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第22話 スキル「調理」

「実は俺、スキル『調理』っていうのを持っているっす」


 カインはこう答えた。


 スキル調理?料理に向いているのは想像できる。


「具体的には、料理に関するスピードが速くなるスキルっす」


 包丁を使った作業や下ごしらえなどが早くなるスキルらしい。


 カインの場合まだレベルが低くて効果はそれだけのようだが、もっとレベルが上がってくると、煮込んだり焼いたりといった火を使う時間すら短縮できるようになるということだ。


 今の時点で十分すごいスキルだけどな。


「それと俺の場合には派生として味覚魔法っていうものが使えるっす」


 内容としては食べたものの原料が分かるそうだ。


「そしたら味覚魔法を使ってケチャップを調べてみてくれないか?」


「分かったっす。それじゃあ頂くっす」

 カインはハンバーグを口にする。


 そして目を閉じながら真剣に考えている。


 10秒後


「わかったっす!使われているのは……トマトっすね」


「「……」」

 俺とサラは顔を見合わせる。


(ふざけてるのかな?)

(そうだと信じたいんですけど、あの顔見てくださいよ)


 確かにめっちゃドヤ顔してるんだよなぁ。

 逆にかわいそうになってくるな......。


「トマトなのは分かった。それ以外は?」


「わかんないっす」

 なんでも味覚魔法は使われている分量の多い順で分かっていくらしく、レベルの低いカインではまだ1種類しかわからないそうだ。


 これ現状では何の意味もないってことだな。


 ジャングルとか未知の場所で未知の料理を食べたときしか役に立たないだろ。


 バラエティー番組の芋虫を食べるとかそういうやつ。


「あの、勘違いしているみたいっすけど、魔法で分かるのがまだ1種類ってだけっす。

 砂糖に近いものが入っていることまでは分かるっすけど、それ以外で何を使っているかは自分で作って比べたりしてみないと何とも言えないっす」


 確かにそうだよな。勝手に味音痴認定してしまうところだった。


「カインの能力はよくわかった。でもなんでうちなんかに来たかったんだ?」


 そのスキルを持ってるならどんな店でも働けるはずだ。


「それは、師匠の店のハンバーガーを食べて感動したからっすね。ミンチの肉はソーセージ以外に使い道はないと思ってたっすけど、まさかあるなんて、目から鱗っす!それにパンにはさむって発想も今までなかったっす。だから師匠からいろんな技術を教わりたいと思ったっす!」


 カインが熱く語ってくれた。嬉しく思う反面、申し訳ない気持ちになるな。


「俺の事そんな風に見てくれてるのはありがたいんだけど、実は俺そんなにすごい人じゃないよ。ハンバーガーだって俺の地元じゃ当たり前のものだ」


 カインにも俺のスキルについて話した。


 一人暮らしの男飯ぐらいなら俺でもできるけど、ハンバーグだってスキル魔法のおかげだし、ハンバーガーのアイディアも元の世界の受け売りだ。


「な、そんなに大したことないだろ?」


 そういうとカインは首を横に振りながら


「そんなことないっす!スキルがすごいってことは師匠がすごいのと同じっす。それに、アイディアだってこの街で師匠しか知らないってことは師匠がすごいってことっす」


「そうですよ、言ったじゃないですか。三大法則無視するような人が普通の人間なわけないです!バケモノです!!!」


 カインやサラの言う通りかもしれない。俺は前の世界の知識という情報を持ってる。


 これは商人をやっていく上で貴重な財産だ。発想の転換ってやつだな。


「そうだな、2人の言う通りだ。もっと自信を持っていくよ。ありがとう」


 これからはもっとプラスに物事をとらえていこう。


 異世界人なら異世界人らしくってやつかな。


「「はい!!(うっす!!)」」


「さ、気持ちを切り替えたところでだ。サラ」


「はい、なんですか?」


「お前今俺のことなんて言った?」


「あ……いや……えーっと」

 急にサラが目線を逸らし始めた。


「人のことバケモノって言ったよな?」


「それは……その……言葉の綾というか……」


 とりあえず頭をグリグリしておいた。



 ーーーーー


「さて、気を取り直してだ。これからの事を話したい」


 俺は姿勢を正して2人の方を向く。1人は頭を抱えてうずくまってるけど気にせずいこう。


「とりあえずカインの最初の月給は15万クローネってことでいいかな?」


「十分っす!」


 初任給はみんな一緒にということでそうした。


 もちろんサラは会計業務全般を手伝ってもらっているから、今の給料は更に高くなっている。


「了解。次にサラは当然知っているけど、サート商会は今店舗拡大を計画している」


「そんな状況の中で、今一番大事なことは、ハンバーグを自分たちの手で作れるようになることだ」


 お金の準備や人を集めることももちろん大事だが、ここが一番肝心なところだ。


 カインが手を挙げる。


「質問っす!師匠が魔法で作るんじゃないっすか?」


「弟子よ、いい質問だ」

「リュウさん調子乗らないでください」

「ごめんなさい」


 怒られちゃったよ。


「でも私もそのことは初耳です。どういうことですか?」


「確かにカインの言う通り、俺のスキル魔法でハンバーグを作ることは出来る。でもそれじゃダメなんだ」


 そう、このスキルには1つ欠点がある。

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