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第25話 場所探し

 2日後、今度は俺の後半のシフトが空いた。


「それじゃあ後は頼むね。終わりになったら報告しに来てくれると助かる」


「「了解です(っす)!」」


 店仕舞いをした後は屋台を消滅させる必要があるからな。ここだけは俺がやらないといけない。


 2人に別れを告げた後、俺は商人ギルドに向かった。



 ーーーーー


 商人ギルドに入ると、すぐに


「いらっしゃいませ、リュウ様ですねナターシャさんにお繋ぎします」


 と入り口横の職員さんに言われた。


 え、顔覚えられてるの?



「お疲れ様です。例の件ですね、それじゃあさっそく2階に行きましょう」


 ナターシャさんがすぐにやってきた。


「あの、俺顔覚えられてるみたいなんですけど」


 移動しながらナターシャさんにそのことを聞いてみる。


「それはそうですよ。商人ギルド史上最速のスタンプホルダー。職員が覚えないわけないです」


 ナターシャさんが当然とでも言うように答えた。


「おかげで私の株もどんどん上がってます。次のボーナスが楽しみです」


 スキップしそうなぐらいご機嫌になる。


「それはおめでとうございます」

 ナターシャさんにもプラスになっているのなら嬉しいな。


「ホントですよ。というかそう思ってないとやってられないんです」


 今度は彼女の足取りが急に重くなった。


「今までおとなしく働いてたのに、急にギルドの中で注目されるようになって、挙句の果てには雲の上の存在だったギルドマスター直属の部下にされてってもう変わりすぎです」


 そして不満もぶちまけ始める。


 あの、こんなこと言っていいのかは分からないけど、それ俺に言うことなのかな?うん。


「あ、リュウさんは何も悪くないですよ。これまで通りどんどんやらかしてください。私も頑張りますから」


 俺に向かってグッドサインをする。


 ナターシャさんってとても真面目そうだけど案外ぶっちゃけキャラだな。


 まあ暗い人よりはいいか。



「さあ、部屋に着きました」


 2階にある部屋の1つに案内された。


「さて、今日は物件の話でいいでしょうか」


「はい、そのことについて聞きに来ました」


 新しくやる店の物件を決めるためだ。商人ギルドで管理している物件を見せてもらう約束をしてたからね。


「リュウさんが会長なんだからリュウさんが店の場所決めてください」ってサラに言われたからな。


 最初の下見は俺がすることになった。


 責任重大だ。それに合わせて計画も立てていくって言ってたしな。


「前から言ってくださってたので探しておいた物件が3つあります。納得いかないようならまた探しますので今日はその3店舗を見ていただきたいなと思います」


「分かりました。よろしくお願いします」


 とりあえず図面上で説明をしてもらった後、実際に店の候補地に移動した。



 ーーーーー


「一つ目がここです」


 案内されたのは一般商業地区にある商店街の一角だった。


 1階が店舗で2階が住宅。日本の商店街でも見られるような家だ。


「ここのメリットはもともと住んでいた人が総菜屋をやっていたので、調理に使う設備がそのまま残っているところです」


 夫婦でやっていたらしいが歳を理由に店をたたんだそうだ。


 確かに基本的な調理設備が整っているから初期投資が抑えられそうだ。


 今までのテイクアウト方式の展開を考えるならここもありだな。


「ここの賃料はいくらでしたっけ?」


「上の居住スペースと合わせて65万クローネです」


 うん、今の売り上げから考えても払えない金額ではないな。


「ありがとうございます。次のところお願いします」


 とりあえず候補に入れておこう。



 ーーーーー


「次がこちらです」


 今度の場所は一般商業地区から大通りを挟んで高級商業地に入ってすぐのところにある石造り2階建ての建物だった。


「結構大きいですね」


 イメージとしては郊外にあるファストフード店ぐらいの大きさと言えばいいだろうか。


 1階と2階は別々の物件ではなく、中の階段で繋がっていた。


「ここ昔何があったんですか?」


「薬屋だったんですよ」


 1階は店舗、2階は薬草とかを置く倉庫だったみたいだ。


 冒険者だったりに商品を売っていたらしい。



「広さとしてはちょうどいいな」

 調理スペースを確保しても1階に40席ぐらいは置けそうだ。


 それに2階に半分は席を作るとして、もう半分は従業員スペース、というかサート商会の事務所を設置できるな。


 今まで俺の家の4人テーブルが事務所みたいだったしちょうどいいかも。


「ちなみに賃料は?」


「400万クローネですね」


 うわ、高いな。しっかり稼がないと払えなくなる金額だ。


「それにこちらには調理設備がありませんから」


 それの費用も合わせると最初の月は出費がかなりかさみそうだ。


 でもハンバーガー屋をやるにはまさしくここっていう場所だからいいな。


 角ではないけど大通りから近いから集客にも良い場所だろう。


「ここも気に入りました」


「ありがとうございます。それじゃ最後の場所に行きましょうか」


「あの、最後の場所ほんとに行くんですか?」


 さっきギルドで図面を見せてもらったけどここだけはどうもおかしい。


「いや、あのギルドマスター命令なので。見るだけでもお願いします」


「あ、そうですか。それなら行きます」


 お偉いさんに言われたのならしょうがない。



 ーーーーー


「はぁ、着きました」


 3件目に到着したわけだが、その場所は商人ギルドの向かいにある石造り5階の建物の最上階だった。


「いや、確かにいい場所ですけどね」


 フストリア家所有の建物で眺めも最高。すぐ横が城だ。


 おまけに魔道具による空間転移魔法付き。1階から5階まですぐにワープすることができる。


 この時点で誰が絡んでいるのかはわかるんだけどさ。


「えー、り、領主のセレド様からの伝言です。やあ、リュウ、この場所が気に入ってもらえたかい?もし気に入ってもらえたならすぐに報告してね。待ってるよ」


 ナターシャさんが困惑しながら伝言を読み上げる。


 あの領主様何を考えてるんだか。こんな場所でハンバーガー屋開けるわけないでしょ。


 どんな高級店を想像してるんだ?


 前々からいい場所があるってセレド様からアプローチされてたけどずっと断っていた。


 タイミングの問題もあるからね。


 モードンさんも「あの領主のわがままなだけなので断っていい」って言ってたし。


 で、今回店の場所を探すってなったらここを勧めてきたのか......


「ちなみに賃料はどれぐらいですか?」


 値段が安いなら考えないことも......


「1800万クローネです」


 却下ぁぁぁぁぁ!!!!!!

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