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第44話 食べてみました

 新店舗を開いてから3週間、店が軌道にのってきた。


 毎日100万クローネ近く売り上げるようになったからギルドに借りたお金もしっかり返すことが出来そうだ。


 おまけに今月の会計報告でサードマーチャントになったとサラから聞いたし。


 それだけ稼げているってことだろうな。


 今日は定休日ということで休みだから、俺、カイン、ショーン、アレンのサート商会4人組で昼飯を食べに行くことになった。


 もちろん俺のおごりだ。みんなに頑張ってもらっているしね。


「どこかいいお店知ってる?」


 3人に質問する。


 俺もここに来て結構経ったけど、ここにずっと住んでいる人たちの方が詳しいからね。


「それならいいお店を知ってますよ」


 アレンがおすすめの店を教えてくれた。


 バレルの定食屋という、その名の通りバレルさんが始めたお店らしい。


 お店の看板メニューは丸々一羽分鳥を使った香草焼きということだ。


 香草焼きか、いいね食べてみたい。


「じゃあそこに行ってみようか」


 ーーーーー


「ここか」


 一般商業地の一角にあるレンガ造りで2階建ての店だ。


 2階は住居になっていて、下が店舗になっている。


 いわゆる地元の定食屋さんって感じだ。


「結構混んでそうだな」


 店の外に人が何人か並んでいるから人気があるんだろうな。


 並ぶこと15分



「いらっしゃいませ……ゲッ!!!」


 従業員の若い女の人が出てきたんだけど、俺の顔を見て何故か微妙な反応をした。


 俺のこと知ってるのかな?


「レベッカさん、こんにちは」


 アレンが女の人に挨拶をする。レベッカさんって言うんだな。


「アレンさん!来てくださってありがとうございます!」


 レベッカさんがさっきよりもテンション高めに返事をする。


 ははーん、この2人良い感じの雰囲気がするな。


 俺そういうのに敏感だから、すぐに分かるんだよ。


「中にご案内しますね!」


 レベッカさんの案内で奥の4人テーブルに座る。


 さっそくメニューを開いてみる。


「とりあえず鳥の香草焼きは頼むことにして……」


 後は野菜スープと何がいいかな?


 ん?新メニューってあるぞ。


「ひき肉香草焼きパンってあるっすね」


 広いくくりで言えば、ハンバーガーに近いよな。ライバルになりそうな商品だ。


 これは調べないと。


 そういうわけで、この新メニューも4つ頼むことにした。



 ーーーーー


「お待たせしました!野菜スープと鳥の香草焼きです」


 注文したメニューが来たので早速食べ始める。


「この鳥すっごく美味いな」


「いいっすねこれ!」


「お、おいしい……」


 俺、カイン、ショーンの3人が感想を漏らす。


 この世界の鶏肉は、日本で食べてた鶏肉よりも脂が少ない。


 だから普通に調理したらパサパサになるはずなんだけど、しっとりとした食感になっている。


 これはここのお店の店主さんの技術が相当すごいんだろうな。



「気に入ってもらえたようでよかったです」


 アレンがほっとしたように言う。


 自分が紹介したお店ってなんというか、責任感があるよね。


「お待たせしました。新メニューのひき肉香草焼きパンです」


 4つのパンがテーブルに置かれた。


 見た目はこの町でよく見るドーム状のパンだ。


 一口かじってみる。


 すると中から豚ひき肉が出てきた!これも美味しいな。


 味付けはさっきの鶏肉によく似た感じだ。


 脂で炒めてあって、バジルのようなハーブの香りも良くする。


 パンの中に閉じ込めてあったからだろうな。


 値段も400クローネとお手頃価格だ。これは売れるぞ。


 4人でご飯を楽しんだ後、俺たちは店を出た。



 ーーーーー


「実はここだけの話なんですけど」


 店を出た後に、アレンが話始めた。


「さっきのひき肉香草焼きパン、ソルーン・バーガーからヒントをもらったらしいです」


 アレンが聞いたところによると、レベッカさんがうちのハンバーガーから着想を得て、ひき肉をパンに詰めることを思いついたらしい。


「もちろん俺は何も教えてないですよ」


 アレンが食い気味に否定する。


「疑ってないから大丈夫だよ」


 それに他の店にパクられたところで、俺としては何も文句を言うつもりはない。


 そもそも俺が考えた料理じゃないからね。


「そうか……うちの店をヒントにね」


 ここで、俺の中であるアイディアが浮かんだ。


「ねえ、カインに質問なんだけどさ」


「何すか?」


「略すけど、さっきのひき肉パン、どう思った?」


「そうっすね、美味しいし売れる商品だと思ったっすけど、まだ改善できそうっすね」


 カインが手を口元に当てながら考え始めた。


「あのパンは中に具を入れるには少し硬いっすね」


 フランスパンぐらい堅いから、具を中に入れて食べるには結構顎の力を利用する。


 みんなちぎって食べるようなパンだからね。


「やっぱりそうだよね。カインならどう工夫する?」


「うーん、柔らかいパンを仕入れられればいいんすけど、うちみたいにはうまくいかないっすよね」


 ここで何かをひらめいた。


「うちからパンを仕入れればいいんすね!」


「惜しい、半分正解!」


 確かにうちから仕入れるというのは正しい。


 ただ、卸す商品はそれじゃない。


「米を卸したいんだ」

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