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第35話 メンバー集め その3

「よろしくお願いしまーす!」


 次に入ってきたのは元気いっぱいな女の人だった。歳はカインと同じぐらいかな。金髪で可愛らしい顔立ちで、笑顔がめちゃくちゃ良く似合っている。


 その笑顔のおかげなのか、こっちまでつられてニコニコしてしまう。


「ちょっと!!なんでそんなににやけてるんですか!?」


 サラが俺を横からたたく。


「痛い!力強すぎだって!」


 確かに面接には不適切かもしれないけど、そんな全力の肘鉄はくらわされなくてもいいと思う。


「そんなに怒らないであげてもらえますか?多分私のスキルの影響なんです!」


「あなた、お名前は?」


 ちょっとちょっとサラ、目が怖すぎるって。


 圧迫面接どころじゃないよ。尋問になっちゃうから。


「エマです!」


 エマさんのスキルは「スマイル」というらしく、自分が笑うと相手の人も自然と笑顔で明るくなるのだという。男の人の方が良く効くそうだ。


「そう、スキルの影響なんですね」


 話を聞いてサラがちょっと機嫌を直したようだ。


 あ、やっぱり機嫌は直っていないみたい。俺と目が合ったら睨まれた。


 エマさんはこのスキルを活かして接客業をしたいと思っていたらしく、今回応募したみたいだ。



「ありがとうございましたー!」


 面接を終えた後エマさんは笑顔で退出していった。


「この人もいいんじゃないかな?」


 あの人がレジに立ってたら鬼に金棒な気がする。


「自分も賛成っす!」


「確かにスタッフには適任かもしれないですけど……いや、私情を挟んじゃいけないぞ私……」


 サラが1人でぶつくさいっていた。


「あとで慎重に考えて大丈夫だからな。サラの気持ちも大事だから」


 サラに向かってそう言った。全員納得するのが一番大切なことだ。


 ゆっくり考えてもらおう。


「はい、ありがとうございます」


 サラが笑顔で返事をする。


 よかった、機嫌は直ったみたいだ。



 ーーーーー


 次にやってきたのはアレンという大柄な男の人だった。


 スキルは「体力」を持っているらしい。


 このスキルなら冒険者の方が向いているんじゃないのかなと思ったけど、実はこの体力、パワーアップするという感じの「体力」ではなく、疲れずに働けるという意味の「体力」らしい。


 だから、普通に働きたいということだ。それに命の危険を冒してまで冒険者にはなりたくないとも言っていた。


 やっぱり冒険者は過酷なんだろうな。依頼を受けて何週間も森の中にいるとかもざらにあるみたいだし。


 たまにならやってみたいけど、それをずっとと言われたらきついと思う。


 アレンさんも店の力になってくれると思うから候補入りだ。



 ーーーーー


「よ、よろしくおねがいします……」


 次の人は大分へっぴり腰になりながら入ってきた。男の人で、眼鏡をかけている。


 大人しめの印象だな。


「お名前をお願いします」


 サラが面接を始める。


「は、はひっ!!」


 ガチン!


 舌を噛んだ音がした。めちゃくちゃ痛そう。


「ご、ごめんなさい!ショーンと言います。緊張しちゃってかんじゃいました……」


 痛みが治まってから再びショーンさんが喋りだした。


「落ち着いて喋ってもらって大丈夫ですからね」


「は、はひっ!!」


 ガチン!


 また舌を噛んだな。


「ぼ、僕、人前だとあがってしまうんですよ……そ、それを克服したくてこの募集に応募しました」


 なるほど、改善したいと思っているのか。


「スキルは『心理』といって、すべてわかるわけじゃないですけど、人の心が分かったりします」


 それが原因で人に距離を置かれてしまったことがあったみたいで、それからこんな風になったらしい。


「か、変わりたいんです。是非……雇ってください!!」


 そう言い残してショーンさんは部屋を出ていった。


「なんというか、応援したくなるな」


「そうですね、大変かもしれないですけど、克服してもらいたいですよね」


 ショーンさんも候補入りだな。



 ーーーーー


「次で最後の1人みたいですね」


 サラがリストを見ながらそういう。


「最後の1人か」


 結構な人数見てきたけど、これで終わりだな。


「ちなみに、名前はなんて人?」


「えーっと……ハンナさんですね、女性の方です」


 サラがそういうと、カインがピクッと反応した。


「どうかした?」


「いや、なんでもないっす」


 何か気にしているようだけど、なんでもないのならいいか。


「じゃあ次の人呼びますね」


 そういってサラが外の人を呼んだ。



「よろしくお願いします」


 入ってきたのは赤髪ショートの女の人だった。キリッとした顔で美人さんだ。


「ハンナです。主人のカインがいつもお世話になっています」


 ハンナさんがそう答えた。


「「えーーーーーー!?!?」」


 俺とサラは驚きの声をあげた。

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