表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

80/165

第75話 第2回サート商会臨時会議

 次の日


「これから第2回サート商会臨時会議を始めたいと思います」


「よろしくお願いします」


 ジャスティン様の屋敷の1室で俺とサラだけの会議が始まった。


「これ会議って言う必要あるんですか?普通に相談でいいような」


「……それは言わないお約束だ」


 なんとなく真面目な雰囲気を出したかっただけで、特に意味はない。


 気にしないことが大切だ。


「縁日について、今後どんな風に進めたらいいかな」


 早速本題に入って率直な意見をサラに聞く。


「そうですね、縁日を成功させるにはいくつかの工程を同時並行にやってく必要があると思います」


 サラが説明を始める。


「まずは労働力の確保ですね」


 俺とサラだけでは運営は回らないから一緒にやってくれる人を探す必要がある。


 レイは手伝ってくれると言っていたし、戦力としてカウントしても問題ないだろう。


 伝説になっているドラゴンを祭りの戦力と考えるようになってきた時点で、俺も異世界に慣れてきたなと思った。


 それも戦力の中身が戦闘力じゃなくて労働力だからな。


 元の世界にいたころは想像すらしたことないよ。


 おっと話がそれてしまった。元に戻そう。


「レイの他に手伝ってくれる人となると……やっぱり魔女の杖の人たちだな」


 祭りまで村に残ると言っていたし、お願いするには一番だな。


「そうですね。もちろん無料でとは言えないので賃金を払うことになりますね」


 サラがノートにメモをする。今回もサラが筆記係だ。


「後は屋台を実際に営業する人も必要になります」


 最低でも屋台一つにつき1人。


 チーズ焼き、お好み焼き、すくい、射的を3台ずつ作るとしたら計12台。


 少なくとも12人、まあ余裕をもって20人は屋台を営業してもらわないといけない。


「この20人の方にはそれぞれの業務を覚えてもらった上で営業してもらうことになります」


 屋台の練習期間と当日分の賃金を支払うことになると。


「具体的な賃金の内訳については私が計算しておきますね」


 サラがメモを書きながらそういった。本当に助かります。



「人件費についてはこれぐらいにして、後は物の費用かな」


「はい、そうなりますね」


 具体的には食材費と景品の費用だ。


「食材の費用については材料費ではなく、完成した料理の価格を基準にしましょう」


 小麦粉代、キャベツ代と考えていくと安くなっちゃうからね。


「いくらぐらいがいいと思う?」


 とりあえずチーズ焼きは6個。お好み焼きは1枚を一人前としたうえで値段を決める。


「ここは都心部ではないので少し安めに設定したほうがいいです。そうですね……400クローネぐらいでしょうか」


「わかった、そうしよう」


 ここはサラのアドバイスを参考にする。今後この場所以外で屋台をするとなったらここでの話し合いを基準に考えていこう。


「今回はジャスティン様から一括注文が入っていると考えていいので、さらに安めに設定するのがいいと思います」


 というわけで最終的に一人前350クローネで落ち着いた。


「問題は、景品だな」


 ここが一番大変だと思う。


「はい……レイ様が何を持ってくるかわかりませんから」


 サラが頭を抱える。


 景品の費用は形式的にレイから買い取りという扱いになる。


 確かにレイは常識が通用しないからなぁ。石ころ感覚でダイヤモンド見つけるドラゴンだし。


 買い取れるものを持ってくることを期待しよう。



 その後も細かい相談をして、今回の話し合いは終了となった。


 後はここでの話し合いをもっと具体的にしていこう。


「これで第2回サート商会臨時会議を終わります」


「「ありがとうございました」」



 ーーーーー


「あ、そうだ。リュウさんにお手紙が」


 会議が終わって立ち上がろうとしたらサラが呼び止めた。


「手紙?」


「はい、カイン君からです」


 そういえば何かあったときは収納魔法を経由して手紙のやり取りをすることになってたな。


 この村に到着してからはサラに屋台を1台渡している。


 サラによると、向こうからは毎日1通定時報告としてハンナから手紙が届いているらしい。


 で、こっちの出来事はサラが話をまとめて報告しているみたいだ。


「今回は珍しくカイン君からリュウさん宛にということなので渡しますね」


 そういってサラが手紙を俺に渡してきた。


 ーーー


 師匠へ


 お久しぶりっす!カインっす!

 こっちは無事にやってるんで安心して欲しいっす!

 気になるのがサラ先輩からの手紙っす。


 最初の頃は村の手伝いをしたとか普通に書いてあったんすけど、ここ数日の内容がおかしいっす。

 レインドラゴンが師匠のカレーを食べに来たとか、師匠と竜の契約ドラゴン・コントラクトを結んだとか嘘を書くようになったっす!

 昨日の手紙なんかレインドラゴンが村に勇者の剣をあげたとか書いてあったっすよ!


 サラ先輩小説家でも目指してるんすかね?


 師匠の口から本当のことを教えて欲しいっす。


 カイン


 追伸 新メニューを考えたっす!帰ったら食べてみて欲しいっす!


 ーーーーー


 ……サラ全然信用ないな。


 まあ、新メニュー開発も含めて順調そうで何よりだ。


 ただ、どんな返信をしても信じてもらえないだろうなあ……

第28話のセリフを少し修正しました。

ストーリー展開等に影響は全くございませんのでご安心ください。


おかげさまで今回が80話目の投稿となりました!

読んでくださっている方々には心から感謝申し上げます。


今後も楽しんでいただけるように精一杯頑張ります!


何卒よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ