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第140話 海へ行く準備と番外編

 次の日、ジーナさんが言っていたものも準備することにした。


「濡れてもいい服といったら水着かな」


「私、水着を買うのは初めてです!」


 サラが横で楽しそうにしている。


 まあ、出身がフストリア領の内陸だからな。海遊びとは無縁だっただろうし。


 川遊びも普通の服で入っていたみたいだ。


 宿の近くに「リーベック洋服店」という店を見つけた。


 中を探してみると、水着のコーナーを発見する。


 思っていたよりも品ぞろえがあるな。


 流石に現代日本ほどデザインが豊富にあるわけではないが、選ぶのには困らなそうだ。


 ちなみに、水着は魔法で加工が施されているらしく、通常の服よりはやや高めだった。


 俺はシンプルなサーフパンツのようなものを選ぶ。


 サラは両手に水着をもって、真剣に悩んでいる。


 これは邪魔しちゃいけないやつだな。


 20分後、最終的にはワンピースタイプの水着を選んでいた。


 これで、水着の準備は出来たな。



「残りの時間は何をしましょうか」


 今日の予定は水着を買うこと以外決めていなかったからな。


「そうだ。せっかくだし、ソルーン・バーガーのメンバーに料理を作ってあげようか」


 俺たちだけ楽しむのも申し訳ないからな。


「いいですね!カイン君たちも喜ぶと思います!」


「よし、じゃあ市場に行って材料を調達してこよう」


「はい!」





 ~ハンナ視点~



 あたしの名前はハンナ。


 前はアリアドネの宿というところで働いていたけど、今はソルーン・バーガーという店で夫のカインと一緒に働いている。


 ありがたいことに、この前会長のリュウさんからソルーン・バーガーの店長に任命されたわ。


 リュウさんと副会長のサラさんはケンドットへ視察に行ったからソルーンにいる人の中ではあたしが責任者になる。


 責任重大だけど、頑張るつもりよ。



 ある日の夜、事務室で作業をしていると、


「ハンナ、ご苦労」


「クトル、お疲れ」


 クトルがやってきた。


「今日の売り上げはどうだった?」


 クトルはソルーンの別の場所でケーキ工房という店の責任者をしている。


 もちろん、サート商会系列の店よ。


「ふっ。我ら闇の同盟の手にかかればケーキを売りさばくことなど容易いものよ」


 とクトルが自慢げに言ってきた。


「そう。それは良かった」


 もうすっかりクトルの言い回しには慣れたわ。


 ちなみに、こんな喋り方だけど部下の面倒見はすごくいいから、ケーキ工房のメンバーからかなり慕われている。


 リュウさんの人選は間違っていなかったってことね。


「さあ、手紙が来ているか確認をしないと」


 あたしの仕事の一つに、サラさんから送られてくる手紙を確認するという仕事がある。


 いつも決まった時間に送られてくるけど、たまに違う時間にも送られてくることがあるから時々事務室にある屋台の収納魔法を覗くようにはしている。


 それにしても、この収納魔法はとても便利なのよね。


 リュウさんのスキルだけど、誰でも使えるから使い勝手がとてもいい。


 それに収納魔法はすべての屋台で共通だから、こうやって離れた場所とのやり取りも可能になる。


 本当にリュウさんのスキルは底知れない凄さがあるわ。


「あ、手紙が入っている」


 サラさんから2通の手紙が来ていた。



 ハンナへ


 リュウさんがケンドットの海の幸を使った料理を作ってくれました。

 みんなで食べてください。


 追伸

 使った食材も収納魔法に入れてあるから良かったら、もう一通の手紙と一緒にカイン君に渡してあげてね。



 今日は短めの手紙だった。


「手紙には何て?」


 クトルが聞いてくる。


「リュウさんがケンドットの食材を使って料理を作ってくれたみたいよ」


「何!?海の幸!?」


 クトルも興味津々だ。


「せっかくだし、今いるメンバーで食べよっか」


 全員で一斉に食べることは難しいから、先に今いる人たちで食べることにするわ。


 あたしは、休憩室にいた夫のカインとアレンに声をかけた。




「師匠から料理が届いた!?」


 夫に事情を説明すると、アレンと一緒に急いで休憩室を出てきた。


「どんなものが届いたんだ?」


 事務室に着くなり夫が聞いてくる。


「これから見るところよ。そんな慌てないで頂戴」


 収納魔法から送られてきたものを取り出すと、辺りにいい匂いが立ち込める。


 鍋の中を覗いてみると、見たことがない具材が入ったカレーだった。


 それに、カレーからは嗅いだことのない独特な香りがしてくる。


 一体どんな味がするんだろう。

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