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第11話 ハンバーガーを作ってみました

 調理魔法の欄にあるハンバーグを試しに作ってみた。


 今までの魔法と同じようにハンバーグをイメージしてみる。


 チン!電子レンジのような音と一緒に出てきたのは白い皿にのったハンバーグだった。


 ちなみに消費するMPは5だ。他のものに比べると高くなるな。


「これは……実家のハンバーグだな」


 佐藤家ではハンバーグは蒸し焼きだった。それがめちゃくちゃ美味しくて、外でハンバーグを頼んだことがほとんどなかったぐらいだ。


「これはなんですか?」

 サラが涎を垂らしそうになりながら聞いてくる。今更だけどサラってかなり食いしん坊だな。


「これはハンバーグといって豚肉を形がなくなるまで細かくしたものを焼き上げた料理なんだ。俺の地元ではよく食べられてた料理だよ」


「ぶ、豚肉を使った料理ですか」

 もう完全にサラの目はハンバーグをロックオンしていた。


「よかったら食べてみる?」

 これでハンバーグをあげないほど俺は鬼じゃないからな。


「いいんですか!?ありがとうございます!!」


 フォークとか食べるための道具が手元にはなかったから、申し訳ないが手で食べてもらった。


「それではいただきます」

 サラはゴクッと唾を飲み込むとハンバーグにかじりついた。


 そのまま無言でハンバーグを噛み続ける。


「どう、美味しい?」


「……」

 サラからの反応がない。


「おーい、どうした?」

 サラの目の前で手を振ってみた。


「ハッ!!意識が飛んでました。こんなに美味しい食べ物がこの世に存在するんですね!!」


 そう言い終えるやいなや残りのハンバーグを夢中になって食べていった。


「ものすごく肉汁が一杯ですし、玉ねぎの甘さと食感が最高です! こんなおいしい料理、領主様でも食べたことないんじゃないですか?」

 サラから絶賛の嵐を受けた。


 これは売れそうだな。


「よし、そうしたら今日から追加で商品を置くことにしよう」


「ハンバーグですか!?絶対に売れますよ!!」

 サラが首を縦に振る。


「いや、これに少し手を加えて出そうと思ってるんだ」


「加える?今のままでも十分美味しいですよ」


「このハンバーグを使ってハンバーガーを作るんだ」



 ーーーーー



「よし、これで準備OK」


 俺は雑貨屋で包丁、まな板、ボウルやスプーン、フォークなど簡単な調理道具を一揃い買ってきた。


 収納しておけば、かさばらないし、備えとして持っておいたほうがいいからね。


 俺は創造魔法と創作魔法を同時に使ってボウルいっぱいにケチャップを作る。


 少し味見をしてみると、塩分もちょうどよかったからこのまま使えそうだな。


 そのあと、バンズ、トマト、レタスをつくり、包丁を使ってバンズを水平に2つに切る。


 トマトは1センチぐらいの輪切りに、レタスはバンズの上に乗せやすい大きさにカットする。


 バンズの上にレタス、トマト、ハンバーグ、ケチャップを乗せて、最後にバンズをかぶせたら


「よし!完成!」

 おなじみのハンバーガーの完成だ。見た目はおしゃれなカフェで出てきそうな感じだな。


 包丁でハンバーガーを半分にすると、早速二人で味見をしてみる。


「うんま!!!」

 ハンバーグの肉汁はすべてバンズが受け止めてくれるし、何よりケチャップがさっぱりしてるから全然くどくない。


 トマトもレタスも新鮮で少し堅めのバンズとの相性も申し分ない。完璧だ。


「……っっっっっっ!!!!!」

 サラはほっぺたを膨らませながら満面の笑みだ。


「よし、これをそうだな......600クローネで売ろうか」


 これも高すぎると買ってもらえないからね。外食の相場が400~500クローネだったからそれより少し高めに設定してみた。


「これが600クローネ......ここまでくるともう事件ですよ」


「よし、そうと決まったらさっそく作業だ」


 俺たちは二人でどんどんハンバーガーを準備していった。




 ーーーーー


 準備を終え、開店の準備を済ませると早速食パンを求めて人がやってきてくれた。


 中には既に何回か見かけたことのある人もいるから、リピーターの人もいるってことだ。ありがたいな。


 流石に朝一からハンバーガーは売れないと思ったから、昼頃から宣伝を始めた。


「食パンを1つください」

 1人のおじさんが正午ごろに買いに来た。売り込んでみよう。


「ありがとうございます。今日より新しい商品、ハンバーガーの販売を始めました。お昼におひとついかがですか?一つ600クローネとなります」


「ハンバーガー、聞いたことないですね。少し高いけどここのパンは美味しいからなぁ……分かりました。1つください」


「かしこまりました!」

 俺はハンバーガーを一つ取り出し、紙にくるんで手渡す。


「職場に戻って食べてみるよ」

「はい、ご利用ありがとうございました」


 よし、早速一つ売れたぜ。


 その後も食パンを買いに来た客にハンバーガーを勧めてみたり、歩いている人に呼び掛けたりしながら少しずつ売っていった。


 それにサラがいるおかげでハンバーガーを作る作業も交代制でやることが出来たし、人がまとまって来た時には会計作業を手伝ってもらったりとかなり助かった。


 作りながら売りながらは、一人でも出来ないこともないけど大変だからね。


 よし、この調子で売っていこう!!

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