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第23話 スキル「屋台」の欠点

「「欠点??」」


 サラとカインの2人が同時に首をかしげる。


「そんなものありましたっけ?」


「まあ、ちょっと見ててよ」


 俺は創作魔法を使って豚肉、卵、玉ねぎ、ハンバーグを皿にのせる。


「まず、スキル『屋台』についての説明なんだけど、俺の場合は創造魔法で必要な素材を作った後に調理魔法を使って作るのね」


 豚肉、卵、玉ねぎはそれぞれMP1ずつ使って、調理魔法を使うから計MP8だ。


 細かい食材、例えばパンを作るときに必要な食塩とかドライイーストとかの少量の物については創造魔法を経由していないみたいだからMP消費はない。


 ここは創作魔法や調理魔法のメリットと言えるな。


「この時、問題なのが調理魔法を使うと食材のロスが出るってことなんだ」


「「ロス?」」


 創造魔法によって作られる量はMP1につき豚肉だと300g日本のスーパーだったらおおよそ300円分だ。


 他の食材も200~300円分、玉ねぎは大きさにもよるけど3個、卵は10個だ。


 それにも関わらず、調理魔法を使うとハンバーグ1個になってしまう。


 言い換えると、ハンバーグ1つ作るのに豚肉300g、玉ねぎ3個、卵10個を使っているということだ。


「確かに効率が悪いですね」

 サラが首を縦に振る。


 単純計算で3分の1になっているわけだからな。


 もちろんMPがかなり増えているから今のまま販売数を増やすことは問題ないんだけど、余裕は出来るだけあったほうがいい。


「それに、もしも俺に何かあった時、俺のスキルに頼りきりだと店も完全に立ち行かなくなっちゃうからね」


 今から対処して行けば、最悪、俺がいなくなっても、食材さえ仕入れることが出来れば店は続けることが可能になる。


 仕入れ分利益は減るだろうが、そもそも原価がゼロって商売としておかしいわけだから、なんとかやっていくことは出来るだろう。


 サラやカイン、そして将来商会に入る人を守るためにも考えなきゃいけないことだ。


「質問なんすけど、なんで豚肉とか野菜とかをそのまま売らないんすか?ロスが出ないし大儲けできると思うんすけど?」


 カインが納得いかないという感じで質問する。


「これは私の方から説明しますね」


 サラが軽く咳ばらいをする。


「カイン君は料理人だよね?もしリュウさんの作る野菜と八百屋で売ってる野菜、リュウさんの野菜の方が安い値段で売ってたらどっちを買う?」


「師匠の野菜の方が質がいいし安いんで、師匠の方の野菜を選ぶっす!」


「だよね。リュウさんの野菜ばかり売れて八百屋の野菜が余るよね。そうなると誰が困る?」


「八百屋と農家っす!あ!!!」

 カインも分かったようだ。


「そう。他の人に迷惑がかかるの。もちろん商売として他の競争相手に勝つことは大切だけど、リュウさんの場合自分で野菜を作っているから得するのがサート商会だけ。そこが問題なの」


「なるほどっす!サラ先輩!」


 本来ならそれに伴って野菜を作る農家も儲かったりするわけだが、その農家すらいない。


「だからもしリュウさんが本気を出したら、このフストリア領全体の農家を廃業させることすらできる。ね、バケモノでしょ?」


「だからバケモノっていうなよ」


 極端な話すぎるけど、理論上は可能とも言えるから怖いよな。


 将来的に野菜とかを売るようなときはくるかもしれないが、変に安い値段で売ったりはしないつもりだ。


 そんなことして他の人を困らせたくないからね。


 とはいえ遠慮しすぎたらこっちも商売ができなくなっちゃうから、それ以上は問題が起こった時に考えよう。


「師匠が優しい人でよかったっす!さすが師匠っす!」


「その通りです!」


 うん、信頼されてるようでなによりだ。



 ーーーーー



「そういうわけで、ハンバーグやフライドポテトを自分たちで作れるようになりたいんだけど、この仕事カインに任せてもいいかな?」


 もちろん俺の方からざっくりとした作り方の説明はすることにはなるだろうけど、料理人のカインにこの仕事を任せた方が適材適所だと思う。


「了解っす!」

 カインが親指を立てる。心強いな。


「ありがとう、助かるよ」


 調理方法が確立すればおのずと必要な調理設備も分かってくる。


 それと同時に想定する内装に見合った物件なんかも探していこう。


「店の準備しつつ、屋台の営業も続けないといけません。そのシフトも考えていきましょう」


 サラも提案してくれる。


「大分具体的になってきたな」


 今まで漠然としか考えてこなかったから、現実味が出てきてちょっとワクワクする。


「リュウさんの店ですか。いいですね!」


「違う違う、サート商会みんなの店だ」


 俺だけの努力で出来るものじゃないからな、サラとカイン2人の協力あっての店だ。


「「リュウさん!(師匠!)」」


 2人が笑顔になる。


「頑張っていこう!」


「「はい!(おっす!)」」


 うん、この2人となら上手くいきそうだ。


「よし、せっかくだから居酒屋にでも飲みに行くか!」




 ちなみに飲み会、サラがめちゃくちゃ酔っぱらって大変だった。

サラ「リュウさんは、なんでそういつも鈍感なんですかぁぁぁぁ!」


俺「いや何の話???ちょ、痛い痛い痛い!!!」


カイン「サラ先輩やめるっす!」


サラ「さっき頭グリグリされたお返しです!!!」

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