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第47話 頑張れ豆腐ダイエット

「なんだい?この白くて四角のものは」


 セレド様が怪訝そうな顔でのぞき込む。


「これは豆腐です」


「トウフ……聞いたことないな」


「これは大豆から作られたものです」


 日本の伝統食だからね。セレド様が見たことなくても当たり前だ。


「これも君の地元の料理というわけだね」


 セレド様が人差し指で豆腐を触る。


「かなり柔らかいものだね。食べてみていいかい?」


「はい、どうぞ」


 俺は収納魔法からスプーンを取り出すと、セレド様に手渡した。


「思ったより柔らかいんだね」


 そう感想を漏らしながら、豆腐を口に含む。


「んー、不思議な食感だ。嫌いではないんだけど、味がないね」


「はい、そういう食材です。ここに薬味といってアクセントになる野菜を添えて食べます。少し待っててください」


 その場で屋台をフォルムチェンジしてその上でネギとショウガを刻む。


 そして豆腐の上に醤油をかけてもう一度セレド様に出した。


「味付けとして醤油、テリヤキバーガーに使った調味料の一つをかけています」


 もう一度セレド様がスプーンを使って食べる。


「うん、薬味といったかな、ネギとショウガを加えることでさっぱり食べられるよ」


 と言いながらバクバク食べる。


「お口に合って良かったです」


 あっという間にセレド様が豆腐1丁を平らげた。


「これをお昼ご飯に食べてください」


 お昼は豆腐に置き換えてもらう。


「分かった。これなら沢山食べられそうだしうまく出来そうな気がしてきたよ」


「あの、勘違いしないでほしいんですけど、これを1丁でお願いします」


 いくらカロリーが低くても食べすぎてしまっては意味がない。


「1つ?たったそれだけなのかい?」


 セレド様の顔が一気に暗くなる。


「あともう1つ食べてもいいんですが……」


「何を、何を食べていいんだい?」


 セレド様が俺に飛びついてきた。


 うーん、俺がダイエットをしてた時に食べてたのはあれなんだけど……セレド様気に入るかな。


「これです」


「見たところ、ただの大豆のようだが……臭い!!!なんだこの匂いは!?!?!?!」


 のぞき込んでいたセレド様が鼻をつまむ。


「……納豆という食材です」


「食材!?ただ腐っているだけじゃないか!!」


 セレド様が鼻を抑えながら叫ぶ。


「その通り、腐らせた大豆ですから」


 この匂いを初めて嗅いだらこんな反応になるよね。異世界の人ならなおさらだ。


「食べてみますか?」


 セレド様に納豆を近づける。


「止めてくれ!?絶対に食べないぞ!」


「そうですか……美味しいのに」


 俺が食べてもしょうがないからしまう。


「そうしたら、豆腐を2丁にしましょう」


「2つ……寂しい昼食だ」


「我慢してください。夕飯は普通に食べていいですから」


「本当かい!?」


「はい、ただ、ドーム状のパンは半分までに控えてください。他のものは食べて大丈夫です」


 炭水化物カットのためだ。


「あらかじめ言っておきますが、あくまで個人的なダイエットの方法なんで、体に合わないなと思ったらやめてくださいね」


 人によってダイエット方法には向き不向きがあるからね。


「どうしよう、続けていける自信がないよ」


「それなら誰かに監視してもらうしかないんじゃないですか?」


 誰がいいんだろう?モードンさんかな?



 すると後ろから声が聞こえてきた。


「話は聞きましたわ!お兄様!私にお任せください!しっかり見張って差し上げますわ」


 後ろには1人の女の子が立っていた。



 ーーーーー


「ソフィア!いつの間に」


 セレド様が驚く。


「リュウは初めてだったね、紹介しよう。妹のソフィアだ」


 セレド様に紹介してもらった。17歳と言っていたから年の離れた妹ってことだな。


「お初にお目にかかります、リュウです。サート商会というところを経営してます」


 俺はソフィア様に挨拶をする。


「リュウ様の事はお兄様からお話を聞いていますわ。それと野菜バーガー、とってもおいしいですわ」


 セレド様が食べているところを見つけてからは、ソフィア様も食べたりしてたようだ。


「それで、ソフィア様が監視してくださるんですか?」


 やってくれるのならこれほど心強い人はいない。


「はい!モードンだとお兄様は約束を破って食べてしまいますわ!ですから私がやりますわ!」


 ソフィア様はやる気十分だ。


「いや、ソフィア、別に君に見てもらわなくても大丈夫だよ」


 セレド様が嫌そうにする。


「そんなことないですわ、それにもう太ったお兄様のこと見ていられないんですの!いい加減もとに戻ってくださいまし!」


 プイッとソフィア様がそっぽを向く。


「見ていられない?見るに堪えない……嫌い……もう会えない……そんなのは嫌だ!!」


 セレド様がネガティブ連想ゲームを始める。


 そして覚悟を決めた顔をした。


「うん、痩せるよ、ソフィアのために!」


 こういってはなんだけど、セレド様ってシスコンなんだね。まあ10歳近く離れてたら可愛くて仕方ないか。


「さすがお兄様ですわ!!」


 ソフィア様おだてるの上手だな。


「それでは、ソフィア様にお願いしますね」


 その後、ソフィア様にダイエットのやり方を説明して俺は帰宅した。


 ちゃんと痩せてくれるといいな。

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