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第38話 お店を始めよう

 次の日、採用した6人を含めた9人全員が新しい店舗に集まった。


 人数も多いから休憩室に全員で集合する。


「おはようございます」


「「おはようございます」」


 他の全員から返事が返ってくる。人数が多いから緊張するな。


「えー、自分が会長のリュウです。これから説明を始めていきたいと思います……」


「ちょっと待ってください会長」


 カインの奥さんのハンナさんが手を挙げた。


「ハンナさんどうかしました?」


「会長ずっと敬語で喋るんですか?」


 ハンナさんが言うには商会の会長なんだから、もっと偉そうに喋ったほうがいいのではということだ。


 うーん、別に俺偉ぶりたいわけじゃないんだよな。


「せめて敬語をなくしてもらえると」


 それぐらいならいいかな。


「了解、これから敬語は無しで喋ることにするよ。他のみんなもそれでいいかな?」


 確認をとるとみんなが頷いてくれた。


「ありがとう。それじゃあまずは自己紹介から順番にやっていこうか。まずはサラから」


 そういってサラにバトンを渡す。


「私が副会長のサラです。よろしくお願いします。何か商会の事で分からないことがあったら何でも聞いてください。それじゃあ次はカイン君」


「うっす!自分の名前はカインで料理長っす。調理の事とかは自分に聞いてくれるとありがたいっす」


 その後は新しく入ってきた人の自己紹介をしていく。まあみんな簡単に名前を言っていく感じだけど。


「我が名はクトル……闇よりこの現世へ這い出てきた悪魔である。フハハハハ!!!」


 と言って面接同様だだ滑ってるやつは一人いたけどな。言い終わった後涙目になってたけど、それならなぜ言う?


「さて、自己紹介も無事終わったところで、それぞれの仕事を説明していきたいと思う」


 ここからはカインを中心とする調理班とそれ以外のスタッフ班で分かれて説明を始めていく。


「それじゃあスタッフ班の人たちは一緒に来てもらえる?」


 俺は調理班を除いた5人を1階のカウンターの前に連れていく。


「ここで、2人、混んでいるときは3人で注文を取ってもらう」


「ここでですかー?」


 エマが質問してくる。


「うん、普通のレストランとは違う形だからね」


 レジ係の人には注文を紙に書いてもらって、それをレジと調理スペースの間で待機している受け渡し係の人に渡す。


 この時、同じ番号が書かれた2枚の札を受け渡し係とお金を払ったお客さんに渡すのがポイントだ。


「そして注文の紙と札を受け取った受け渡し係の人が、商品を準備して番号が同じ人にその商品を渡す」


 完成した商品が収納魔法に入っているから、そこから取り出す。


 このとき紙をひいたトレーの上にのせて渡すという手順だ。


「それじゃあ1回俺とサラでやってみるよ」


 ハンバーガーを1個注文したという想定で、サラが注文を受け取り、俺が商品を渡す作業を実演する。


「と、まあこんな感じだ」


 お客さんと札の交換するところまでやってみる。


「「おおー」」


 みんな納得してくれたみたいだ。


「あ、あの質問なんですけど」


 ショーンが恐る恐る手をあげる。


「お客さんが食べ終わったあと、どうするんですか?ゴ、ゴミを回収する係もあるんですか?」


「いいところに気付いてくれたね。それはお客さんたち自身で捨ててもらうんだ」


 そういいながら俺は入り口の近くに置いてあるゴミ箱を指差した。


 これがドルホフさんに追加で注文した特製のゴミ箱だ。


「ここにトレーの上に敷いてある紙ごと捨ててもらうんだ」


 この世界にはプラスチックがないから、日本のファストフード店みたいに燃えるごみと燃えないゴミに分けてゴミ箱を作る必要はない。


 だから1つのゴミを入れる場所、その上に飲み残しを入れるところと、あとはトレーの置き場所を作ってもらった。


 これを1階と2階に2ヶ所ずつ設置した。


「ここのゴミを定期的に回収することになる。その時に汚れてる机とか目についたら掃除してくれると助かる」


 説明する仕事はこんな感じかな。


「何か分からないところとかある?」


 特に質問は返ってこない。


「まあ、後は実際にやってみようか。じゃあアレンから順番に」


「分かりました!」


 こうして順番に指導していく。


 みんな初めて収納魔法を使った時には驚いてたけど、すぐに慣れてくれた。これなら問題なさそうだ。


 これが営業を始めてどれだけ機能するかだな。


 特に混んでいるときはいろんなことを同時にやらなきゃいけなくなると思うから、注意しないとね。


「サラ、このままスタッフ班の方見ててもらってもいい?ちょっとカインたちの方見てくる」


「了解です」


 この場をサラに任せて俺は調理スペースの方に向かった。



 ーーーーーー


「こんな感じでハンバーグを作ってほしいっす」


 カインがハンバーグを実際に作りながらマリーさんとクトルにレクチャーしていく。


「こんな風に作るのね、画期的だわ」


「魂を震わせる創造物がこのようにして生まれていたとは、闇の住人ですら知りえないであろうな」


 2人とも真剣に話を聞いているみたいだ。


「師匠、この説明で大丈夫っすか?」


「うん、問題ないよ。ありがとう。あとはここで出すメニューの事だけど」


「うっす、それについては今日までにまとめてきたっす」


 そういうとカインが再び調理を始めた。


 どんなメニューを考えたんだろう。

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