第33話 メンバー集め
「契約も済んだことですし、今度は人を集めましょう」
ドルホフ商会を出た後にサラにそういわれた。
「そうだな、何人ぐらい必要だと思う?」
「6人ぐらいは雇う必要があるんじゃないですか?」
カインを中心とする料理班は2人、そしてレジや店内の掃除を担当することになるスタッフ係が4人は新たに雇う必要があるだろうということだ。
計6人、自分たちを合わせて9人で店をまわしていくことになりそうだ。
「募集となると、商人ギルドに広告を出す感じかな?」
入り口横の掲示板なら多くの人に見てもらえるだろう。
「そうですね、募集のポスターを書いてナターシャさんのところへ持っていきましょう」
「じゃあすぐにでも作ろうか」
俺たちは作業をしに家へと向かった。
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作り終えたあとそのまますぐに商人ギルドの方へ向かう
「リュウ様この度はおめでとうございます」
ナターシャさんがあってすぐに俺にお辞儀をする。
「いえいえ、ナターシャさんのおかげでもありますから」
実際にギルドマスターの方に掛け合ってもらったのはナターシャさんだしな。
「やっぱりスタンプホルダーはすごいですね。マスターがリュウ様のスキルを知っていることもありますけど、予想以上に素早く許可が下りました」
これはセレド様にしっかりとしたお礼をしなきゃだめだな。
何がいいんだろう。ポテト無料券かな?
最近モードンさんが屋台に来る頻度が増えた。
前は3日に1回、それでも多かったのに今ではほぼ毎日だ。
セレド様限定でポテトを単品で売るようになったけど、絶対に食べ過ぎな気がする。
おっと、考え事が長すぎたな。
「今日はポスターの掲示の依頼に来ました」
そう言ってナターシャさんにポスターを手渡す。
「従業員の募集ですね。……これ条件良すぎじゃないですか?」
<サート商会>
募集
料理人2名
スタッフ4名(簡単な調理補助あり)
給料月15万クローネ~
休み週1日以上
スタッフの方は調理経験がなくても大丈夫です
アットホームな職場を目指します
来月10日に面接を行います
面接場所は決まり次第この掲示板に連絡します
サート商会会長 リュウ
「うちでは最初はその給与って決めてるので」
サラもカインも最初の月はその給料って約束だったし、平等にこれは変えるつもりはない。
「初任給は良くて10万クローネですからね、これならすぐに人は集まると思いますよ」
ナターシャさんのお墨付きももらったしこれで大丈夫だろう。
「よろしくお願いします」
「かしこまりました。いいところに貼っておきますね」
ナターシャさんが頷いた。
「ありがとうございます。それでは今日はこれで」
後のことは任せることにして、ナターシャさんに広告料を払って商人ギルドを出る。
「さあ、屋台に戻ろうか」
「はい、頑張って稼ぎましょう!」
来月に入ったあたりから開店準備に専念することになるだろうから、今のうちに頑張っておかなきゃいけない。
「ここから1ヶ月が勝負所だ」
「はい!サポートします!」
ーーーーー
時間が経つのはあっという間で、もう面接の日になってしまった。
ドルホフ商会による新店舗の工事はもう進んでいる。
たまに工事の様子をのぞかせてもらったけど凄かった。
コンクリートみたいな液体を魔法で操って壁に塗ったり、それこそ壁や扉を作ったり。
ドルホフさんは全体の指揮を執る大工の棟梁みたいだったな。
部下への指示の出し方も師匠が弟子に厳しい口調でいうあの感じだ。
俺とカインの関係とは大違いだな。まあ別に変える必要はないけど。
厳しく指導とか俺は出来ないし、というか料理のスキルはカインの方が上だからね。
それに追加で必要なものの注文もしたりした。
完成が待ち遠しい。
「そろそろ面接を始めようかなと思ってるんですけど大丈夫ですか?」
サラが俺に確認を取ってくる。
「うん、いいよ。最初の人を連れてきてもらえる?」
「はい、わかりました」
そう言って部屋の外へとサラは出ていった。
面接の場所は後日ナターシャさんに相談して商人ギルドの2階の会議室を貸してもらえることになった。
まだ新店舗の方は工事中だからね。
面接官はもちろん俺とサラとカインの3人だ。
1対3じゃ圧迫面接みたいになっちゃうけど、これから仲間になる人を決めるわけだし、今いるメンバー全員で判断したいからね。
おまけに募集に多くの人が来てくれたらしい。嬉しい限りだ。
その分、何人もお断りしなきゃいけないのは心苦しいけど、精一杯やっていこう。
「最初の人を連れてきました」
部屋の外からサラが声を掛けてくる。こっちも緊張してきたな。
「お願いします!」
外にいるサラに返事を返す。
するとすぐに扉が開いてサラともう1人女の人が入ってきた。
面接開始だ。




