第73話 たこ焼きから始まる縁日準備 その2
「次はこれだな」
たこ焼き板はイメージを変えると普通の鉄板に変わった。
これでやれることの幅が広がる。
「鉄板と言ったらあれだろう」
たこ焼きと並んで人気のあるお好み焼きだ。
ちなみに俺は縁日グルメランキング、ナンバーワンだと思っている。異論は認める(キリッ
俺の場合、お好み焼きはよく夕飯でも作っていた。
具材を混ぜてフライパンで焼くと大きさも腹持ちも丁度いいからな。
小麦粉と細切りにしたキャベツ、青ネギ、紅ショウガの代わりに生姜を入れて、水を入れながらダマにならないように混ぜていく。
これで生地は完成だ。
あとは豚バラ肉を鉄板で焼くのと並行して、生地を形を整えながら焼いていく。
あとはソースとマヨネーズをかければ
「よし、これでお好み焼きの完成と」
作ってて思うのはどれだけ日本の食卓に魚介が多く入っているのかということだ。
お好み焼きにかける青のり、鰹節は海産物だ。
無くてもできるけど、無いと少し物足りなさを感じる。
早く魚介類を手に入れたいな。久しぶりに寿司とか食べたいし。
「これもうまいのじゃーーー!!」
「私はチーズ焼きよりこっちの方が好きかもです」
喜んでもらえてるみたいだし、今回はこのままでいこう。
いつかリベンジだ。
ーーーーー
「次は娯楽系の屋台に行こう」
まずは「すくい」と書いてあったフォルムチェンジをする。
先ほどのたこ焼きの屋台にあった屋根部分と、金魚など浮かべるための水槽が出来上がった。
色々試してみたところ、意識させれば勝手に水が溜まることも発見した。
「これは何をするものなんですか?」
サラが興味深そうに質問してきた。
「これは水の中に生き物や景品を浮かべてすくい取って遊ぶものなんだ」
あ、そういえばポイがない。
ポイを自分で作らなきゃいけないとなるとかなり手間になるな。
そんな風に考えていたその時
ピコン!
久しぶりに頭のなかで音がした。
こういうときはステータスを見るとヒントがあったりするんだよな。
改めてステータス表示をみてると
名前 リュウ
種族 人間
年齢 25
レベル48
HP8720/8720
MP53200/130400
スキル 「屋台」 フォルム すくい
創造魔法 ポイ
収納魔法 創作収納 収容量23%
屋台魔法 透明化、フォルムチェンジ(キッチン、テント、大砲、射的、すくい、たこ焼き、精米機、馬車)、屋台召喚、屋台増殖
創造魔法の欄にあったものがごっそりなくなっていた。
フォルムチェンジをすると創造魔法で作れるものが変化することもあるのか。
これは今まで知らなかったな。
今まで使っていたキッチンとかだと創造魔法の欄が変わらなかったから気づかなかったんだろう。
試しにポイをイメージしてみると、
水槽の横に1つのポイが現れた。
日本の祭りで見ていたポイはプラスチック製のものが多かったけど、今回創造魔法によってできたものは木製のポイだった。
そして薄い紙が木の枠に張り付いている。
実験としてポイを水の中につけ、動かしてみた。
動かした向きに対してポイを水平にしたときは紙は破けなかったし、反対に流れに垂直にしたときにはすぐに紙が破けた。
紙が破けて5秒くらいすると勝手にポイは消滅する。
ゴミが増えないという意味ではありがたいな。
ちなみにこのポイの消費MPは3だ。
普通の創造魔法よりも作る難易度が高いってことなんだろう。
「今から見せるように、このポイという道具を使って景品を取るんだ」
新たなポイを作り出したあと、サラとレイの前でもう一度実演した。
「結構難易度が高そうですね」
サラの言う通り最初は難しいだろう。
昔やった時は全然うまく行かなかったな。
金魚なんて追いかけているうちにポイが破れたりしたものだ。
後は景品の準備だ。
「レイ。この中に入れられる水中の生き物か、浮かべられる景品を探してきてもらってもいいかな」
いろいろなものを持っているって言ってたし、何かいいものもあるかもしれない。
「わかったぞ、見つけてきてやろう」
レイが了承してくれた。
とりあえず、すくい系に関してはそれぐらいかな。
ーーーーー
「最後は射的だ」
フォルムチェンジさせて出てきたのは、これもまた縁日で見ていた射的の屋台だ。
腰の高さから目線の高さぐらいまでの3段の棚とそこから1m弱の場所に台があって、その上に鉄砲が3つ置いてあった。鉄砲の横には皿も設置されてある。
持ち運びができないように台と紐で固定されてた。
「これはこの鉄砲で棚に置いてある景品を打ち落として獲得する遊びなんだ」
「鉄砲ですか?景品が壊れると思うんですけど」
サラが怪訝そうな顔をする。
「ごめん、言い方を間違えた。鉄砲というより空気銃かな」
ここでまた問題が発生する。
弾がない。ということはこれも創造魔法かな?
ステータス欄を確認してみると
創造魔法 コルク ラムネ
とあった。予想通りだ。
コルクの弾をイメージしてみると、弾が6発出てくる。
試しに1つ鉄砲に弾を込めて、棚の方に向かって撃ってみた。
パン!という子気味良い破裂音と共に弾が前に飛んでいく。
「なるほど、これで景品に当てるんですね!」
サラも納得してくれたみたいだ。
さっきのポイと違って弾は消えないのかなと思って色々試してみた。
結果として6発すべて撃つと弾は消えるらしい。
ちなみにラムネは軽い木の筒に入った状態で棚の上に出現する仕組みになっていた。
これで一種類確保することが出来たぜ。
それと射的の景品についてもレイに依頼する。
景品についてはほぼレイ頼みになりそうだけど、良さそうなものが見つかることを祈るばかりだ。
ーーーーー
「それじゃあ、一度帰るぞ」
レイが使えそうなものを整理しに行くと言い出した。
数日中に帰ってくるとのことだ。
「何かあったら妾に呼び掛けろ、念話ができるからな」
そういえばそうだった。それなら安心だ。
そう言い残すとレイは飛んで帰っていった。
「レイが探している間に俺たちで出来ることをやろう」
「そうですね」
フォルムチェンジついては大体調べられたので俺たちは屋敷に戻った。




