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第94話 帰還

「リュウさん!ソルーンが見えてきました!」


 マイマイ村を出て3日目、サラが馬車から身を乗り出しながら叫んだ。


「おー!!帰ってきた!」


 俺もサラの隣から身を乗り出す。異世界に初めて来た日に見たのと同じ外壁だ。



 馬車は速度を落としながら、門まで移動する。


 そして、馬車に乗ったまま衛兵によるチェックを受けることになった。


「Sランク冒険者!?」


 行きと同じように魔女の杖の人たちの証明書を見て衛兵が驚く。


 ついこの前のように感じるけど、もう1ヶ月が経過したんだな。


 俺たちも商人ギルドのカードを見せて無事に審査をクリアした。



 全員のチェックを終えると、馬車は再び外壁の中へと動き出す。



 外壁付近の広場まで移動したところで今回の馬車の旅は終了となった。


 俺たちはそのままの足で冒険者ギルドへと向かう。



「よく戻って来てくれた!!」


 冒険者ギルドへ行くと、ギルドマスターのヘッジさんが出迎えてくれた。


「おおよその話はこの前アミルが来た時に聞いているが、もう一度聞かせてくれ」


 マスターに案内されて、部屋へと通される。


 その後、ロンドさん達が中心となって今回の事の顛末をマスターに伝えてくれた。


「リュウ、悪いんだけど腕にある竜の契約のマークを見せてくれない?」


「分かりました」


 ダミアンさんに促されて俺は腕をまくる。


 その腕をギルドマスターに向かって見せた。


「これが本物の竜の契約……。書物で見た通りだな」


 マスターが興味深げに覗き込んでくる。


「とにかく、このことは外には広めないでおこう。多分商人ギルドの方は伝えることになると思うが、それも極秘事項として扱うことにする」


 マスターからそう説明された。歴史的に見てもそんな人物が存在しないからだ。


「ただし、セレド様にはわしの方から報告させてもらう」


 レインドラゴンの件は国の安全にかかわることだから隠すわけには行かないということだ。


「分かりました」


 確かに、それはしょうがないよね。


 情報の扱いは厳重にしてくれるみたいだし、大丈夫だろう。


「最後に、ここにいる全員にギルドマスターとしてお礼を言おう。もちろん魔女の杖には報酬も用意してある。サート商会の方は商人ギルドの方から受け取ってくれ」


 こうして、ギルドマスターへの報告を終えた。



「今までありがとうございました」


 ギルドを出て俺は魔女の杖の人達にお礼を言う。ここでお別れだからだ。


 明日には拠点である王都に戻るらしい。


「こちらこそありがとう」


 ロンドさんと握手をする。


「リュウとサラのことは忘れないよ」


 ダミアンさんから肩を叩かれる。


「料理も本当に美味しかったよ!」

「王都に来るときは是非教えて欲しいですの。案内して差し上げますの」


 アミルさんとユフィさんの2人からも嬉しい言葉をもらった。


「またソルーンに来ることがあったら是非ソルーン・バーガーに来てくださいね」


 サラも寂しそうに別れを言う。


「ああ、約束しよう」



 こうして、魔女の杖の人達とも別れた。


 気さくで本当にいい人達だったよ。


 1ヶ月間という短い間だったけど、とても仲良くなれたと思う。


 また必ず会いに行こう。



 ーーーーー


 その後、俺とサラは商人ギルドへと向かった。


「リュウさん、サラさん。お疲れさまでした!」


 こっちはナターシャさんが出迎えてくれた。


「冒険者ギルドの方から色々聞きましたよ!さ、マスターがお待ちです」


 ナターシャさんの案内でギルドマスターの部屋まで通される。


「よく来てくれた。疲れているところ申し訳ないが話を聞かせてもらいたい。重要な案件だからな」


 ギルドマスターが席に座るように促す。


「分かりました」


 俺たちは再び事の顛末を説明する。


「この紋章、絵本でしか見たことないですって!!」


 竜の契約の紋章を見せたときにナターシャさんなんかひっくり返っていたよ。


「このことについては冒険者ギルドに倣って、商人ギルドも極秘事項として扱おう」


 とギルドマスターが約束してくれた。


 すべての話を終えると


「話はおおよそ把握した。本当にクエストご苦労だった。報酬はサート商会の口座の方に振り込んでおこう。また後日に聞くことがあるかもしれないが、今日のところはゆっくり休んでくれ」


 これで、この日やらなければならないことはすべて終えた。


 ーーーーー


 商人ギルドを出て、家に向かう。


「1ヶ月いないだけでも、帰ってきたって感じがするな」


 街の風景を見ながらそんなことを思う。


「リュウさんにとってもこの街が故郷になったことじゃないですか?」


「サラの言う通りかもな」


 もうソルーンが俺にとって生活の中心地になったんだな。


 そう思うと少し嬉しく感じる。異世界の住人になれた気がするからね。


「なんか、また頑張れそうな気がするよ」


「何言ってるんですか。頑張ってくれなきゃ困りますよ」


 サラがそういって笑う。


「悪い悪い」



 その後、サラと別れて自分の家へと帰宅すると、一瞬で眠りについた。


 明日からまたソルーンでの生活が始まるな。

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