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第125話 ソフィア様の誕生日会 その6

 一曲踊り終えた後、再び休憩スペースまで戻ってきた。


 サラはいなかったから他のところに移動したんだろうな。


「一緒に踊っていただき、ありがとうございました」


 レナーテさんがお礼を言ってきた。


「いえいえ、こちらこそありがとうございます」


 誘ってもらえるなんて名誉なことだよ。


「サート商会は今はソルーンで展開しているんですか?」


「はい、現在ソルーン・バーガーと言う店と、仮ではありますが、ケーキ工房の2店舗を展開しております」


「ソルーン・バーガー!実は昨日食べさせていただいたんです!」


「本当ですか!?」


「はい。昨日ソルーンに来たところソルーン・バーガーの評判を聞きまして。ハンバーガーとても美味でした」


「褒めて頂けて光栄です」


「まさかサート商会が経営していたとは。リュウ様は新しいものを作るのがお上手なんですね」


「とんでもございません」


「ちなみにわたくしの父の領地であるゼーベル領を訪れたことはございますか?」


「いえ、まだないです」


 ゼーベル領はフストリア領のお隣の領地だ。といっても、言うほど近くはない。


 そもそもフストリア領というのは、言い方を変えると「フストリア勢力圏」と言う形になる。


 セレド様がフストリア領と呼ばれるエルランド国南部の広大な範囲を治めていて、その中でサラの実家であるエストロンド家だったり、ジャスティン様だったりがその中で領地を治めている形だ。


 そして、フストリア領の西側に面している勢力圏がゼーベル領である。


 このことから分かるようにお隣といってもかなりの距離があるのだ。


 ただ、前から行ってみたいとは思っているんだよね。


 ゼーベル領は海に面しているため、船を使った交易などで栄えているところだ。


 当然海産物も豊富にあるわけで、俺の海鮮食べたい欲を満たしてくれるはずだ。


「そうですか。機会がありましたら是非遊びにいらしてください」


「はい、伺わせていただきます」


「その際はご連絡くださいね。ではこれにて失礼させていただきます」


 レナートさんはお辞儀をすると笑顔で去っていった。


 良い人だったな。



 ーーーーー


 休憩スペースにいると


「楽しんでいるかい?」


 隣にセレド様が現れた。隣に奥さんを連れている。


「はい、楽しんでいます」


「そうだ、紹介するよ。妻のミレーだ」


「ミレーです。主人がお世話になっております」

「リュウです。セレド様にはいつもお世話になっております」


 ミレーさんと挨拶をする。


「ソフィア様のご婚約。おめでとうございます」


 俺は2人に祝福の言葉を贈る。


「ありがとう。嬉しいような、悲しいような。寂しいような、苦しいような、辛いような……」


 セレド様の言葉がどんどんマイナスになっていく。


「ただ、こうなることは前から分かっていた。残り短いけどソフィアがこの街にいる間出来る限りのことをしてやるつもりだ」


 セレド様は中央で婚約者と一緒に楽しそうに踊っているソフィア様を見ながらそうつぶやいた。


 本当に妹の事を大切に思っているんだな。


「リュウ。最高のケーキを届けてくれてありがとう。ソフィアも来た人たちも喜んでくれた。頼んで正解だったよ」


 セレド様が俺の肩を叩く。


「いえいえ、こちらこそ商会を宣伝してくれてありがとうございます」


 さっきのレナーテさんもそうだけど、サート商会を覚えてもらえたしアピールは大成功だ。


「何、私は大したことをしてないさ。私は後ろからほんの少し後押しをしているだけだよ」


 セレド様が肩をくすめる。こういうところがセレド様のカッコよさだよな。


「サート商会は多くの可能性を秘めている。これからもリュウやサラ達の活躍を楽しみにしてるよ」


「はい、期待に添えるように頑張らせていただきます」


「じゃあ、失礼するよ」


 セレド様はミレー様を連れて去っていった。


 本当にセレド様には憧れるな。



 ーーーーー


 その後、自分からも声をかけたりしてダンスを踊ってみた。


 みんないい人だったし、そういう人たちと知り合うことが出来てとてもいい機会だった。



 その後、疲れたので休憩スペースでサラの事を待っていると


「あ、リュウさん」


 サラが戻ってきた。


「お疲れ様。沢山踊っていたな」


「はい。リュウさんも踊っていましたね」


「ああ。楽しく過ごさせてもらったよ。そうだ。最後にもう一度一緒に踊らないか?」


「いいですね!」


 俺はサラと一緒にダンスフロアへと向かった。



「やっぱりサラとが一番踊りやすいな」


 沢山練習したのもあるけど、気心が知れた人だからこその安心感もある。


「いつも一緒にいますからね。私もリュウさんと踊るのが一番うまく行くと思います」


「これからもこういう機会があったら一緒に踊ろう」


「はい!」



 こうして、俺たちはダンスパーティーを思いっきり楽しんだ。

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