第39話 新メニューが出来ました
「まず最初はこれっすね」
カインが1つ目の調理を終えて俺に渡してくれた。
「ん?見た目は普通のものと変わらないな」
いつも通りハンバーグとトマト、レタス、ケチャップが挟んであるようにしか見えない。
「違うっすよ、食べてみてほしいっす!」
カインが勧めてくる。
「それじゃあ食べてみるよ。いただきます」
一口食べてみてすぐに違いが分かった。
「牛のハンバーグだ!」
「その通りっす!」
豚のあっさりとしたハンバーグとは違い、牛のハンバーグはずっしりとした旨さがあった。
「ポイントは玉ねぎを減らして肉の割合を増やしたことっす」
カインが牛バーグのコツを伝授してくれた。今度自分でもやってみようかな。
「うん、これは採用しよう」
ハンバーガーと言えば牛のイメージだしね。
「値段は……700クローネとかかな。あとでサラとも相談するけど」
豚よりは高く設定してみる。高級商業地に立っているわけだし、そういう人たちに向けた商品を出すのもありだからね。
「よかったっす!あともう一つ考えてみたんですけど、いいっすか?」
「もう1つあるの?見てみたいな」
「了解っす!」
カインが手際よく調理を始める。手際よくっていうか早くてよく見えないけど
「もう1つはこれっす!名前は野菜バーガーっす」
出されたバーガーを見てみるとバンズの中にトマト、キュウリ、レタスあとは卵焼きが入っていた。
ケチャップも塗られている。
「これは……サンドウィッチだね」
たまに朝食で作って食べたりしている。そういえばカインの前で作ったことはなかったかもしれない。
「そういう名前があるんすね。ハンバーガーからヒントをもらって作ってみたっす」
女性客向けということで「肉抜きハンバーガー」を試行錯誤をしていったらしい。
この世界だと総菜パンの文化がなかったから、こういう商品はヒットするかもしれないな。
「じゃあこれも食べてみるね」
普段食べるサンドイッチとパンが違うからか食べ応えがあるように感じるな。
卵焼きが普通のよりしょっぱく作られているからか塩分も丁度良く感じる。
「うん、最高だね」
カインにグッドサインを送る。
「あざっす!」
嬉しそうに反応してくれた。
「この商品は売れ筋になると思うよ」
カインの言う通り女性客に人気になるにはもちろん、お年寄りといった「脂っこい食べ物が苦手な人」にもいい。
何よりハンバーガーが売れにくい朝の時間にも売れるのが予想できる。
良いことづくめだな。
「値段は……400クローネとかかな?」
ハンバーガーよりは安い値段に設定しておこう。
「了解っす!」
ハンバーガー、ハンバーガー(テリヤキ)、牛バーガー、牛バーガー(テリヤキ)、野菜バーガー
今後また増えていくと思うけどとりあえずはこの5種類で始めて行こうと思う。
あとはサイドメニューとしてフライドポテト。
飲み物は今のところ水と牛乳の2種類かな。
「カインを含めた3人にはこれからオープンまでの間は商品のストックを作ることに専念してほしい」
注文が来てからハンバーグを焼いて、具材を挟んでじゃとても間に合わないからね。
収納魔法は時間経過無しだからいつ作っても問題はない。ホント便利なスキルだよ。
みんなも納得してくれたみたいだし、これ以後は任せても大丈夫かな。
「それじゃあ、みんなよろしくね」
ーーーーー
3人にそう言い残すとまたサラのところに戻る。
「調理班の方はどうでしたか?」
サラが聞いてくる。
「うん、クトルとマリーさんも仕事内容は把握できたみたいだし、新メニューの方も大丈夫だったよ」
「え、新メニューですか?気になりますね!」
流石サラだ。食べ物の話になるとテンションが高くなる。
「せっかくだから調理班の人たちに作ってもらおうか」
丁度お昼時だし、みんなで食べるにはちょうどいいだろう。
「そうですね」
「おーい!みんな、そろそろ昼休憩にしようと思うから区切りの良いところで2階に戻って来て!」
練習をしていたスタッフ班が歓声をあげる。みんな楽しみにしてたみたいだな。
全員から牛バーガーとサラダバーガーのどちらかを選んでもらう形で注文をとる。
そしてカインに頼んで作ってもらう。
流石スキル「調理」を持っているだけあって9人分作るのもあっという間だった。
「それじゃ、いただきます!」
「「「いだだきます!」」」
みんなで挨拶をしてから食べ始める。
「うまっ!」
「サイコー!」
「美味しいです!」
うん、反応は上々のようだ。
「おかわりも作ってあるからみんな足りなかったら言ってほしいっす!」
カインが嬉しいことを言ってくれた。
「これは……バクバク……どっちも……バクバク……完璧ですね!!」
サラが右手に牛バーガー、左手に野菜バーガーを持ちながら交互に食べていく。
おいおい、それだと味が混ざるだろ。
「ングッ!!」
サラが苦しそうに胸をたたく。
「急いで食べすぎなんだよ。ほら」
サラに水を渡す。
ゴクゴク!!
あっという間にサラが水を飲み干した。
「ありがとうございます、ついがっついてしまいました」
「まあ、今後気を付けてね。ところで値段の方なんだけど」
「はい、リュウさんの言った値段でいいと思いますよ」
牛バーガー700クローネ、野菜バーガー400クローネで決定した。
「問題はセット料金ですね」
「うん、そうだね」
そこからみんなの意見を聞きつつ値段を確定させていった。
メニュー表
ハンバーガー(ケチャップorテリヤキ)600クローネ
牛バーガー(ケチャップorテリヤキ) 700クローネ
野菜バーガー 400クローネ
セット ポテト+水 +200クローネ
セット ポテト+牛乳 +250クローネ
単品 ポテト 250クローネ
単品 牛乳 100クローネ
こんな感じで設定をしてみた。
ちなみに水は無料で単品バーガーやポテトにつける予定だ。
この世界だと水も有料なのが普通みたいだけど、ここは日本式を採用させてもらうことにした。
なんか水からお金を取るのはしっくりこないからね。もちろん、水だけ注文は無しだ。
あと、持ち帰りでは飲み物は注文できないようにした。だからセットの+200クローネはポテトだけつけることになる。
紙コップに代わるものが今のところないからね。
よし、このメニューで売り出していこう。
メニュー表が不揃いになることはご了承下さい。
いよいよお店がオープンです!




