぞ」

『期間的に、フィールドのを機体に搭載するのが困難かと』

「む。そんなにか」

『現時点では大型の装置になります。機体への搭載を考えるのなら半年は必要です』

「・・・装置は、単体でも稼働は出来るか?」

『可能です』

「分かった」


では魔力吸収フィールドは猫玉ラックに背負わすか。

または海中にばらまいても良い。いや、そっちの方が安全か。

魔力を吸収するとなると、普通に狙われるだろうし。それはののか達が危険だ。

ならばいっそ壊される前提で数を作って、それをばらまけばいい。

そうした方が広範囲に影響を出せるし、相手の妨害にもなる。


「ああそうだ。アルにも連絡しないとな」


口説けるがどうかは俺の腕次第だろうけどな

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