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第28話 第1回サート商会全体会議 その2

「次の議題は、ハンバーグだ」


 カインに頼んでから2週間近く経ったわけだけど、今の状況がどうなっているのかをチェックしてみよう。


「了解っす!さっそくさっきのハンバーグを出してもらってもいいっすか?」


 屋台召喚を使ってハンバーグの入ったかごを取り出した。


「師匠開けてみてほしいっす」


「分かった」


 カインに言われた通り、かごを開けて中に入ってた皿を取り出す。


「どれどれ、おー!!ハンバーグになってる!」


「もう完成したの!?」

 サラも驚きの声をあげる。


 楕円形で表面に焦げ目のついている様子は完全にハンバーグだ。


「まあ、ここまではそんなに苦労しなかったっす。師匠にもアドバイスをもらったっすから」


 カインが微妙な顔をする。納得してないのだろうか。


「なんにせよ味見してみよう」


 俺はフォークを使ってハンバーグを2つに割り、サラと半分ずつ食べることにした。


「それじゃあいただきます」

「いただきます」


 2人同時に食べる。そして味を確かめるように慎重に噛む。


「ん?なんか違うな」

 食べた率直な感想はこれだ。決して不味いわけじゃない。


 不味いわけではないけど、何かが違う。


「確かにリュウさんの言う通りハンバーグとは違いますね。これはこれで好きですけど」


 サラも同じことを思ったようだ。


「リュウさんに言われたようにミンチした豚肉と玉ねぎと卵を入れてこねたっす。でも問題は蒸し焼きってやつが上手くいかないっす」


 こうなっている原因は俺にある。実家にいたときに使っている材料は聞いたことがあるが、作っている作業までは見たことがなかった。


 だから分量とか作り方がさっぱりわからない。


 一人暮らしの時にも作らなかったからお手上げだ。


 親の手伝いとかしておけばよかったなあ。


 蒸し焼きは容器を密閉して蒸気を利用しながら焼くものだってことはなんとなく知ってたからそれは伝えたけど、上手くいかなかったみたいだ。


「水の量も変えてみたんですけど上手くいかなかったっす」


「水でやったのか」


 思い出した。鍋に入っている肉団子だ!それに近くなっているからどこかで食べたことある味なのか。


「そしたら今度水以外のものでやってみたらいいかもしれない。なんだろう、酒とか」


 酒蒸しって言葉もあるぐらいだし、やってみる価値はあるだろう。


「わかったっす、今やってみてもいいっすか?」


「うん、時間はまだたっぷりあるからやってみよう」


 というわけで俺の家のキッチンを使ってもらって試作品2号を作ってもらうことになった。


 待つこと30分


「出来たっす!」


 試作品2号が完成した。


「「いただきます!」」


 今度は3人で食べてみる。


「うっま!!」

「ハンバーグですね!」

「完成したっす!!」


 俺の魔法で作ったハンバーグとほぼ変わらないものが出来上がった。これなら十分商品として売り出せる。


「カインのおかげだよ。本当にありがとう!」


「ミッションを達成できてよかったっす!」

 カインは安堵の表情を浮かべる。


 これで1つ先に進むことが出来る!


 ーーーーー


「それにしてもよくこんな短期間で作ることが出来たな」


 いくら調理のスキルを持ってるとはいえ、今までこの世界になかった料理を作るなんてとんでもない才能だ。


「いっぱい試作品を作ったっす。自分じゃ食べきれないっすから奥さんとかおばちゃんの宿の人に試食とか協力してもらったからっす。俺だけの力じゃないっすよ」


 なるほどな、身内の人にも手伝ってもらったのか。頭が上がらないな。


 ただ、なんだろう。さっきの肉団子じゃないけどなんか違和感がある。


「カイン君。今、奥さんって言った?」


 サラが質問する。それだ!俺が聞きたかったのは。


「はい、3ヶ月前に結婚したっす!おばちゃんの宿で働いてるっす」


「そういえば、カインって18歳だよね?ちょっと若すぎないかな?」


「そんなことないっす。みんなこの年あたりになったら大体結婚するっすよ!」


 18歳で結婚かぁ。その頃友達に彼女いるやつもいなかったから、そのことが当たり前だったんだよな。


 で、大学入ったら自然と彼女が出来るもんだと思ってたけど全然そんなことはなかった。


 そのまま現在に至っているわけだけど、改善の仕方が分かりません。


 その後は新婚のカインの惚気話をたっぷりと聞かされた。


 ーーーーー


「……よし、これまでの事を一度まとめようか」


 惚気話で心のHPはゼロだが、気を取り直して会議を再開する。


「はい、整理しますね」


 サラがまとめなおしてくれた。


 第一にみんなで物件を見に行ってここでいいかの最終決定をすること。


 まだサラとカインは物件を見れてないからね。それがいいと思う。


 次に建築の商会に行って内装や設備の見積もりを出してもらうこと。


 これも大事な作業だ。


「そして、その見積もりと計画書を持ってギルドにいってお金を借ります」


 ここでOKが出ない限り店は始められないから、1番の山場かもしれない。


 その後は店の工事をしてもらいつつ、スタッフの募集をかける。


 売り出すメニューとかも決定しないとね


 店と人の準備が出来たらいよいよオープンだ。


「ざっとこんな感じですかね」


「じゃあこれから早速みんなで物件を見に行こうか、あと商会にも行けたら行こう」


 これで俺の家で話すことはなくなったな。


「よし、これにて第一回サート商会全体会議を終わります」


 再び全員で姿勢を正す。


「「「ありがとうございました!」」」



おかげさまで総合評価が2000ptを突破しました!


まだまだ頑張っていきます!

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