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第9話 従業員を雇いました

「だ、大丈夫ですか?」


 俺は急いで倒れた人の許へ向かう。


 ぱっと見たところ女の人のようだ。


 うつ伏せに倒れていたので俺はまず軽く背中をたたきながら脈があるのかを確認する。


「う、うーん」

 うめき声が聞こえてきた。呼吸はしっかりあるようだ。


「大丈夫ですか?」

 俺は改めて耳元で声を掛ける。


 するとうつ伏せの状態で顔をこちらに向けて


「み、水をください、、、、」

 か細い声で俺に話しかけてきた。


「水ですか?宿まで行けばありますがそこまで行けますか?」


「近ければなんとか、、、」

「すぐそこですので頑張ってください」


 俺は彼女の背中に手をまわして介抱しながら宿へ向かう。

 幸い宿の目と鼻の先だったからすぐに屋台へと向かった。


 創造魔法で水を作り出しグラスを彼女へと渡す。


「あ、ありがとうございます」

 彼女はお礼を言うと一気に水を飲み干した。


「もう一杯いりますか?」

「ありがとうございます」


 もう一杯受け取るとそれも一気に飲み干す。


「ぷはぁ!!何とか生き返りました!!私サラと言います!本当にありがとうございました!」


 サラさんは飲み終えたグラスを俺に渡しながら俺にお礼を言った。


 さっきは急いでたから良く見てなかったけど、かなり美人だ。


 髪はブロンドのロングでスタイルもよく、顔だちも西洋人っぽいくっきりとした面立ちだ。


 グゥゥゥゥゥゥ


 ものすごく大きなお腹の鳴る音が聞こえる。


「私はリュウと言います。………その……食べ物いりますか?」

 そこまで大きな音を聞いて放置することはできないからな。


「いいんですか!?!?」

 サラさんがめちゃくちゃ食いついてきた。


「ええ、今から準備しますね」

 そういうと俺は屋台からクロワッサンを1つ取り出して彼女に手渡す。


「ありがどうございまず!!」

 何故か涙声のサラさんはクロワッサンを受け取るとそのままかぶりついた。


「うわーーん!!!おいしいよぉぉーーーー!!!」

 食べながら泣きながらしゃべりながらでもはやカオスだ。


「まだあるんで落ち着いて食べてくださいね」


 俺は彼女が落ち着くまでクロワッサンをあげ続けた。



 ーーーーー


「ゲフッ、、本当にありがとうございました。満腹まで食べられたのは久しぶりです」


 サラさんはクロワッサンを15個食べると満足したのか俺にお礼を言ってきた。


「いえいえ、ところでさっき倒れたのは……」

「……はい、空腹のあまり倒れてしまいました」


「なぜそんなことに?」

「それには事情がありまして……」


「場所変えましょうか、ここ屋外ですし」


 急なことだったから水もパンも屋台を停めてあった屋外で渡したが、話を聞くのまでここである必要はないからな。


 俺はサラさんを連れて近くにあった居酒屋へと入った。


「それで事情というのは?」


「はい、実は私フストリア領の中でも辺境も辺境トリアートという村出身でして……もちろんご存じないですよね」


「すいません分からないですね」


 そもそもこの世界の地名ほぼ分からないからね。


「まあいわゆる田舎って場所で農業、林業の村なんです。それで私都会に憧れまして……」


「それでソレーンまで来たと」


「はい、フストリア領の中では一番大きい都市ですから」

 ここまではよくある話だな。


「親も応援してくれたのでお金を持たしてくれたんですが、ここへ来るまでの交通費、あとこの町に入るお金ですべてなくなってしまって……馬車でぼったくられてしまったのと、道中で野盗の被害にあったのが大きいですね」


「それで食べるお金も無くなって倒れた、と」

「はい、お恥ずかしい限りですが」


「それでサラさんはどうするんですか?」


「今日のところは野宿でもして、明日にでもまた仕事を探しに行こうかなと思っています。どうせ見つかりませんけど」


 なんでも身分証まで盗まれてしまってなかなか雇ってくれないみたいだ。


「そしたらサラさん。もし良かったらうちで働きませんか?」


「え、仕事をくれるんですか!?」

 サラさんがイスから立ち上がりながら聞いてくる。


「実は俺商人をやってて、パンを売っているんですよね。と言っても一人ですが。ちょうど従業員を雇おうと思ってたところでして。どうでしょうか?」


 これも何かの縁だ。それに困っている人をこのまま放っておくわけにもいかない。


「ぜひ雇ってください!!!!お願いします!!」

 サラが頭を下げてくる。


「こちらこそよろしくお願いします。給料はそうだな……とりあえず月15万クローネでどうでしょうか?売り上げが順調ならあとからボーナスも出す形で」


「じゅ、15万クローネですか!?!?!?!?」

「すいません安すぎました?」



「多すぎです!!普通新人の給料って良くて10万クローネですよ!」


「うーん、でもせっかく働いてもらうんですから」


「ですからもらいすぎです!!困ってたところを助けてもらった上にそこまでしてもらうわけにはいきませんよ!!」


 サラさんが抵抗してくる。


 でもこっちも譲るわけにはいかないから何とか説得して月15万クローネで納得してもらった。


 あと休みの日も週1日ということで約束した。


 まだ商売を始めたばかりだし、それ以上の休みを保証するのは今は難しいからね。


 サラさんは毎日店を開けて働いてくれるっていったけど、そんなの俺が嫌だから止めた。


 せっかく異世界に来たのに社畜になるのは嫌だからな。


「じゃあサラさん、そんな感じでよろしくお願いします」


「サラで大丈夫です。それに敬語もやめてください。リュウさんが上司なんで」


「そうですか?じゃあサラさ……サラって呼ぶね。ところでサラは今日本当に野宿するつもりなの?」


「はい、まだお金がないので」

 うーん、流石に従業員を野宿させるわけにはいかないからな


「じゃあとりあえず何日かは宿に泊まってもらおうか」


「え、宿ですか?」


「うん、俺さっきの宿に泊まってるんだけど、空きがあるか聞いてみるよ」


「本当に何から何まですみません」


 俺たちは居酒屋を出て宿へと向かう。


 部屋は空いていたからローサさんにとりあえず3泊分お願いしておいた。


「じゃあ俺は先に自分の部屋に戻ってるね。明日からよろしく」


「あの明日ってどこに行けば?」


「あ、ごめん。朝8時にここのロビーに集合で」


「了解しました」


「それじゃお休みなさい」


「はい!お休みなさい!」


 こうして1人従業員を雇うことになった。

明日もお昼過ぎに投稿です!


おかげさまで総合ptが300ptを越えました!

ありがとうございます!

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