番外編 レインドラゴンの調査
僕の名前はダミアン。
魔女の杖って名前のパーティーに所属している。
自慢じゃないけどSランクパーティーだ。
もちろん僕がリーダー……って言いたいところだけどリーダーはロンドだ。
口数は少ないやつだけど、とにかく強い。
条件にもよるけど僕は勝てないかな。
今回のクエストは「レインドラゴン」の調査だ。
レインドラゴンと言えば五大竜に数えられる1体で魔物として最上位の中の最上位。
神話の世界にも登場するようなドラゴンだ。
もちろん実在するわけだけど謎な部分も多い。あまり人族と関わらないからだ。
今までドラゴンの討伐をしたことはあるけど、それよりも強いことは確かだね。
冒険者最強の一角であるロンドでさえこのクエストを受けるかどうか悩んだほどだ。
でも、冒険者として最強の竜を見てみたいという気持ちもあった。
それに、近くの村で水害が発生したって情報もあったからね。
僕たちが行くのが一番いいってことでクエストを受ける決断したんだ。
村に行く途中、面白い奴に出会った。リュウだ。
最初、商人クエストを受けるのが設立されてから1年もたっていない商会と聞いたときは大丈夫なのかなって思ってた。
けど、僕の予想は外れたらしい。
リュウはどうやらほぼ無制限のアイテムボックス持ちみたいだ。
それにテントやキッチンといろいろなものも生み出せる。
王都でもここまでのスキル持ちはなかなかいない。
僕は将来ビックになると思うね。
マイマイ村に到着してからは復興の手伝いをした。
いつも魔物の被害を受けた村とかで作業をしてたから特に問題はなかった。
ただパーティーのみんなが不思議がっていたのはマイマイ村では魔物による被害がなかったということだ。
大体強い魔物がよその場所からやってくると、森の生態系が乱れて魔物が外に出てきたりする。
でも今回はそう言った動きがない。
たまたまなのかもしれないけど、注意したほうがいいかもしれないな。
村での作業を終えた後、僕たちはシュッツガルドの森に入った。
ここからが僕たちのクエストの本番だ。
「ねえ、リュウからもらったハンバーガー食べようよ」
「まだ森に入ったばかりですの」
森に入って早速、食いしん坊なアミルがユフィにハンバーガーをねだる。
確かに美味しいけど、気を抜いたら駄目だからな。
森に入ってから3日目、深いところまではいってきた。
「止まってくれ」
先頭を歩いていたロンドが止まるように指示した。
「……何か近づいてくるね」
耳の良いアミルも気づいたようだ。
それぞれ戦闘態勢をとる。
僕のスキルは「水魔法師」といって水を作ることと水を操ることが出来る。
だから水魔法を使って体の周りに水球を浮遊させる。
前方から木々をなぎ倒す音が聞こえてきた。
目の前に長さ10メートルほどの巨大な蛇が現れる。
「アナコブラだな。Bランクの魔物だ。毒に気をつけろ」
ロンドが注意をする。
「ここはうちがやるよ。みんなは待ってて!」
アミルがそう言うと走り出した。せっかちだな。
持ち前の身体能力でジグザグに走りながらアナコブラに近づく。
アナコブラは向かってくるアミルに対して、曲げていた首を素早く伸ばし噛みついた。
普通の人ならこれで絶命だ。
しかしアミルは既に別の場所に移動していた。スピードはアミルの方が一枚上手のようだ。
そのことを察知したアナコブラは次の攻撃に出る。
毒霧だ。
蛇の口から紫色の物体が放出され、周囲に紫色の霧が立ち込める。その霧に触れた植物たちが瞬く間に枯れていく。
これでうかつに近づけなくなったな。
「付加炎」
アミルが呪文を唱える。
すると持っている剣から真っ赤な炎が現れた。
「一気に決めちゃうよ!」
彼女は空中高く飛び上がると、上段に構えた剣をアナコブラへと思いっきり振りぬいた。
剣が描いた軌道の延長線上が爆音とともに炎に包まれていく。
僕はあまりのまぶしさに目を覆った。
光が収まって来たので目を開けると……アミルが申し訳なさそうにこっちを向いていた。
「ごめん、やりすぎちゃった」
アナコブラは消し炭になっていたのはもちろん、火が木々に燃え移って山火事になっていた。
あのね……やりすぎ!!!!!
「まったく、僕の事も考えてよ」
結局僕が水魔法を使って消火活動をすることになった。
「……てへっ」
アミルが可愛い子ぶるけどその手は通用しないぞ。
「今回は調査が任務だ。これでレインドラゴンに気付かれたらどうする」
「そうですの。自覚を持つですの」
ロンドとユフィも真面目に注意する。
「ごめんなさい」
アミルは2人の話はちゃんと聞くんだよな。あれか、性格の差か?
「よし、消火活動終了。先に行こう」
ここからは気を付けて進まないと。
ーーーーー
森に入って4日目アミルが怪訝そうな顔をした。
「おかしい、大量の水の匂いがする。近くに湖があるよ」
アミルが鼻をクンクンさせる。
「そんなはずはない」
ロンドが否定する。確かに地図を見る限り森の中心部には湖はないし、それらしき光景も見当たらない。
「でも、確かにあるよ」
アミルがここまで主張するということは本当に存在するのだろう。
だとすると何らかの原因で俺たちの視覚が惑わされている可能性が高い。
考えられるのは
「レインドラゴンか」
そんなことが出来る魔物は多くはない。
「よし、最大限の警戒をしよう」
ロンドの指示に俺たちは頷く。
いつでも戦える体制をとりながら慎重に歩みを進めた。
投稿開始からほぼ2ヶ月が経過しました。
おかげさまで多くの方に読んでいただき感謝の気持ちでいっぱいです。
ここで皆様にお知らせがあります。
これまで毎日投稿をしておりましたが、今日をもって投稿を2日に1回にしたいと思います。
毎日投稿を続けてきたので少し休息を取りたいというのが主な理由です。すみません。
今後も一層皆様に楽しんでいただけるように頑張っていきたいと思うのでご理解のほどよろしくお願いいたします。
引き続き応援よろしくお願いいたします。
slkn




