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第123話 ソフィア様の誕生日会 その4

昨日は都合により投稿できませんでした。申し訳ございません。

「順番で言うと、次がデザートですね」


 料理を食べているとサラが教えてくれた。


 いよいよケーキの出番が来たみたいだ。


 すると、前方でセレド様が立ち上がる。


「次が最後の品となります。このデザートはソフィアのために、友人のリュウが経営するサート商会に依頼して作ってもらいました。お願いします」


 セレド様の合図で一番大きなドアが開く。


 そして、台車に乗せられた誕生日ケーキが登場した


 会場中の視線がケーキ注がれる。


「なんだあれは??」

「美しい……」

「どんな味か想像がつかない」


 みんな初めて見る料理だからか、興味津々だ。


 料理長のエルマーさんがゆっくりと運んでいく。


 ケーキがソフィア様の前にたどり着いた。


「素晴らしいですわ!装飾が綺麗でいつまでも見ていたいですわ」


 ソフィア様がうっとりとした表情で眺める。


 ケーキ鑑賞を十分に楽しんでもらったところでエルマーさんが大きな包丁を取り出した。


 そして、包丁を力強く振り上げる。


 次の瞬間、なんとケーキが空中に浮かび上がった。


 エルマーさんはケーキに向かって包丁を振り下ろす。


 すると、ケーキがスパッと縦に切れた。


 このレベルまでくるともはや飛ぶ斬撃だな。


 急にエルマーさんが強い人に見えてきたよ。


 その後もあっという間にケーキがカットされていく。


 最後に大きく包丁を動かすと、カットされたケーキがテーブルにあった一人一人の皿に着地していった。


 俺のところにもケーキが着地する。


 全員に分割されたから2口分ほどのケーキになっていた。


 少し小さく見えるが、お皿に盛られると上品な感じがする。


「綺麗にカットされているな」


 包丁で切ると、断面にクリームがついたり、表面がデコボコしたりすることがあるけどまったくそんなことになっていない。


 初めてケーキを切ったはずなのにすごいな。流石料理人だ。


 みんながケーキを食べ始めると


「これは今まで食べたデザートの中で一番美味い!」

「白くて甘い部分がなめらかで口の中が幸せだわ」

「あっという間に食べてしまった……もっと食べたい」

「こんな素晴らしい物がこの世にあるなんて、なぜ私はこれまで見つけられなかったんだ?」

「セレド様がサート商会と言ってたけど、今度調べてみよう」



 そんな声が他のテーブルから聞こえてくる。


 反応は上々のようだ。


 サート商会に興味も持ってくれているみたいだし、宣伝としてもうまく行ったみたいだな。



「リュウさん、私の言った通り大丈夫だったでしょう?」


 サラがそう言って笑った。


「ああ、喜んでもらえたよ」


 やっと肩の荷が下りたな。



 ーーーーー



 デザートを食べ終わったあと、再び待機室に戻った。


 現在ダンスパーティーの会場の準備中らしい。


「それにしてもセレド様の準備してくれた料理はすごかったな」


 どれも美味しくてかなり満足することができた。


「そうですね。それに色々工夫されていました」


 サラがそう言った。


「料理の技術の事?」


「いえ、出された料理の意図です」


「どういうことだ?」


 意図なんてあったかな?


「まず、新鮮な野菜を使った料理というのは、このフストリア領の豊かさを示すことが出来ます」


 サラが解説を始めてくれた。


 確かに自分のところの野菜を使うことでそのアピールが出来そうだ。


「その為、ソルーンは内陸にあるので、通常手に入りにくいです。それにも関わらずあのような美味しい魚料理を出すことが出来るということは、海に面している領地との友好があるということです」


「なるほど」


 確かにそう捉えられるな。


「コカトリスを使った肉料理はフストリア家の財力を象徴することが出来ます。あの肉は1人前当たり2万クローネはしますから」


「え!?そんなに高いの!!」


 道理で美味しいわけだ。


「そして、最後が私たちサート商会のケーキです」


「俺たちのケーキ?」


 そこにも何か意図があるのか?


「新しいものに対する先見の明といったところですね。自分の領地にはこのような商会と関係性を持っていることをアピール出来ます」


「色々考えられているんだな」


「これも政治の一環ですから」


 料理一つとっても細心の注意を払っているという事だ。セレド様が優秀な領主だって言われる理由がよく分かるよ。


「それに、私たちサート商会への配慮もなされていました」


「俺たちへの配慮?」


「はい、最後のケーキを配る演出です」


「ああ、あの演出は見ていて綺麗だった」


「あの演出、通常であればメインディッシュであるコカトリスを提供する時に使うんです。一番目立つので。それをあえて私たちの料理に使ってくれました」


 普段なら巨大な肉を配る演出に使うのだそう。


 サラに言われてハッとする。


「セレド様はそこまで考えてくれています。お互いにとって利益になるようにすることが大切ですから」


 そう言ってサラは説明を締めくくった。


 セレド様は俺たちの事を利用する代わりに俺たちにとっても利益になるように最大限配慮をしてくれたという事だ。


 セレド様が俺たちの事を大切に思ってくれていることがよく伝わるよ。


 転移してたどり着いた最初の街がこのソルーンで本当に良かった。

次回は3日後の12月13日となります!よろしくお願い致します!

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