プロローグ
こんにちはslknです!
今日より新連載を始めさせていただきます!
皆さんに楽しんでもらえるように精いっぱい頑張りますので応援よろしくお願いします!!
「次は金崎、次は金崎、お出口は右側です」
スマホをいじっていた俺は、電車の車内アナウンスを聞き、座席から立ち上がると、電灯に照らされた夜のホームへと降り立った。
俺こと佐藤竜は、都内の中小企業に勤めるごく普通のサラリーマンだ。
年収は人様に言えるほどの額ではないが、一人暮らしをして、毎月ほんの少しだが貯金ができるぐらいにはもらっている。
「腹も減ったことだし、飯でも食いに行くか」
この街に住み始めてから2年。大学卒業と同時に住み始めたわけだが、仕事に慣れてきたこともあって生活に余裕を感じられるようになってきた。
最近は家の近所にある飲食店をめぐり歩くのがマイブームだ。
駅の改札を抜けると家とは反対の出口を出て、「金町公園商店街」を歩き始める。
ここは昔から続く商店街で、小さな飲食店が沢山あった。
一昨日食べたオシャレなハンバーガー屋もよかったし、昨日のカレー屋もまた行きたい。
「うーん、いまいちピンとこないな」
商店街を進みながらそんなことを考える。何軒か入りたい店はあったが、決めきることができない。
あの店この店と悩んでいる間にとうとう商店街の終わりまで来てしまった。
「公園商店街」とあるように、商店街の突き当たりは大きな公園になっている。
この先には店はないので、先ほど考えた候補の店にでも行こうと体の向きを変えたそのとき、公園の道に白い光が見えた。
「何だあれ?」
よく目を凝らしてみると屋台が一台道の脇にあった。白い暖簾で、文字は書いてない。
何度もこの公園に来たことはあるが、あんなものを見るのは初めてだ。
よし、今日はあそこで食べよう。
そう決めると俺は公園へと足を踏み入れた。
屋台の目の前まで来ると俺は一度深呼吸をする。
屋台で食べるのは生まれて初めてだから少し緊張するな。
「ごめんくださ……」
意を決して暖簾をくぐった俺だったがその言葉を途中で飲み込んだ。
なぜなら目の前の屋台には人も食べ物も何もなかったのだ。ただ、空の屋台がそこにあるだけ。
開店作業の途中だったのだろうか。
でも人がいないのは変だな。
とはいえ仕方ないから、諦めて別の店へ行こうと暖簾の外に出ると……
「…………え?」
目の前には鬱蒼と茂る森。
見上げると澄み切った青空が見えた。
1話目を読んでいただきありがとうございます!
今日は夜にもう1話投稿する予定です。よろしくお願いいたします!