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第15話 お呼ばれしました その4

 早速俺は屋台召喚を使って屋台を呼び出す。


 ヨーロッパ風の建物の中に昔ながらの中華そば屋台を出すと場違い感がすごいな。


 まあ気にしたら負けだ。


 次に俺は収納魔法を使ってバンズ、トマト、レタス、ケチャップ、そしてハンバーグを取り出す。


 完成したものをそのまま取り出したら調理してから提供したように見えないし、調理魔法のこととかバレたら嫌だしね。


 そしてそこから先の作業はサラに任せることにした。俺には俺の役割があるからだ。


 屋台増殖を使って俺はもう一つ屋台を作る。


 そこからさらに醤油、酒、砂糖、少量の豚の油、エリンギを取り出す。


 エリンギを収納魔法でしまっておいたまな板、包丁を使って細かくみじん切りにする。


 次にフォルムチェンジで屋台をキッチンに変えて、コンロでそれらを豚の脂で炒めた。


 火が通ってきたら醤油、酒、砂糖を加えて味を整えていく。砂糖は少なめに抑えるのが俺流だ。


 特製の照り焼きソースの完成っと。


 バンズ、レタス、ハンバーグ、そしてこのソースをたっぷりとかけてテリヤキバーガーを完成させる。


 さすがに普通のとテリヤキでハンバーガー2個は重いだろうから、皿に半分ずつのせて1つ分にする。


 後は付け合わせで、調理魔法で作ったポテトフライをのせて調理は終了だ。


 流石に直接領主様に食べ物を提供するわけにはいかず、先にモードンさんに毒見をしてもらった。


 そしてモードンさんからOKが出たのでいよいよハンバーガーを出すことになる。


「お待たせしました、特製ハンバーガーセットです。豚肉を使ったものをパンで挟んでいます」


 皿に盛りつけたハンバーガーをセレド様の前に置く。


「これがハンバーガーか、見たことのない形をした料理だな」


「ご主人様、フォークとナイフでございます」

 セレド様の横にいたモードンさんが差し出す。


「いや、聞いた話ではこれは手で直接つかんで食べる料理らしいじゃないか、私もそれにならおう」


 そういってセレド様はそのまま皿に手を伸ばす。


 ケチャップ味のハンバーガーを取ると上品に一口食べる。


 何回かゆっくりと咀嚼した後、突然セレド様はカッと目を見開いた。


 そしてそのままハンバーガーを飲み込むと、さらにもう一口豪快にかぶりつく。


「これはうまい!こんな料理は初めて食べた!!」

 食べる合間にセレド様が興奮気味に声をだす。


 よかった、気に入ってもらえたようだ。


「それにこの付け合わせはなんだ!?ただのジャガイモのようだが外側はパリパリとした食感なのに中はホクホクだ!」


「フライドポテトと言います。ジャガイモを揚げた料理にございます。よろしければポテト用にケチャップをお出ししましょうか?そのハンバーガーの中に入っているトマトのソースの事です」


「なに!?危うくポテトなるものを食べ終わってしまうところだったではないか!!早く出してくれ!」


 俺は素早くケチャップを取り出してセレド様の皿によそった。


 早速セレド様はポテトを手に取り、ケチャップにつけて食べる。


「言葉にならないぐらいの感動だ。この世にポテトとケチャップ以上に相性のいいものなどあるのか!?」

 うん、完全にお気に入りみたいだね。


 この調子だともしセレド様が日本のハンバーガーチェーン店に足を運んだら、発狂して喜ぶんだろうなぁ。


「ん!?なんだこれは?食べ慣れない味だな」

 次のハンバーガーに手を出したセレド様が戸惑ったような反応をする。


「それは醤油と呼ばれる、ダイズを発酵させて作る調味料を使ったテリヤキソースというものです。お気に召しませんでしたか?」


「はっこう?聞きなれないな。それにしても、あのダイズからこんなものが出来るのか……てっきり豆スープの具にするくらいしか使い道はないものだと思っていたよ」


 感心して頷きながら食べていた。こっちも反応は良さそうだ。


「む、もうハンバーガーがなくなってしまった。すまないがもう一つ作ってもらえないだろうか?」


「はい!かしこまりました!」


 こうしてセレド様は満足いくまでハンバーガーセットを食べてくれた。



 ーーーーー


「いやー、夢中になって食べてしまった。どれも最高に美味しかったよ。ハンバーガーはもちろん美味しかったがあのポテトも捨てがたい」


 セレド様がお腹をさすりながら言う。


「気に入ってもらえて何よりです」


 領主様ってことは美味しいものもたくさん食べているはずだし、口に合うか心配だったけど、取り越し苦労で済んだみたいだ。


「正直に言って、使われている食材は僕の目から見る限りありきたりのモノだった。ただ、その質は段違いだ。例えば豚肉、何も言わなければオークの肉と言っても気づかないだろう」


 そういえば同じようなことサラも言ってたな。つまり俺のスキルで出来る食材はグレードの高いものが出来るってことだ。


「それと見たことのない調理法もだ。()()()()()()()といった考えは想像すらできないよ。一体君はどこでそんな技術を手に入れてきたんだい?」


「それは……」

 はい!異世界からやってきました!地球という場所の調理法です!


 なんて言ってもまともに信じてもらえないだろうからなぁ。


「実はこの国ではなくもっと遠いところが出身でして」


「へえ、それはどこだい?」

 さらに詳しく聞いてくる。困ったな。


「それ以上は当商会の重大な秘密のためご容赦願います。セレド様」

 横からサラがサポートしてくれた。


「確かにそれをペラペラしゃべったら商売にならないもんね。聞くのは止めにするよ」

 セレド様は大人しく引き下がってくれた。


「あれ?君ってもしかして」

 セレド様がサラの方を見て何か思い出したように言う。


「はい、フストリア領トリアートの男爵アモード・エストロンドが次女、サラでございます。覚えて頂き光栄にございます」


「うん、私の就任式のパーティーの時に来てくれたよね。エストロンド男爵のところに美しいご息女がいるとその時は思ったよ」


「そんな、お恥ずかしい限りです」


「まあどうやら私が声を掛ける前にいい相手に出会ってしまったようだけどね」


 俺の方をちらっと見ながらセレド様はそんなことを言った。


「そ、そんなやめてください!」

 サラが動揺しながら返事をする。


「あの、何の話でしょうか?」

 いまいち話の流れがよくわからんな。


「ん、まだこれからだったのか。それにこの調子だと……頑張りなさい」


 何故かセレド様は哀れみながらサラに言う。


「が、頑張るとかそういうのじゃないですから!!!」

 サラが叫んだ。


 おいおいそんな大声出して、セレド様に対して失礼だぞ。

土日はお昼投稿です!


5月16日追記


サブタイトルを変更させていただきました!


スキル「屋台」で異世界生活~食料生成スキルを手に入れたので、商会を立ち上げようと思います~


に変わります!


引き続き応援よろしくお願いします!

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