翔龍騎伝 ドラゴン・ライダー! 第1章 龍と女神と幼馴染と?! Act4
ちっちゃな女神さんミレニア。
召喚されたミコは自分が女の子になっている事に気がついた?!
尊は目を疑ったが、間違いなさそうだった。
いつの間にか、少女となっていた自分の姿。
水鏡に映る少女が自分なのだと納得できてはいなかったが。
「栗毛に緑の眼・・・おまけに丸顔・・・どこかで。
そうだ・・・この顔はどこかで観た事がある・・・」
記憶を辿る。
少女となった自分の顔に、どこかで会っていた気がしたから。
「確か・・・僕がちっちゃいころに・・・って?!
この顔はミコ姉の顔じゃないか!」
幼かった頃。
尊が観て来た姉の顔。
その頃の美呼姉は確か・・・
「お転婆で、良く僕をからかっていたっけなぁ・・・この顔で」
水鏡にイーッと、口を伸ばして顔を造る。
確かにそうだと思った。
自分は今、数年前の姉の身体になってしまったのだと。
「この身体だと・・・10歳くらいかな?」
ペタペタ身体を触る・・・確かに自分である事は間違いない。
「あの~っ、ミコ?
体が判ったのなら、魔王を倒せる方法を考えないといけないんじゃないかな?」
そう。
こんな姿になったのも、元を質せば召喚した女神の所為。
気が付いたミコ(ここからそう呼ぶ事にします)が、女神に掴みかかると。
「そうだ!お前が召喚したんだろ?!
どうすれば元に戻れるんだよ?魔王を倒せば帰れるのかよ?!」
帰る方法を問い質そうとした。
「そう!ミコの言った通り。
魔王を倒せれば帰る事が出来るって。
そう聴いたわ!だから倒してね、ミコの手で!」
あっさりと。
女神の様な妖精の様な小人が言い放った。
「だぁーっ!だからぁっ、どうやってだよ?
こんな女の子が魔王を倒せる訳がないじゃないか!」
自分の事を女の事認めた発言に、女神の眼が光る。
「手を放してよね、ミコ。それに落ち着いてよ。
あなたは召喚に応えた・・・それは紛れもない現実。
だとすれば、魔力が備わっている事も間違いのない事。
だって、あなたは今こうして魔王城に居るんだもの」
手をゆっくりと離す。言われた言葉が飲み込めなくて。
「あの・・・魔王のお城・・・なんですか、ここは?」
「そう!レッドアイ・・・紅き瞳の魔王が住む処。
その中に居るのよね・・・私達は!」
質問したミコに、胸を張って返した女神が、
「そう言うことなのよねミコ。だからここから抜け出さなくっちゃいけないの」
指をピンと立てて教える。
女神の堂々とした態度は良かったのだが。
「なんで?魔王の居城なんかで召喚したんだよ!・・・その。
そういえば、君の名を聴いていなかったような・・・」
「ミレニア・・・・白金のミレニア。
そう女神仲間達が呼んでいるわ・・・3日前から・・・」
3日前?
仲間達が?
どういう事なの?
またもや呆然と聞いていたミコが再度訊き直した。
「じゃあ・・・ミレニア。君は女神なんだよね?
3日前って処が良く解んないんだけど?」
ミコがある意味、恐る恐る聞き訊ねると。
「そう!私は白金龍の女神になってまだ3日なのよねぇ!」
胸を逸らせて威張った。
小さな女神の言葉に、理解が追い付かないミコが問う。
「それじゃあ君は新米女神さんって事?
どうすれば女神になれるかは知らないけど、まだ3日しか女神やってないの?」
訊ねられた女神ミレニアは、ミコに向かって心外だと言わんばかりに。
「失礼ね!こう見えても天使はかれこれ2か月はこなしたんだから!
もうりっぱな女神ですよぉーだっ!」
舌をイーッとだして憤慨した。
「・・・駄目だ・・・こりゃ・・・」
ミコは頭を押さえて自分を召喚したミレニアのお気楽さに涙する。
「それで?ミコはどうやったら倒せると考えるの?」
御気楽なミレニアの言葉に、ミコは反対に訊いた。
「その前に!魔王ってどんな奴なのか教えてよ。勝ち目がないなら逃げなきゃ!」
逃げると訊いたミレニアの眉が潜むと。
「初めから逃げるなんて考えてたら。
・・・そうね、此処の魔王はレッドアイという字名が付いている様に、目が赤いの。
それで魔法力が半端なく強くて、残忍だそうなのよねぇ」
取り敢えずの情報を開陳した。
「・・・勝てっこないよなぁ・・・逃げよう!」
ミコが逃げる事に決めたように言うと。
「じゃあ、ミコはこの下僕を置き去りにしていくのね・・・可哀想にシクシク(棒)」
嘘泣きを吐いてからミコがどういうのかを待った。
「馬鹿を言え!連れて行くに決まってるじゃないか!」
案の定だと、ミレニアは細く笑む。
「そう?じゃあ・・・連れて行けば?持ち上げられるのならね?」
ミレニアが言うのは、鋼と化した人間を少女の非力な身体で持てるのかという事だ。
「うっ?!そんな・・・ミレニアの魔法で何とか?!」
頼んで来るミコに女神がツンと顎をあげて。
「嫌よ、そんな重たい物を持って逃げるなんて。
魔王に見つかったら私自身が殺されちゃうかも知れないから。
そんな荷物は持てません!持ちたくありませんからね!」
拒絶を言い返し、首を背ける・・・舌を出して。
「そんなぁーっ?!酷いよ!召喚したのはミレニアだろっ?!」
「ミコを召喚したのは私に違いないけど。
下僕までは呼んでいませんから、私の責任じゃないもーん!」
あっさり・・・断られてしまったミコが。
「じゃあ。どうすりゃ善いんだよ?!
このままじゃあ、リュートを置き去りにしなきゃいけないし。
そもそも、リュートはどうすれば生き返るんだよ?!」
根本的解決方法に触れた・・・やっと。
ミコの言葉に、ニヤリと笑うミレニア。
「それね?知りたい?」
ミコを見下ろす、下心満載のミレニア。
「教えて!生き返らせる方法があるのなら、僕に出来る事があるのなら!」
「にひっ!」
ミコの言葉に更なる邪な笑みを溢すミレニア。
女神の下心に気が付かないミコ・・・
「早くしないといけなかったんだろ?!
魔王が帰って来るって言ってただろ?!」
急かすミコに、女神が言うのは。
「うーんとね、簡単な事なのよね。
ミコの下僕に力を分け与えれば良い事だから・・・ミコのね」
簡単な事・・・って?
どうすればいいのかの説明も無しに?
ミレニアはミコを見詰めて口を噤んでいる。
「あ。あのぉ・・・どうやって?」
暫くの沈黙がミコの口に因って破られる。
「力を与える・・・って?どうやれば良いのか。
僕に力があるのも判らないし、一体どうやればいいのかなんて・・・」
分らない事ばかりだと言いたかった。
「だぁっ!それはねぇ・・・それは。
ええーっと・・・・」
言った女神も解っていなかったのか。
言葉を詰まらせて天を仰いだ。
(( ドクン ))
その時。ミコの心臓が音を奏でた。
((ドクン ドクン))
早鐘のように心臓が暴れる。
ー なんだ・・・これ?何かが・・・来る?
恐怖から・・・違う。
高鳴る鼓動は何故?
ー 誰かが・・・何かを知らせようとしている。
僕に・・・何かを知らせたがっているんだ・・・
思わず心臓に手を添えて考える。
顔がそうであったように、身体は美呼姉の物と同じ・・・
その身体が何かの異変を告げている。
ー ミコ姉・・・なのか?何かを知らせてくれている?
ミコが空気の異状に気が付いた時。
辺りに闇が拡がって行った。
「きゃぁ!もう帰って来ちゃった!」
ミレニアが驚嘆の叫びをあげると。
「ミコ!あれが・・・レッドアイ・・・魔王よ!」
闇から現れ出る物を指で差してミコに教えた。
「あれが・・・あの女がこの魔王城の主でぇ~すっ!」
緊迫感が・・・なくなった。
やっと事態が切迫している事が分かる。
闇の中から現れた女・・・それは?
さぁ、どうする損な子達よ?
さぁ、早くドラゴンライダーに・・・なれるの?
次回 第1章 龍と女神と幼馴染と?! Act5
君は召喚されたミコの金魚の糞?!そんな馬鹿な?!