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閑話 噂のソルーン・バーガー

 あたしの名前はレベッカ。ソルーンっていう街の中にある定食屋の娘。


 今日はある場所に偵察に行こうと思ってるの。


 その場所の名前はソルーン・バーガー。最近街中の噂になってるわ。


 商会ができて1ヶ月でフォースマーチャントでスタンプホルダーになったっていう話を聞いたときは何かの冗談だと思ってた。


 でもその話は本当だったみたいね。


 最近新しい店舗を開いたらしいんだけど、そこにセレド様がいらっしゃったってパパがいってたの。


 この町のみんなが尊敬しているセレド様がお忍びで行く店ってどんな店なんだろう。


 それにそのお店のせいかは分からないけど、最近パパがお客さんの数が少し減っているって言ってたわ。


 このまま放っておけば我が家はピンチになるわ。


 だからパパから休みをもらって今店に向かっているの。


「ここがお店……」


 あたしたちの店より比べ物にならないくらい大きい。それに石造りだから立派だ。


 きっと高い値段の料理でも出しているんだろうなあ。


 中に入ってみると、テーブルが一杯並んでいた。


 誕生日の記念で家族と高いレストランに行ったことがあるけど、そこはもっとテーブルに間隔が空いていたわ。


 え、うちの店?カウンター8席と4人テーブルが2つよ。


「結構混んでいるわね」


 お昼は混んでると思ったから避け夕方に来たけど、それでもかなり席は埋まっている。


 みんな噂を聞いてやってきたのかな。


 列になって並んでいる人がいたから後ろに並んでみる。


「あの、これなんで並んでるんですか?」


 席に座って待てばいいのに。


「ああ、ここで注文をするんだよ。で、自分で席にもっていくんだ」


 前のおじさんが教えてくれた。なるほど、そういうことなのね。


 何分かならんでいると私の番が来た。


「いらっしゃいませ」


 背の高くてガッチリした男の店員さんが応対してくれた。


 ……ちょっとタイプかも。


 はっ!!いけないいけない。敵に隙を見せちゃだめ。


「注文は何になさいますか?」


「一番のおすすめってなんですか?」


「ハンバーガーが看板メニューになっています。セットはよろしいですか?」


「セットもお願いします」


「かしこまりました。セットの飲み物は水ですか?牛乳ですか?」


「うーん、牛乳でお願いします」


「かしこまりました。店内でお食べになりますか?それともお持ち帰りになさいますか?」


「店内でお願いします」


「かしこまりました。お会計は850クローネになります」


 ……思っていたより安いわね。高級商業地にあるような店だからもっとするもんだと思ってたわ。


 それでもうちの店よりは高いけど。


「はい、ちょうどいただきました。番号でお呼びするので札を持ってお待ちください」


 待つこと数分、すぐに出てきたわ。調理が早いうちのパパでさえもう少しかかる。


 トレーをもって、近くの空いている席に移動する。


「こんな料理見たことない」


 パンに肉と野菜が挟んである奇妙な料理だ。


 屋台で売ってた時からその名前は聞いたことがあったけど、あたしは食べなかったからね。


「いただきます!」


 周りを見てみると、みんな手でそのまま食べていたから、それを真似て食べてみる。


「うっっっま!!」


 高いレストランで食べたオークの肉と同じぐらい美味しい。これで600クローネ!?信じられない。


 レストランで1500クローネって言われても安いって感じると思う。


 それにどうやってこんな柔らかい肉をつくっているんだろう。


 中に入っているトマト味のソースとの相性も抜群だ。


 そして付け合わせのポテトってやつ。これもジャガイモのはずなのにジャガイモじゃないみたい。


 熱々で塩が効いたこの味はおつまみにもいいんじゃないかな?


 この店お酒は売ってないみたいだけど。


「これじゃあ勝てるわけないじゃない……」


 うちとの差に愕然となる。このままだとお客さんがここにみんな取られておしまいよ!


「いや、諦めちゃだめ。生き残る策を考えるのよ」


 気持ちを切り替えて打開策を模索することにするわ。



 ーーーーー


「お帰り、ソルーン・バーガーはどうだった?」


 うちの店に戻るとパパが聞いてきた。


「パパ、家族会議よ」


 あたしはサート商会のすごさをパパ、ママ、弟に熱心に説明したわ。


 べ、別にハンバーガーが気に入ったってわけじゃないんだからね!勘違いしないでよ!


「だから私たちも新メニューを考えましょ!」


「そんなこと言われたってそうそうできるもんじゃないぞ」


 確かにパパの言う通り、すぐにできるもんじゃない。


 今あるメニューだってパパが何年もかけて完成させたものばかりだ。


「でも、そうしないとだめなの」


 我が家のためにも残された道はない。


「私が頑張るから」


「レベッカ、立派になったわね」


 ママが感動して泣き始める。


「まだ泣くのは早いわ。完成してからにしてちょうだい」


 なんとしてでも作り出してみせる。


 そしてソルーン・バーガーに勝ってやるんだから!!!


店の名前で似たような場所があるとのことだったので、念のためですが改名させていただくことにしました。


よろしくお願い致します

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