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第100話 ケーキプロジェクト

第100話の投稿です!

みなさん読んでいただき本当にありがとうございます!

「リュウ、サラはサート商会の会長、副会長として正式に誕生会に招待するから」


 セレド様がとんでもないことを言い出した。


「本当ですか!」


「当然だよ。サート商会はマイマイ村を救ってくれた恩人だ」


 セレド様が理由を教えてくれた。


「ありがとうございます」


 誕生会に招待してもらえるなんて光栄だな。


 領主様の妹の成人祝いだ。きっと豪華なんだろうなぁ。


 楽しみにしておこう。



「また、後日招待状を送るからよろしくね」


「皆様、ケーキをよろしくお願いしますわ!」


 セレド様とソフィア様はそう言い残すと城へと帰っていった。


「我が……誕生日会のケーキ?」


 クトルが呆然としている。


「クトルがそうなるのも分かりますけどね」


 横にいたサラが頷く。


「そんなにすごいのか?」


「はい。ソフィア様の誕生日会となれば、まずフストリア領やその周辺の貴族はみんな招待されます」


「じゃあ、サラのお父さんも?」


「招待されると思います。それ以外にも、リュウさんみたいに有力な商会の会長や、多分エルランド王家の関係者もくるんじゃないですかね」


 だからサラ曰く、ソフィア様を祝うのももちろん、偉い人も集まるから色々重要な意味を持つものになるだろうということだ。


「色々大変そうだな」


「それが貴族の外交ですから。それに、リュウさんにも作法は覚えてもらいますからね」


 そういうパーティーでのマナーとがあるみたいだな。まあ、サート商会の会長として恥はかかないようにしないとね。


「我はそんな場所にケーキを……」


 クトルがアワアワし始める。


「クトルは安心して。今作っているケーキの時点で十分すごいんだから。そんな気負わなくて大丈夫」


 サラとしては、今のケーキの時点で誕生日会の目玉になるくらい十分素晴らしい物とのことだ。


「それにこれはサート商会にとって良い商機です」


 サラの言う通り、そんなすごい人達に食べてもらえるならビジネスのチャンスもかなり広がっていくと思う。


 ケーキは高級品として売り出すからね。貴族相手の方がチャンスは広がる。


 まあ本音を言えばもっと安い値段にしてもっといろんな人に食べて欲しいんだけど、適正価格があるからなぁ。


 それはまた今度サラやクトルとも相談しよう。


「問題は、特大ケーキ作りですけど」


 サラが聞いてくる。


「そこは俺とクトルが頑張ってみるよ」


 多分沢山の回数作ることになると思うからね。


「そしたらクトルにはケーキ作りに専念してもらうことにしましょうか」


 サラが提案してきた。


「うん、俺もそれがいいと思う」


 シフトに入りながらだと負担が大きいからね。それに新しいメンバーも入ってきたことだし問題はないはずだ。


 クトルも納得してくれた。


「それと、もし味見役が必要になったらいつでも呼んでください」


「それってサラがただ食べたいってだけだよな?」


「……それは言わないお約束です」


 まあ、余ったら呼んであげよう。


 余ったらね。


「あと、サラに相談があるんだけど」


「なんですか?」


「サート商会で会議を開きたい。考えがあるんだ」



 ーーーーー


 後日、久しぶりにサート商会会議を開催することにした。


 人数も増えてきたので、メンバーは俺、サラ、ハンナ、カイン、そして今回の議題の中心となるクトルの5人に絞って会議をする。場所は会長室だ。


「会長、話って何でしょうか?」


 ハンナが話を振ってくる。


「今回の議題は、『ケーキ工房』を臨時で作ろうって計画だ」


「ケーキ工房?」


 ハンナが首をかしげる。


 現在、クトルにはソルーン・バーガーの厨房で作ってもらっているが、あまりいいことではない。


 客の入りが少なくなり、厨房の忙しさも減る夜に作業してもらうことでどうにかしていたけど、今後もそうはいかないだろう。


 そのために場所を確保する必要があるはずだ。


「なるほど、確かに必要っすね」


 カインが頷く。


「でも、まだお店を出すには早いのでは?」


 ハンナが疑問の声を上げる。


「ハンナの言う通り、まだお店を出すのは早いと考えています」


 サラが説明を付け加える。


 今のところ、ケーキの予約販売だけで収益が図れるかと言うと見通しが立っていない段階だ。


 そもそもこのスイーツ路線自体が大分高級なものになりそうだから、大量販売を見込めないんだよね。


 サラに「一口サイズのケーキ」とか値段を下げて販売することも提案してみたが、あまり小さすぎると満足感も薄くなるのからどこまで売れるか予想がつかないということで微妙な反応をされた。


 だから、出来るだけケーキの予約販売で収益を上げたいとのことだ。


「そのため、今回の提案はあくまで作業する場所の確保に留めたいと考えています」


 お客さんに販売することを想定しないから、人通りの多い場所に建てる必要もないし、家賃だって安く済む。


 まとめると、ケーキ販売が軌道に乗るまでの一時的な作業スペースの確保ってわけだ。


 当分はケーキ作りの研究と、フルーツバーガーの生産をしてもらう。


「賛成っす」

「賛成です!」

「我も大賛成です!」


 クトルはもちろん、カイン、ハンナの2人からも賛成をもらった。


 よし、ケーキプロジェクトを始動しよう。

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