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第130話 お魚を食べたい

今日から新展開に入っていきます!

 リニューアルオープンしてから3週間が経過した。


 おかげさまで無事に軌道に乗ることが出来たよ。


 最初はそんなに多くなかったけど、来てくれたお客さんが他の人を連れて来てくれたりしたおかげで着実に売れ行きを伸ばしていった。


 今では開店前に店の前に行列ができるぐらいだ。


 このままクトルを中心に頑張ってもらおう。



「うーん……」


 俺は会長室でサラと一緒に野菜バーガーを食べながら考え事をしていた。


「……リュウさんどうしたんですか?」


 両手に野菜バーガーを持ち、口を膨らませながらサラが聞いてきた。


「いや……久しぶりに魚を食べたいなと思って」


 たまたまソフィア様の誕生日会の事を思い出してたんだけど、やっぱり魚介類を沢山食べたいという感情に駆られるようになった。


 コース料理の一品だけだと物足りなかったんだよね。


「……そしたら、食べに行きますか?」


 サラが面白いことを思いついたって感じでそう提案してきた。


「えっ!?食べに行く?店あったっけ?」


 ソルーンには淡水魚を扱う店はあったけど、海の魚を扱う店はなかったはず。


「いえ、ゼーベル領に行きましょう!」


「ゼーベル領ってあのレナートさんの?」


「はい、そうです」


 確かにゼーベル領ならば新鮮な魚介類があるはずだ。


「それに、そろそろソルーン以外に出店を考えてもいい時期かもとは思っていたんです」


 サラが少し真面目な雰囲気で切り出した。


「確かにそんな時期か」


 ありがたいことにこの街ではソルーン・バーガーとケーキ工房の2店舗を出店させてもらっている。


 ただ、これ以上この街で出店をするのは難しいだろうというのがサラの判断だった。


 ゼロから食べ物を作るスキルの性質上、あまり一つの街で沢山の店を出しすぎると物流のバランスに影響が出る可能性もあるからね。


「まだ、ゼーベル領に出店すると決めたわけではないですが、視察を兼ねて行くにはとてもいいと思います」


「面白そうだな」


 それに、せっかく異世界に来たわけだからソルーン以外の場所にも色々行ってみたいとは思っていた。


 そう考えると確かにいい機会かもしれない。


「よし!!行くか!サラも一緒に来てくれるか?」


「勿論です!ついていきますよ」


 サラ笑顔で頷いてくれた。


「ありがとう、心強いよ」


 サラが来てくれるならどんな問題が起きても大丈夫な気がする。


 そんなことを考えていたその時



「ちょっと待つのじゃ!!!!」


 大きな声と共に勢いよく扉が開いた。


「妾も連れていくのじゃ!!」


「レイも聞いてたのか?」


 扉の外からよく聞こえたな。


「そんな面白そうな話を聞いたら黙ってはおれん!!それに、お主いつぞやか言ってたであろう?」


「何を?」


「しーふーどカレーじゃ!!」


「ああ、確かに言ったことあるかも」


 そう言えば、レイにシーフードカレーを説明したことがあったな。


 まあ、作りようがないからそういうものがあるって話だけで終わったけども。


「お主について行けばシーフードカレーとやらが食べられるのであろう?ならば妾も行くのじゃ!!」


 レイがそう訴えた。


「俺はいいけど、サラはどう?」


「私もレイ様が来るのは心強いですよ。行ったことがない土地ですし。それに行く仲間が増えた方が楽しいじゃないですか」


「そうじゃろ、そうじゃろ!!サラよく言った!」


 レイが同調し始めた。というかもう行く気満々だな。


 確かにレイがいたらどんな問題が起きても(物理的に)解決できる気がする。


「そしたら3人で行きますか」


「やったのじゃーーーー!!」


 レイがはしゃぎ始める。この姿だけ見たら1000年以上生きているドラゴンには見えないな。


「ちなみにゼーベル領のどこに行くのがいいんだ?」


 一口にゼーベル領といっても広いし街はいくつもあるからね。


「ゼーベル領でしたらケンドットが一番いいんじゃないですか?」


 ケンドットとはゼーベル領最大の都市で海に面しているらしい。


 まあ、フストリア領で言うところのソルーンみたいな感じか。


 そこなら魚介類も沢山売っているだろうとのことだ。


「そこにしよう」


 レナートさんもそこにいるみたいだし、目的地にするにはそこが一番いいだろう。


「それでいつ行くのじゃ?今か?今か?」


 レイがうずうずしている。


「レイ落ち着いて。それにすぐには行けないぞ」


「そうなのか?てっきりこのまま行くのかと思ったぞ」


「いやいや、それは無理だから」


 どれぐらい向こうにいることになるのか分からないから、まずはその準備をしないと。


 そのことを伝えると、


「そうか。すぐに準備するんだぞ」


 レイが引き下がった。


「分かったよ」


 そうと決まったら準備を進めよう。



 ーーーーー


 まずはそのことをカインに伝えに行った。


 たまたまカインが休憩室にいたのですぐに話すことが出来た。


「そうっすか。師匠しばらくソルーンを出るんすね」


「カインも来るか?」


 カインはサート商会でサラの次にずっといるからな。来てくれるのなら心強い。


「いや、俺はやめておくっす。ハンナもいるっすから」


「そうか」


 残念だけどしょうがないか。


「それにこのまま会わなくなるわけじゃないっすから」


「まあ、それもそうだな」


 あくまでもサート商会はソルーンが拠点だ。他の街に店を作ったとしてもここが中心であることには変わりない。


 だから、そんなに寂しくなりはしないな。


「また、ケンドット以外のところに行くときには声をかけて欲しいっす!」


「ああ、そうするよ。留守の間は頼むな」


「うっす!師匠から受け継いだ味を守るっすよ!」

今日は大晦日ですね!


投稿を開始してから今日でちょうど8ヶ月になります。


こうして書き続けられるのも皆様のおかげです。

読んでいただき本当にありがとうございます。


来年も引き続き楽しんでいただけるように頑張りますのでどうぞよろしくお願い致します!


ではよいお年を!!

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