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第126話 誕生日会を終えて

 ダンスパーティが終わった後は、セレド様とソフィア様の終わりの挨拶があってから誕生日会がお開きになった。


 最後に見送りのセレド様とソフィア様にお別れの挨拶をしてから馬車に乗り込む。


 帰りもアモードさんとメリッサさんと同じ馬車だ。


「リュウさんお疲れ様でした。ケーキ見事でしたよ」


 馬車に乗ると、アモードさんが労いの言葉をくれた。


「ありがとうございます」


「サラもお疲れ様」


「お父ちゃんありがとう」


「サラが村を出た後、どんな風に過ごしているのか分からず心配だった。だが昨日今日とサラが働いている姿を見させてもらって安心したよ。良い商会に入ったな」


「うん!」


 サラが笑顔で頷く。


「リュウさん、今後ともサラの事をよろしくお願いします」


 アモードさんが俺に頭を下げる。


「はい。こちらこそお願いします」


 サラはサート商会にはなくてはならない人だ。



「ところで……随分楽しそうにダンスを踊っていましたわね」


 メリッサさんが俺に話を振ってきた。


「はい、ダンスがあんなに楽しいと思いませんでした」


 食事が美味しかったのもよかったけど、一番収穫だったのはダンスだな。


 純粋に踊ることそのものが面白かったし、他の人と交流する機会が持てた。


 パーティでダンスがある理由がよく分かったよ。


「サラがダンスを教えてくれたおかげです」


 そう言ってサラの方を見ると、なぜかサラの顔が真っ赤になっていた。


「ええ、リュ……リュウさんが踊れるようになって、よ……よかったです」


「どうした?」


 急に滑舌も悪くなるし。


「これからも一緒に踊ってあげてくださいね」


 メリッサさんが笑顔でそういった。


「はい。もちろんです……って大丈夫かサラ?」


 赤かったサラの顔が更に赤くなった。


 熱でもあるのか?


「全然全く本当に大丈夫です」


 そう言ってサラが首を横に振る。


「そう。体調には気を付けて」


 今日は一日色々あって疲れたのもあるんだろうな。


 ゆっくり休んで欲しい。



 ーーーーー



「そういえば、アモードさんとメリッサさんはいつお帰りになるんですか?」


「明日には帰る予定です」


「そうですか。帰り道お気を付けください」


「ええ。ありがとうございます」


 そんな話をしていると、ソルーン・バーガーへと着いた。


 サラは2人と一緒に行くらしいので俺だけ馬車から降りる。


「乗せていただきありがとうございました。またお会いしましょう」


 俺はアモードさんとメリッサさんにお別れの挨拶をする。


「こちらこそ。では失礼します」

「是非トリアートにもいらしてくださいね」


 2人がそう言い残すと、馬車はソルーン・バーガーを出発した。


 サラ想いの優しい人達だったな。


 サラの人柄のルーツを見た気がするよ。



 馬車が見えなくなるまで見届けた後、店内に入る。


 すると


「いらっしゃいませ~~。ソルーン・バーガーへようこそ!」


 青い髪の美少女の店員が入り口で出迎えてくれた。


「え?????」


 なんで俺の知らない人が店員をしているんだ??


「なんじゃ、リュウか。せっかくの営業すまいるとやらが無駄になってしまったのう」


 そういって美少女店員がため息をついた。


 ……のう?


「お前……レイか」


「そうじゃ、せっかくだから店の手伝いをしておるのじゃ。偉いじゃろう?」


 レイがドヤ顔をする。


 そういえば、レイには成長したフォルムがあったな。


 マイマイ村のお祭りの儀式のとき以来にその姿を見たから驚いたよ。


「その服はどうした?」


 店の制服を着てるけど誰かから借りたのか?


「魔法じゃ、前に見たことがあるじゃろ」


「ああ、あれか」


 マイマイ村で勇者の劇をしたときにやったやつか。


「どうじゃ、似合っているじゃろ」


 レイがくるっと一回転する。


「似合っていると思うぞ」


 うん、お世辞なく似合っている。


 それに、お客さんからの視線も集まっているな。



「可愛い……まるで女神だ」

「……今の動きにお金を払ってもいい」


 主に男の客からだがそんな声が上がる。


 レイを可愛いと思うのは勝手だが、お金を払うのは止めて欲しい。


 そういう店じゃないからな。



 とりあえずレイに店のみんなには迷惑をかけないようにとだけ伝えて2階へと上がった。



「リュウさん!お疲れ様です」


 休憩室に顔を出すとクトルがいた。


「ありがとう。ケーキは評判だったぞ」


 食事会での反応を伝える。


「本当ですか!?!?よかったです。安心しました……」


 クトルがほっと胸を撫でおろす。


 家に戻る前に店に寄ったのはこれが理由だ。


 クトルが気になるかなと思ったからね。


「ゼ、ゼーベル家のご令嬢が我のケーキを褒めてくれたんですか」


 レナーテさんが美味しかったと言っていたことを伝えるとクトルが驚いていた。


「我……本当にすごい人たちのために料理作ったんですね。我の人生にスゴイ功績が刻まれましたよ!!」


 クトルが小躍りする。確かに料理人として名誉なことだよな。


「評判になったってことは、これから忙しくなると思う。これからもよろしく頼むぞ」


「はい!ケーキ工房の責任者としてその任務を全うしたいと思います」


 そういってクトルが敬礼する。


 うん、頼りになるな。


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