109話
「私も契約出来る?」
「・・・どうなんだろうな。出来るのか?」
「コウ様はかなり特殊な例ですので。実際に試してみなければ何とも言えませんが・・・」
まぁ俺は見えないのに契約出来るっていう特殊例だからな。
それこそ精霊眼鏡の元になったストレングスギアセンサー類があってこそだし。
そう言う意味では、魔力さえ足りてるならアカリでも出来るな。
『紅月』の改造はまぁその程度なら足してもいいし。
「アルカナは出来るのか?」
「いや。私は見えなかったからな。これがあれば出来るのだろうが」
「お。じゃあ魔力は足りてるわけか」
「後は相性のいい精霊と言うことですね」
「ああ。残念なことに私の国には両方無かったのだが」
そもそも野良の精霊自体見つけるの難しいからな。
精霊樹見たいな精霊の集まるスポットはどうしても人里離れた辺境の地にあることが多い。
ダイジュナは例外もあるとか言ってたけど。
「まぁ暇があったら精霊樹にも行ってみるか」
「あるの?」
「ある。てか俺の精霊もそこの出身だぞ」
「本当に・・・すごい所に来てしまったな・・・」
「あそびゅ?」
「遊ぶ」
「みゃー」
アカリは精霊ってかましろが可愛いんじゃないかな。
基地に到着。
サービスをいつもの場所に降ろすと同時に『紅月』も整備室へ。
「メンテして改造してだから予定より掛かってもいいな」
「構わない」
「私も大丈夫だ」
「てか、お前らってなんで冒険者やってんだ?」
基地に着いて早速案内・・・の前に、精霊亜種達に挨拶だ。
今フィアに呼びに行ってもらってるから、その間精霊亜種たとも住んでいる居住エリアの中央の建物で休憩だ。
ここは遊具室とか色々作ってあるから、カフェテリアなんかもあったりする。
まぁ店員はいなくて全部自販機なんだけどさ。
そこでようやく、二人が何故冒険者をしていたかを聞くことに。
「アルカナは貴族なんだろ?そういうイメージないけど」
「アカリから聞いてないのかい?」
「ない。こいつに聞くのは間違いだからな」
「心外」
「説明下手くそだろお前」
「・・・」
「・・・そうだね。自分で言った方が良さそうだ
私達は、というか、私はある物を探しているんだ」
「ある物?」
「アカリはそれに付き添ってくれている形だね」
探し物か。貴族の娘の探し物とは、それはまぁ大層な物っぽいが。
貴族という身分で手に入らない物。または、そもそも存在が怪しい物か。
「親は止めなかったのか?」
「一度は止められたが、押し切ったんだ」
「私の同行が条件の一つだった」
「お前の?てことはだ」
「うん。私も知り合い」
「アカリがこの世界に来て、初めて出会ったのは私だと思うよ」
持ち物ストレングスギアのみで、アカリが今まで生きて来れたのはその出会いがあったからだな。
「運が良かったな」
「本当にそう」
「初めは驚いたよ。何せ赤い鎧を纏った人間が暴獣と呼ばれた魔物を倒していたのだから」
「弱かった」
「国が懸賞金を掛ける存在だったんだけどね」
「まぁその程度ならなぁ」
「私たちにとっては日常だった」
「話には聞いてるけど、恐ろしい国なんだね二人の国は」
いやまぁゲームの話ですけど。
だけど懸賞金のかかった敵を倒すっていうのは結構経験豊富なのだ俺たちは。
ゲームの中には、懸賞システムという特定の敵を倒すと依頼金などとは別に金が貰えるシステムがあった。
日替わりでかなり強い敵が対象になるが、ある一定の力量を超えたランナーはソロでも勝てるレベル。
だから金策の一つとしてかなり盛んに狩りが行われていたのだ。
アカリも俺も、それを一人で熟すランナーの一人であった。
「コウは途中からやらなくなった」
「だって安定して稼げるようになったしな俺」
「これほどの施設を持っているのだから、アカリよりお金持ちそうだね」
「実際金持ち」
「アカリと比べると・・・50倍くらい資産に差があるか」
「そもそもギアの所持数が異常」
「確か3機持っていれば多い方だと聞いているけど。どれくらい持っているんだい?」
「7機」
平均3機というだけで、持っているランナーはこれくらい持っている。
てか戦力の数ってだけで言うなら、俺よりあの『ブリーダー』の方が多いだろうに。
アルカナは話に聞くだけだから実感はないようだが、それでも驚いたようだ。
「アカリなんて1機しか持ってないのに・・・」
「訴訟」
「作らないのが悪くないか?」
作るだけなら他のランナーに依頼出来るだけの金は持ってだろうに。
「おっと。話が逸れてしまったね。私たちが冒険者をしている理由だったか」
「どこまで話した?」
「何かを探してるってところまで。実際何を探しているんだ?」
「・・・物というか、方法を探しているんだ」
「方法?」
「この世界の歴史に関しては、どれくらい知っているんだい?」
「大しては知らんな。精々1000年くらい前にとんでもない敵が現れたってくらいか」
「なるほど。『厄災大戦』のことは知っているんだね」
「その名前は初耳だな」
なんだそのカッコいい名前は。
「私の国は、それより前に出来た国でね」
「何て国なんだ?」
「モルトン王国と言うところだ。海に面した国で、主に海路を用いた輸送業が盛んな国だ」
「海?もしかしてここからかなり遠いな?」
「そうだね。大陸でいう反対側かな」
そもそもここ自体が大陸全体で見た場合には海に近い。
封国が大体中央に近い。まぁ今俺達がいる森やら山やらのせいで、人類の生活圏はあまり広くはないんだが。
大体3分の1くらいが未開拓と見てもいいかもしれない。
だから反対側と言っても、サーベスでの移動を考えると大した距離じゃない。
だがそれ以外でとなると・・・うん。やばいな。
その距離を、二人は馬車や徒歩で移動してきたらしい。
「そこまでして手に入れたい・・・いや、知りたい何かの方法なのか?」
「・・・ああ。絶対にだ」
「それは時間制限がある物なのか?」
「ある。だけどもう時間は残されていないんだ」
「結構切羽詰まってるってわけだ」
何やら重い事情があるようだ。
「アカリはそれは知ってるのか?」
「知ってる」
「どんな事情なのか聞いても良いのか?」
「・・・いや。これは私の我儘なんだ。アカリだけでも良くないと言うのに」
「良いと思う」
「アカリ?」
「コウなら勝てる」
「勝てる?なんだ?何かを倒したいのか?」
「・・・我が国は、遥か昔からある儀式を行っているんだ」
「儀式?」
「海の平和を保つための祈りの儀式だ」
「そこまで聞くと、普通な感じなんだが」
今のところは何かを倒さないといけないようなことには聞こえない。
豊穣だったり、海が荒れない様に祈るとかの儀式なら日本でもお祭り感覚で行われてるしな。
「その儀式をしないと・・・最悪国が亡ぶ」
「はぁ?」
「海を穏やかにする代わりに、人間を差し出してる」
「・・・なるほど。そういうことか」
その人間を要求してきた何かを倒したいと。そういうわけか。
そして要求が通らなかった場合には大暴れして国を亡ぼすと。
この様子だと、前に一度デカい被害を受けてるな。
「私の学んだ歴史では、国一番の勇者と名高き存在が手も足も出ずに負けたとか」
「要するに、その何かを殺したいわけだ」
「そういうことになる・・・」
「ふむ・・・アカリは勝てなかったのか?」
「そもそもまだ現れてない」
「定期的に出てくるタイプか。どれくらいの周期だ」
「20年に1回」
「・・・多いのか少ないのかって感じだな。んで?今回の生贄にアルカナの知り合いが選ばれたと」
「そういうこと。私も友達」
「なるほどなるほど。大体理解した」
探しているのは倒すための手段だけでなく、生贄の代わりになる物でもあるらしい。
何とかしてその友人を救うべく、ありとあらゆる手段を模索しているそうだ。
ここまで来たのも、封国などで何か無いかを探すためだったそうだ。
「後時間的にはどれくらい残ってるんだ?」
「・・・後1年だ」
「・・・短いな」
「だが諦めるわけにはいかないんだ。約束したんだ」
「コウは、竜国の人と知り合いって言ってた」
「ああ。リアの事だな」
「聞けない?」
「・・・まぁ聞くだけならいいけど」
「本当か!」
「あまり期待するなよ?」
リアの性格上、そう言う物を放置するとは考えにくい。
つまりリアでは倒すことが出来ない。又は干渉してはいけない存在というわけだ。
またはどうしようもないってパターンもあるしな。
後はダイジュナかアルに聞くのがいいんだろうが・・・あいつらもどうだかな。
「てか、竜国には行ってないのか?」
「かなり旅を始めてすぐに行ったさ。ただ。やはり個人では調べられることに限度があってね」
「あーそういうことね」
「アルカナは旅をしている間は貴族じゃない」
「身分を一時的に取り上げられる感じか」
「そもそもアルカナって名前は偽名」
「あ、そういう感じ?」
身分自体偽ってるのね。まぁありがちな話か。
「お話中失礼します。皆さまをお連れしました」
「お、来たか。まぁ今は一旦休憩ってことで」
「そうする」
「ああ。コウ殿のおかげで、有力な情報が手に入りそうだしね」
「だから期待するなよ?」
後最悪アカリが言った通り俺が倒すのもありではあるな。
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