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第1話 スキル「屋台」

本日2話目の投稿です!

 結論から言うと俺は異世界に来てしまったようだ。


 理由その1、森の中にいる。

 公園の道は綺麗に整えられたイチョウ並木だったのに対し、目の前に広がってるのは完全にジャングル。


 理由その2、時刻が昼間。

 屋台に入るまで夜だったのに一瞬で時間が過ぎている。酒はまだ飲んでいなかったので酔いつぶれて昼間というわけではない。3日前経験したばかりだから確実だ。


 これだけじゃ異世界かわからないはずだって?


 そこで理由その3、目の前に文字が見える。


 名前 リュウ

 種族 人間

 年齢 25

 レベル1

 HP100/100

 MP100/100

 スキル 「屋台」


 こんな表記がまるでARで写しているかのように目の前にあるのだ。


 純文学から漫画まであらゆる本を読んでいた俺にはこれがいわゆるラノベのステータス表示であることをすぐに気付く。意識すれば消すことも表示することも出来る。便利だな。


 名前もリュウとカタカナ表記になっている。


 HP、MPともに100ってあるけど多いのか少ないのかはよくわからん。


 それにスキル「屋台」ってなんだ?どう見ても無双するような戦闘スキルではなさそうだ。


 ちょっとがっかりした気分にもなるが、与えられたものがこれなんだ。しょうがない。


 スキルが「屋台」ということは俺と一緒に転移してきたこの屋台も関係があるということだろう。


 横にあるのは、いかにも昔ながらの中華そばを売ってます、という感じの木製屋台。


 それにもかかわらず屋台の中にはカウンターも調理スペースもガスコンロもない。ただの全体に鉄板がひかれてテーブル状になっているだけだ。


 側面を見てみると片方の側面には扉式の収納スペースがあった。開けてみても中身は空だな。


「なんにしても腹が減ってるんだよな......」

 気になることはいろいろあるが、腹が減っては何もできない。


 目の前を道が通っているとはいえ、街までどれくらいの距離があるかわからないからな。というか街があるのかすらわからない。


 とりあえず森にでも入って食料でも探そうか。


 そんなことを考えているとピコン!という音と共にステータス画面に新たな文字が出てきた。



 創造魔法 水、小麦

 創作魔法 パン

 収納魔法 0%


 どうやら魔法でパンが作れるらしい。でもやり方が分からんな。


 とりあえず頭でパンを想像してみる。

 だが、いつまで経ってもパンが現れる気配はない。


 次に頭の中で小麦をイメージした。すると、ほんの少しだが体の中からエネルギーが抜かれるような感覚がした。上手くいったかも。


 しかし、肝心の小麦がどこにも見つからない。周囲を探してみると......


「あった!!」

 なんと屋台のテーブル上に直で小麦が生えていた。根や土はないことからも魔法で生えたことが一目でわかる。

 成功だ。


 次に水を思い浮かべるとテーブルの上にグラスに入った水が出てくる。


 小麦と水が出来たってことはパンも出来るんじゃないかと考えた俺は、次にパンをイメージした。


 すると、エネルギーが抜かれる感覚と共に目の前にあった小麦と水が鉄板へと吸い込まれていった。


 そして変化を待つこと10秒。


 チリン!


 鈴の音が聞こえると同時に食パンが1本テーブルから出てきた。焼き立てなのか湯気まで見える。めちゃくちゃうまそうだ。


 空腹だった俺は手に取って豪快にパンをちぎり、かぶりついた。


「おお、うまい!」

 焼き立てほやほやだったのもあって、パンの耳まで柔らかくて最高だ。そのままでも十分美味いのだが、ジャムか何かが欲しくなるな。


 そうはいってもジャムが出てくるわけじゃないから、文句はそれぐらいにしておこう。


 夢中になってあっという間に一本食べきってしまった。2斤も食べるなんて初めてだ。


 満腹になった俺は改めてステータスを確認する。

 最初にMAXだったMP値が96に減少しているようだ。


 食パンのおかげで喉が渇いていた俺はもう一度水を作り出して一気に飲む。


 飲み干してから、グラスをテーブルに置くと、そのままグラスは吸い込まれていった。洗わなくていいのは便利だな。




 その後もパンを作ってMP値の変化を調べてみた。


 分かった結果は、


「創造魔法」消費MP1

「創作魔法」消費MP2

「収納魔法」消費MPなし


 パンを作るには、まず創造魔法で小麦を作り、その後、創造魔法の水と創作魔法パンを同時に使ってパンを作る。


 つまり合計の消費値は4だ。


 そして屋台側面の戸棚は収納魔法になっており、100%になるまで物を入れることができる。


 しかも時間経過も無いみたいだから出来立てホヤホヤのパンがいつでも食べられる。これはありがたい。


 また、収納魔法はパン1本、つまり2斤で0.5%なのでパン200本分屋台に入る。

 実際のスペースより物が入るのはさすが魔法だ。


 色々やった結果のステータスがこれだ。


 名前 リュウ

 種族 人間

 年齢 25

 レベル1

 HP100/100

 MP71/100

 スキル 「屋台」

 創造魔法 水、小麦

 創作魔法 パン

 収納魔法 3%


 魔法を使っても経験値は上がらないみたいだし何か別の仕組みがあるんだろう。


 おそらく魔物か何かを倒せば経験値が入るんだろうが、この魔法じゃ戦えないしあまりレベルも上がらない気がする。


 まだわからないことも多いけど、とりあえず水とパンさえあれば生きていけそうだな。


 さて、腹も満たしたことだし街でも目指してみますか。



「お、意外と軽いな」

 俺は屋台を引きながらどこまでも続く一本道を歩き始めた。

また明日投稿します!


応援よろしくお願いします!

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