97話
まぁその辺は良いだろう。
「とりあえずこいつの調子を確かめてからリアの所に送るかな」
「今お使いになられてるのではだめですか?」
「あれ普通に電化製品だし」
電気で動いているので流石に他の所では使えないな。
なので基地にいるフィアには人口魔石搭載の掃除機を実際に暫く使用してもらい、その感想をもらいたいのだ。
「どんな細かいことでも構わないぞ、角が掃除しきれてないとか」
「かしこまりました・・・そうすると、私は清掃はしない方がよろしいのでしょうか?」
「いや別に。こいつだけでも出来るっちゃ出来るけど、完璧は無理だろうし」
特に貴族の屋敷に仕えていたフィアの基準からしたら合格点ではないって可能性が高いからな。
ぶっちゃけ専門家ではないので、掃除の基準とか俺知らんし。
「気になったところを言うってのはそういう面も含めてたりする」
「なるほど。そういうことでしたか」
「割と気にしてもらう点は多いからな。そのあたりは纏めておくわ」
掃除の出来は当然として、他にも騒音とか動きの速さとか。
後人工魔石が使われていることで何か他におかしなことが無いかも大事だな。
ある程度試験はしてるけど、実際に使うとなると色々変わってくるだろうし。
複数人が触ることで魔石の性質が変化するとか、そう言うことだって考えられる。
だから亜種達にも触ってほしいくらいだ。
説明自体は後でしてくるけど。
「まぁこんなもんか。後は大体前に言った通り。大丈夫そうか?」
「はい。これでしたら私一人でも問題ないと思われます」
「ならいいな。じゃあ最後にだが」
「はい」
「お前から教わるって話の魔法のことだな」
これも考えてある。
てか大体こうなるだろうってのは分かるだろう。
何せフィアは基地にいてもらうのだ、それに対して俺は村に住んでいる。
そこで、魔法講座はリモートで行う形になる。
その為の機材は・・・当然揃ってるから問題なし。
後は使い方をフィアに教えてしまえば準備も完了だ。
「とは言ってもそこまで難しくなかったりする」
これも簡単に使えるようにはしてある。具体的にはボタン一つ押すだけで終わる。
これは掃除機と同じ・・・てか、元々フィア用に用意した物だから簡単で当然だ。
コヒメに頼んで先にやってもらったのだ。
簡単な物だから、制作時間も全然掛からないしな。
「ちなみにこれを耳に付けてると物がなくても俺と連絡が出来たりする」
「この小ささでそのようなことが?」
「ああ。まぁ試しに付けてみ。合わないようだったら調整するから」
「では失礼いたします」
髪をかき上げてフィアが耳に子機を付ける。
今初めて見たが、フィアは耳の形がエルフに近いんだな。
「ちょいと失礼」
「はい」
一言断ってから耳に触れてサイズを確かめる。
うーん・・・ちょっと付けづらそうだな。俺と形が違う分ちゃんと調整しないと駄目っぽいな。
「外してくれ」
「はい」
外してもらって少し調整。
耳の形的には、俺より長いって感じだからな。それを考えて調整すればいいはず。
後きつくなりすぎない様にもしないと駄目か。
「・・・これでいいはずだ。もう一回頼む」
「かしこまりました」
「ああ。つける時には引っ掛けるようにするといいぞ。多分その方がちゃんとするし」
「なるほど」
こういうタイプは無理に嵌めようとすると違和感残るからな。
本来ならもっとオペレーターが使うようなマイクが伸びてるあれにもしてみたかったが、普通にこの形の方が便利なんだよな。
嵩張らないし重くないしで。付けている感覚ゼロとかまで行けたら良かったんだが、そこまでは無理だった。
「今度はどうだ?」
「・・・はい。違和感もないですね。重さもこれくらいがちょうどいいかと思います」
「そうか」
「つけている感覚がないと、他の作業中に落して気が付かないということにもなりかねませんので」
「あ、そっかそれもあるのか」
あんまり考えてなかったなそれは。
そうなるといっそ耳じゃない方がいいのか?大きくはなるがチョーカー型とかも出来るし。
いや。そもそもチョーカーがこの世界であるか微妙か。
見た目ではただの首輪に見えてしまうこともあるだろう。
となるとデザイン性が求められるんだが・・・無理だなうん。絶対に無理。
そもそも見た目を変更するのは俺は苦手なのだ。
猫玉ラックの時だってキイナさんのアイディアで出来ただけだし・・・おや?
「キイナさんに頼めばいいのか?」
そうだよな。猫玉ラックの時はキイナさんアイディアがあってからなわけだし。
「ちなみにフィアはデザイン・・・おしゃれに物を作るって出来るか?」
「おしゃれですか・・・経験がないことなので何とも」
「まぁ流石にそらそうか」
普通そう言うのは専門の職人がやるよな貴族の家なら。
「でも屋敷で色々は見てるだろ?それに似てもいいってなったらどうなる?」
「そうですね。コウ様のお家にはそぐわないとは思いますが。ある程度なら」
「流石だな」
「それにリア様よりいくつか美術品も頂いておりますので」
「・・・もしかしてその為・・・いや気のせいか」
この先であった方が良いとか言ってたし、これが目的ではないだろう。
「使用人が身に着けて不自然じゃないデザインなら出来るか?」
「それでしたら可能です。実はこの服も自分達で考えたんです」
「あ?そうなのか?」
「元となる服を少し改良した程度ですが」
なるほど、細かい所でのおしゃれと言うわけだ。
そう言うところは世界関係なしに女性は好きなんだろうな。
キイナさんも興味あったりするのだろうか。
なら今度何か使えそうな物一式渡すのもありかもしれない。
「まぁいいか。とりあえず教えたものは大丈夫そうか?」
「今のところは。実際に使用して見ないと分かりませんが」
「まぁだな。前も言ったけど、何かあったら連絡はしてくれ」
「はい。必ず」
亜種達のこともあるしな。
こうしてフィアに一通り基地内での仕事や生活の仕方を教え終わり、見送られながら基地を飛び立った。
実はキイナさんにこのタイミングで基地に連絡を掛けてくれって頼んだから、今頃は二人で話しているだろう。
「まぁ色々上手く行きそうで良かったな」
『技術漏洩の危険性があります。よろしかったのですか?』
「いいんだよ。あれがリアであっても誰であっても、あそこの物は俺がすぐに止められる」
そもそも技術を盗んだところで意味が無いのだ。
解析するなり実際に使うにしても、前提となる知識がかけらもないのだから。
フィアが持っていないのではなく、この世界の話だ。
それに仮に盗まれたとしても、俺の意思一つで意味を無くせる。
自爆させるのも、存在自体を消すのも俺次第だ。
「てか。そこまで心配することないだろ」
『何故でしょうか』
「まぁ俺もフィアだけを無条件に信じてるわけじゃないさ」
リアの事もあるしな。そもそもがダイジュナの知り合いだ。
何かあったらあいつは仲間になってくれるだろう。
そうなったら、最悪リアと戦うことになってもまず勝てる。
『ハイドラ』相手に単独で勝てる相手だから、俺もあいつに乗る必要はありそうだが。
「だから帰ったらメンテするんだよ」
『データでは劣化などは見当たりません』
「だろうな。だけどこの世界に来たことで実際にどうなってるかを俺たちは知らないんだ」
リアも言っていた。
俺の持つ力・・・『グランデス』からは『ハイドラ』と同じ何かを感じると。
それがどこまで機体に影響を与えているか分からない。
元々がバグが原因で生まれた機体だ。何があってもおかしくない。
「資材自体は足りてたよな?家の方に持ってった記憶があんまりないが」
『現在本格戦闘一回分の資材を貯蔵しております』
「・・・微妙に少ないな。とりあえず今度基地から持ってこないと駄目か」
『搭乗予定でしたら、予め試乗することをお勧めします』
「だよなぁ・・・どこで乗ればいいんだあれ」
ちょっとミスったら基地のある山くらいなら消し飛ぶんだぞ?どこで乗れるんだか。
『海上がよろしいかと』
「海の上か・・・環境への影響がデカいんじゃないか?」
『生態系への影響は甚大かと』
「じゃあダメだな。あっちならともかくこの世界の自然を破壊する気はない」
ゲームの世界は元からボロボロだった。
だがこの世界は綺麗なのだ。ともすれば、地球と比べても綺麗で美しい環境だろう。
それに何だかんだ世話になってるダイジュナがそういう精霊なのだ。
恩人が大事にしている物を、わざわざ壊す趣味はない。
「まぁそうなると残ったのはハチャメチャ高い高度の空とかになるんだけどな」
『高度を上昇させても、武装の影響は出てしまいます』
「・・・特に腕は振るえないよな。後グランには『武装は一切積んでないぞ』」
『登録データ上は武装です』
「まぁなぁ」
でも実際武器を持たせたつもりはないのだ。
あくまでも攻撃手段は自機の核となる部分から漏れ出る物を扱っているだけだ。
性能だってあれのおこぼれなわけだし。
「そう考えると。全部の問題はやっぱりあのジェネレーターだよな」
『外した場合機体が動かなくなります。代用は効きません』
「・・・はぁ。どこまで規格外になるんだか」
よろしければ評価やブクマ登録お願いします




