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第65話 レインドラゴンが現れました

 1匹の竜が空から俺たちの事を見下ろしていた。


 ……え?


 20メートルぐらい上空でホバリングするようにして停止している。


 体は真っ青で、太陽の光に当たって体が輝いていた。


 神々しいという言葉がとてもよく似合う竜だ。


 ってそんなこと言っている場合じゃない。どうすればいいんだ?


 あまりの出来事にみんな上を見上げた態勢で立ち尽くしていると、竜がゆっくりとその場で降下し始めた。


 落下地点にいる人たちが慌ててその場所から離れる。


 そして小さな地響きと共に竜が着地した。


 細長い首を持ち上げると、レインドラゴンは声高に叫んだ。


「妾はレインドラゴンである」


 思った通り、今回のクエストの目的であるレインドラゴンのようだ。


 そういえば喋ることが出来るって言ってたよな。


「そこにある食べ物を作ったものは妾の前に出でよ」


 みんなが一斉に俺を見る。


 ちょっ!俺が作ったってばれるじゃんか!



「その男だな。妾の前に来い」


 鋭い目で見つめられたからものすっごく怖かったけど仕方がないから前に出る。


「あの……何の御用でしょうか」


 なにかやらかしてしまったのだろうか。俺の人生終わったな。


「その食べ物を妾に食べさせろ」


「……え?」


 今なんて言った?


「その食べ物を妾に食べさせろ」


 カレーが食べたいのか?


「そういうことなら」


 よそって食べていなかった自分のカレーの皿を上に掲げた。


「ふむ」


 レインドラゴンが俺のカレー皿に鼻を近づける。


「やはり良い香りがするな」


 そしてなめるようにしてカレーライス1人前を平らげる。


 ドラゴンのサイズとしては一口分ぐらいな気がするけど大丈夫かな。


「これは!!うまい、うまいではないかー!!!!」


 レインドラゴンが小躍りするように喜ぶ。


 いやいやそのサイズで動かれると地面が揺れるからやめて!!


「もっと食べたいのじゃが、まだあるか?」


 レインドラゴンがおかわりをご所望する。


「あるにはあるのですが、満足してもらえる分があるかというと……」


 残ってはいるが、もう村の人が大体食べちゃったからドラゴンが食べるような量はない。


「そうか、それなら小さくなってやろう」


 そう言うとレインドラゴンが輝き始めた。


 あまりの眩しさに目を覆う。


 光が収まってから目を開けると、


「ほれ、小さくなったぞ」


 目の前には青い髪をした幼女が立っていた。


 真っ白な服装をしているが、青い髪と青い目のおかげで人間離れしたような面持ちだ。



 あまりのギャップに絶句していると、


「何をしている、早く持ってこぬか!」


 いかん、油断してた。


 8歳児がワガママを言っているようにしか見えないからね。


 俺は慌ててカレーの入った鍋とご飯の入った鍋、レインドラゴン幼女用の皿とスプーンを持ってくる。


 すぐにカレーライスをよそうと手渡した。


 ドラゴン幼女は受け取った瞬間に食べ始める。


「これはいくらでも食べられるな!」


 小さい体に入るとは思えないほど大量にカレーライスを食べていく。


 むしろ食べる時間より、よそう時間のほうが長いんじゃないか?


 食べ続けること15分


「ぷはー!食べた食べた!」


 大鍋1つを平らげて満足したのか地面に座り込んだ。


 どうやら俺は消されずに済みそうだ。


 ほっとしていると、俺の横にジャスティン様がやってきた。


 そして幼女の前に移動すると跪く。


「レインドラゴン様、我が村にお越しいただきありがとうございます。大変申し訳ないのですが、領民が困惑してしまうので館の方にお越しいただけませんか」


 ジャスティン様がそんな提案をする。確かにここにずっといたらみんな戸惑うからな。


「うん、いいぞ。案内しろ」


 レインドラゴンが了承する。


(お願いです、ついてきてください)


 ジャスティン様が俺に小声で助けを求めてきた。


(分かりました)


 このまま後はお任せというわけにもいかないので、俺も同行することにする。


 レインドラゴンの幼女はジャスティン様に連れられて移動した。



 ーーーーー


「妾はレインドラゴンである。呼び方は好きにしてよいぞ」


 ジャスティン様、俺、ルナさん、サラ、レインドラゴンの5人でテーブルに座る。


 誕生日席には普段はジャスティン様が座るのだが今回はレインドラゴンに譲っていた。


「雨竜様と呼べばよろしいでしょうか」


 ジャスティン様が提案する。


「いや、それは古臭い。却下じゃ。もっと可愛らしいものにせよ」


 なんでもいいって言ってたのにめちゃくちゃ理不尽だな。


「そこの食べ物を作った男、名はなんという」


 レインドラゴンが俺に話を振ってきた。


「リュウです」


「リュウという名か。いい名前じゃ。よし、リュウ。お主が名前を考えろ」


 突然むちゃぶりが来た。


 そうだな……レインドラゴン、レインドラゴン……


「レイ様はどうでしょうか」


 呼びやすいしいいと思う。


「レイか。昔そう呼ばれていたこともあったな。それにしよう」


 よかった。役目を全うできたようだ。

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