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第78話 レイが持ってきたもの その2

「このベタベタをポイを使って捕まえるのは確かに面白そうなのですが、捕まえたベタベタはどうするのでしょうか?」


「捕まえた魚は持って帰ってもらおうと思ってるよ」


 ただ、実際問題飼えるのかな。


「レイ、ちなみにこのベタベタは何を食べるんだ?」


「雑食だからなんでも食べるぞ」


 それならばということで実験として、屋台を召喚し、収納魔法の中からドーム状のパンを取り出した。


 そしてレイが浮かべている水球の中に小さくちぎったパンを入れる。


 するとベタベタは餌と認識してパクっと食べてしまった。


 うん、これならエサに困ることはないだろう。


 でも、すくいの装置にあったエアレーションが普及しているわけではないし家で飼うのは難しいかな。


「ちなみにじゃが、この魚は水からだけじゃなく、空気からも酸素を取り込めるみたいじゃぞ」


「え、そうなの?」


 それなら極端な話コップの中で飼うことも出来るのか。


 飼うハードルが一気に下がったな。


「これだけ綺麗で飼いやすいのならば観賞用としていいですね」


 サラが頷く。


 レイによると実際にこのベタベタが生息している地域ではペットとして飼われているらしい。


「それなら、予定どおり取った魚は持って帰っていいことにしよう」


 もちろん各自の判断で返してもらうことも可能にする。


 ここら辺は普通の金魚すくいと一緒かな。


 ベタベタ本体については1匹100クローネで100匹購入となった。


 買いすぎて余っても困るし、なくなったらその時点で終了にしようと思う。


 万が一余った場合にはその分はレイが元居た場所に戻してくれると言ってくれたし、これで大丈夫だろう。


  -----


「次は射的用の景品じゃな」


 そういってレイが収納魔法から取り出した。


「これは……フィギュアか?」


 木材を削り取って出来たドラゴンのフィギュアだった。


 若干荒削りなところもあるけど、子供が遊ぶ人形としては十分な完成度だ。


「これはどこで拾ったんだ?」


 こんなものが落ちてるって世界は広いな。


「違うぞ、これは妾が作ったのじゃ!」


 レイが怒りながら訂正する。


「え!作ったの?」


 だとしたらかなりすごいと思う。


「そうじゃろ、そうじゃろ!暇だった時に作ってたのじゃ!」


 レイはそう言いながら15㎝四方の木片を取り出す。


「見ておれ、今から作ってみるぞ」


 レイは左手に木材を乗っけると右手でなぞりだした。


 すると、レイがなぞった部分に切れ込みが入った。


「これはの、指先から細くて強い水流をあてておるのじゃ」


 なるほど、ウォータージェットの仕組みか。


 5分もしないうちに右手に剣を掲げた男の人が完成した。


「これは、もしかして勇者ですか?」


「そうじゃ、勇者が魔王に勝った時のポーズじゃ」


 サラが子供の頃に読んだ絵本と同じ格好らしい。


「これはカッコいいですね」


 勇者を射的で撃ち落とすのはどうかと思うけど、置物だったり、ごっこ遊びには最適だな。


「ちなみにこれは1体いくらですか?」


「そうじゃのう。木材はどこにでもあるものじゃし、加工もそこまで手間じゃないからのう。」


 一つ400クローネということで話が決まった。


 これは射的の中でも当たりのモノだからね。少し高めだ。


 それ以外にも小さい景品をいくつか買い取ってレイからの景品買取は終了した。



「レイからの買い取りはこれでいいとして、射的用として何かお菓子を作りたいんだよな」


「お菓子ですか」


 ここまでお菓子はラムネだけだから何か欲しいなとは思っている。


「あとは難しさ調節かな」


 レイからの買い取った人形は落とすまでに何発もかかる景品だ。


 これだけだと、6発撃って何も取れない人が続出する可能性が高い。


 それを回避するために軽いお菓子の景品も用意しておきたいわけだ。


「それでなんの料理を作るんですか?」


「べっこう飴だ」


 水と砂糖を使ったシンプルなお菓子だが、これなら俺でも簡単に大量に作れる。


 それに創造魔法で作るのならコストはかからない。


 おまけに軽くてバランスも悪いから、撃ち落とすのも簡単だ。


「妾も食べてみたいのじゃ、早く作るのじゃ!」


 レイもノリノリだ。


 よし、早速作ろう。


 ーーーーー


 収納魔法から水と砂糖を取り出して、フォルムチェンジを使ってキッチンを作る。


 そして水に3倍から4倍くらいの砂糖を入れてひと煮立ちさせる。


 あとは皿の上においたつまようじに、出来た煮汁をかけて冷ます。


 きれいに剥がせばべっこう飴の完成だ。


「はいどうぞ」


 俺はサラとレイに一つずつ渡す。


「うむ、シンプルじゃが甘くてうまいのう!」

「これならいくらでもなめられそうです!」


 うん、2人とも気に入ってくれたみたいだし、これでOKだ。


 俺も食べてみる。なるほど、べっこう飴ってこんな味なんだな。


 実は人生で1回、小学校の調理実習でべっこう飴を作ったことがある。


 ただ、誰かが砂糖と塩のスプーンを間違えるという致命的なミスを犯したせいで、恐ろしく甘じょっぱい別の物体が完成したんだよな。


 それ以後べっこう飴は食べたことなかったけど、これなら今後も作っていいかも。


 どこか懐かしい味だ。


 よし、射的の景品はこれで揃ったな。

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