第106話 劇を見に行きました
「リュウさん、約束の劇に行きましょう!」
サラから誘われた。
今度の休みにコメディ系の劇をやるらしい。
「よし、行こうか」
前から約束していたし、俺も楽しみにしていたからね。
「ありがとうございます!」
サラも嬉しそうだ。
「じゃあ、俺が劇の入場券を買ってくるよ」
「何言ってるんですか、私が誘ったんですから私が買います!」
「いや、俺も楽しみにしてたし俺に出させてよ」
サラにお礼をするいい機会だし、ここは俺が出すことにしたい。
「リュウさん本当にありがとうございます」
後日、チケットを買いに劇場へと向かった。
この前見に行った劇場と同じ場所だな。
ここは専門の劇団の劇場というわけではなく、会場を借りる形で行われる形式らしい。
だから、前回見たところとは違う劇団がやるみたいだ。
チケットはこの街の平均は3000クローネ~だが、今回劇は1枚2000クローネ~と比較的お手頃な値段だった。
最近旗揚げしたばかりの新しい劇団らしい。
だから、少し安い値段になっているようだ。
俺はチケットを2枚購入すると劇場を後にした。
ーーーーー
舞台当日、俺とサラは2人で待ち合わせをして劇場へ向かった。
「今日は楽しみですね」
「ああ、俺も楽しみだよ」
サラは軽くスキップしているくらいだ。
この世界だと、舞台を見るのが一番メジャーな娯楽と言ってもいいかもしれない。
テレビや映画があるわけじゃないからね。
あとは、音楽系のライブも主流かな。
そんなわけで、舞台の人気はかなり高い。
このソルーンの街だけで小さいものも含めたら10座近くあるんじゃないかな?
劇場も何か所かあるし。
あと、俺は知らないけど更に有名な劇団だったら国中を巡って舞台をするぐらいだ。
そうなると劇団員も完全に有名人だよな。
「チケットをお見せください」
劇場の入り口でチケットを渡して、席へと向かう。
「お、一番前だな」
せっかくならいい席から見てみたいなと思ったので一番高い席を購入してみた。
そしたらたまたま最前列に座ることが出来た。ラッキーだな。
ちなみに一番高い席と言っても一席5000クローネだからめちゃくちゃ高いというわけではない。
それに、異世界に来てからそれなりにお金はもらっているからこういうところで使うのも悪くはないだろう。
本当にありがたい話だよ。
「こんないい場所で劇を見させてもらえるのは初めてです!」
サラが喜んでいる。
うん、そんな風に思ってもらえるならこの席にして正解だったな。
席に座ってしばらくすると、劇が始まった。
内容としては飲み屋で酔っぱらった男の人が転んでしまい、その際ぶつかった女の人と心が入れ替わってしまう。
そして、それぞれのふりをして生活しながら頑張って戻ろうとするというお話だった。
入れ替わって慌てふためいている姿はとても面白かったし、何より主人公2人の演技力がすごすぎた。
本当に心が入れ替わっているように見えるんだもんな。
流石プロの役者さんなだけあるなと思った。
最後は2人が付き合い始めてキスをしたところで元に戻ったところでハッピーエンドで幕を閉じた。
「面白かったですね!お腹を抱えて笑いましたよ!」
劇場を出た後サラがそういった。
「俺も笑いすぎてお腹痛いよ」
女の体に入った男の主人公が男ノリで女の人に絡んでいくところが笑いが止まらなかった。
その後、サラと一緒に酒屋に言って劇の感想を言い合ったりした。
「ちなみに、サラは普段休日は何をして過ごしてるんだ?」
「そうですね、家で勉強する日が多いですね」
ソルーンの方が本は多いみたいで、まだまだ学ぶことがあるらしい。
「リュウさんは何をしてるんですか?」
「俺も……まあ、そんなところ」
言えない、することがなくてダラダラしてるとか、ショーンやアレンと夜に飲みに行ったりしているなんて言えない。
「……絶対嘘ですよね?」
「はい」
速攻でバレた。
「いいじゃないですか、休みの日は休む日なんですから。私だって楽しくて勉強してるんです」
「俺もそんなことを言ってみたい人生だった」
勉強は避けるだけ避けてきたからな。
「あ、別に一人ぼっちなわけではないですからね」
サート商会の女子メンバーはもちろん、ナターシャさんともよくあったりしているらしい。
営業報告で顔を合わせるうちに仲良くなったんだってさ。
「そう言う意味では俺もサラもこの街に馴染んできたってことなのかな」
もうこの世界に来てから大分経ったからね。
それでもまだまだ知らないことも多いし、ソルーンの外には行ったことがないところが沢山ある。
これからもこの世界を楽しんでいこう。
他愛のないことを話しながらサラと休日を楽しんだ。
良い一日になったよ。




