第8話 家を借りました
「今日は昼の販売をもって終了とさせていただきます!ありがとうございました!」
次の日、俺は午前中で販売を切り上げると商人ギルドへと行くことにした。
ちなみに午前の売り上げは食パン128個、クロワッサン42個
クロワッサンの値段は一つ100クローネにしておいた。
だから2万9800クローネの収入だ。
「いらっしゃいませ」
「すいません、ナターシャさんはいますか?」
「はい、います」
「相談事があるのですが、繋いでもらえますか?」
「かしこまりました。では、ギルドカードを提示してもらってもよろしいでしょうか?」
俺はギルドカードを手渡す。
「ありがとうございます。少々お待ちください」
「お待たせいたしました。本日はどのようなご相談でしょうか?」
数分後ナターシャさんがやってきた。
「実は部屋を借りたいなと思っているんですが、どうしたらいいですか?」
「なるほど、そうしましたら、商人ギルドの方でも賃貸なら行っておりますのでご案内しますね。どのような部屋をお探しですか」
「そうですね、普通の一人暮らしの部屋がいいなと思っています。ちなみに一人暮らしの部屋の相場はいくらぐらいですか?」
「相場は4万クローネあたりですね。安いところで2〜3万クローネ、高い場所だと7万クローネ以上はかかるかと。一人暮らしの部屋だとある程度割高にはなりますね」
まあ、それぐらいなら問題ないな。
「はい、大丈夫です」
「かしこまりました。こちらが今空いている部屋となります」
受付の職員から4つの部屋の図面が渡された。
4つのうち2つが木造アパートの平屋の1室でどちらもワンルーム、1つがレンガ造りの2階建てアパートの2階で間取りは1K、最後は石造アパート4階建ての最上階の1LDKだ。
値段としては木造が1万8000クローネと3万クローネ、レンガ造りが5万5000クローネ、石造アパートが9万5000クローネだ。
「とりあえず、すべて見せてもらうことはできますか?」
「はい、大丈夫ですよ。鍵を取ってきてもらうので少々お待ちください」
「あ、あとすみません、部屋の他に従業員の募集もしたいなと思っているのですが」
もう1つ聞きたいことがあったのを思い出したから慌てて聞く。
「従業員募集ですか?ちなみに何人ぐらい採用する予定でしょうか?」
「一人ですね」
「なるほど、そうしましたら商人ギルドの掲示板で募集をかけることが出来ますよ」
「なるほど、掲示板ですか」
「ご覧になりますか?」
ナターシャさんに連れられて、ギルド入り口の横にある掲示板まで連れて行ってもらった。
<求人>
洋食屋アイリッシュ
料理人1名
給料月10万クローネ~
面接あり
上のような求人募集から
<依頼>
引っ越し手伝い
3名
1日限定
日給4000クローネ
先着順
このような単発の依頼まで様々に貼ってあった。
ここに貼るのはありだな。
「ここに貼るのはいくらですか?」
「1週間につき2800クローネかかります」
「それでしたら後日依頼をまとめて持ってきます」
給料とか詳しく決めてないし、今日は無理だからね。
「かしこまりました。ちなみに、人を雇った場合には毎月の営業報告の際に申告するようにお願いします。それでは鍵の準備が出来ましたので行きましょう」
それから俺はナターシャさんに連れられて部屋を見に行った。
ーーーーー
「うーん、微妙だなぁ」
最初に見せてもらった木造の平屋は城壁の近くにあった。結構古い平屋で壁もドアも薄い。
日本に住んでいた俺としては防犯面が心配になるような部屋だ。
「この地域は安いのですが、その反面治安があまりよくないんですよね。お金に余裕があるようでしたらやめたほうがいいかもしれません」
「やめます」
次の木造の平屋は治安面では大丈夫だったが、部屋の壁が薄かったのと日当たりが悪かったからやめることにした。
「次はレンガ造りのアパートですね」
今度の部屋は噴水広場から近いところにあるレンガ造りの2階建てだった。
「良さそうな雰囲気ですね」
「中に入ってみますか?」
「お願いします」
ナターシャさんに連れられて部屋へと入る。
「おお!いい感じですね」
中は家具付きですぐに住めるようになっていた。部屋はシンプルで宿と同じようなベットと、少し大きいが4人用のテーブルが置いてある。
キッチンスペースはコンロが1つとシンクがあるから一人暮らしには十分だ。
文化なのか風呂はなかったが、トイレとシャワースペースが別になっていたのはかなり嬉しい。
ちなみにコンロと蛇口、シャワー、トイレは火と水の魔法石を特定の場所にはめ込むことで全体にいきわたらせているとナターシャさんが説明してくれた。
魔法石自体は商人ギルドでそれぞれ1万クローネ前後で販売しているそうだ。これで3~4ヶ月もつらしい。
ここが第一候補だな。
次のアパートにも行ってみたが、一人で暮らすには部屋が大きくて、家賃も高かったからやめておいた。
最終的にレンガ造りのアパートに住むことにしたぜ。
ギルドに戻った俺は早速契約をする。
「それでは契約金2万クローネと最初の家賃5万5000クローネ、合わせて7万5000クローネですね」
俺はお金を手渡し、契約書にサインする。
「はい、こちらが鍵になりますね」
「ありがとうございます」
「手続きを済ませておくので明日から使えますよ」
「分かりました」
「従業員募集につきましては、また決まり次第ご連絡ください」
「はい、また来ます」
こうして俺は自分の部屋を手に入れることが出来た。
やっぱり自分の部屋があるのは安心感が違うな。それに本当にこの世界の住人になったって感じがする。
それにしても本当に便利なスキルをもらったぜ。
これがなければこんなに効率よく稼げていないからな。
この世界に来たときはなんだこれって思ったけど、今となってはこのスキル以外考えられないね。
そんなことを考えながら宿に帰ろうとしたその時
ドサッ!!!!
目の前を歩いていた人が急に倒れた。
明日は昼過ぎに投稿する予定です。
よろしくお願いします!




