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翔龍騎伝 ドラゴン・ライダー! 第3章 キル・ラルの遺跡 Act16

秘宝なのか?

それは闇の中で突き立っている・・・魔剣?!

闇の翔龍騎ドラゴンライダージャキを倒したトレジャートラベラー達は、ラルの遺跡を探索していた。


依頼に在った秘宝とやらを求めて・・・



「だいたいぃ~っ、秘宝って奴がどんなものなのかも分かっていないんだからぁ~っ」


ジャキを倒してからというもの、現れるのはどうでもいいような魔物位だったから。


「どこまで続いてるのかも分かっちゃいないんだからぁ~っ」


退屈なのか、サエが独り愚痴る。


「あのねぇサエさん、退屈だからって大きな声上げても、魔物は寄っては来ないよ?」


図星を刺されたのか、ミコの言葉に益々機嫌が悪くなる。


「だぁーってぇっ、暇なものは暇なんだから!」


クエストをどう思っているのか、男の娘は堪え性が無い様だった。


「もうっ、サエさんも一生懸命探すのに精を出してよね!」


堪え性が無いのはミコも同じか・・・


「・・・お腹が空いたから・・・だよね?」


そういう事か?!

ミコがお腹を押さえて聞いてみると。

コクンと頷くサエ。

・・・やっぱり、お子様だったのか?!


「成長期の身体になってるんだから、しょうがないよね?」


ミコもサエと同じようにお腹が減って苛ついていたのか。

それとも戦闘を終えた安心感から、お腹が減ってると分った。


「こんな事なら、タストンさんにお弁当でも頼めば良かったかなぁ?」


街からそう離れていない遺跡のクエストだからって舐めていた訳じゃなかったが。

これほど奥が深い遺跡だとは考えもしていなかったのは事実。


「ミコぉっ、もう帰ろうよぉ。お腹減ったぁ~」


人間の姿をしている者はお腹が減ってしょうがないのだが、


「ぐちぐち文句を言うなよサエ。

 お腹が減ったのなら魔物でも倒して喰ってみるか?」


足元でちょろちょろ動き回る元気な狐モドキが嫌味を言って来る。


「アンタは良いだろうさ!

 魔物の魔法石を喰ってれば良いんだから!アタシには無理っ!」


応戦するサエが言葉を荒げて言い返したのだが、その途端にお腹が鳴る。


「ああ・・・喋ると余計にお腹が減るぅ~」


お腹を押さえたサエがその場でしゃがみ込むと。


「ねぇ~ミコぉ?帰ろうよぉ?」


駄々っ子の様な声でミコに言い募る。


「ねぇ?・・・・どうかした?」


サエもミコの見詰めている先にあるモノに気付いた。





少し広がった闇の先に、何かが薄ぼんやりと光っていた。

通路を隔てて見える空間の先に観えていたのは。


「あれが?もしかしたら秘宝とかいう奴?」


サエが小声でミコに訊きながら気配を探る。

秘宝があるのなら、ガーデアンが居るかも知れないと思ったから。


「そうかも・・・でも、守護ガードしていたジャキは倒したんだから。

 闇の魔剣が秘宝なのかどうか・・・解らないよ?」


警戒する事に越したことは無いと、二人はそろりそろりと近づいていく。

光が漏れる空間に、小高く盛り土が為された処に在るのは。


「これが・・・魔剣ってやつ?」


ミコの眼が黒い剣に向けられる。

柄の部分に何やら刺々しい装飾が施された剣。

あたかも闇の者が手にする闇の剣に相応しそうでもあるが・・・


「まぁ、なんて魔剣魔剣まけんまけんしてるのよ。

 魔剣だけに誰にもマケン・・・なんちゃって・・・」


サエがおやじギャグを噛まして来るのを冷めた目で観てから。


「突き立ってるよね?まるで誰かに引き抜かれるのを待ってるように?」


完全に無視して、魔剣の状態がよくあるトラップに思えて訊いた。


「・・・・だろーね」


落ち込むサエ。(そんなに受けると思ったのか?!)


「じゃあ、あの魔剣を持つとどうなると思う?」


無視しまくるミコに、


「アタシ・・・疵付く」


しょげたまま、サエが溢すと。


「そう?サエさんは魔剣を引き抜くと疵付くって思うんだ?」


まるっきりサエの事を気にしていないのか?明後日の話を返して来るミコに。


「だぁあああっ?!どーしてそうなるのよ!

 アタシが言ったのはギャグの話よぉっ!」


無視されまくっていたサエが反撃に出る?


「えっ?!何か言ってた?ごめん、どうやら聞き流しちゃった!」


ー  嘘つけ・・・・


今度はサエが白い目でミコを観る。ついでにリュートも・・・


「もういいわ。

 それよりあの剣をどうするかよね?」


「そう、引き抜けるのかな?

 抜けたとして何か罠でも仕掛けられているんじゃないかな?」


二人は魔剣を取り出すことに慎重になる。

ジャキが護る程の剣ならば、必ず何かの罠が仕掛けられていると思うから。


「でも、このまま傍観してても始まらないし。

 僕には魔剣なんて必要がないから・・・どうしよう?」


ミコが思案に暮れている横で、男の娘がポンと手を打つ。


「そっだ!ジャンケンしようっ、ジャンケン!

 負けた方が魔剣を引き抜くの、これで良いわよね?」


「・・・なぜ?・・・ジャンケンなの?」


ジト目でサエを見るミコ・・・と、リュート。


「うっ・・・他に何かいい方法があるって言うの?」


いたずらに時間を費やしていても始まらないのは分るが。


「しょうがないなー(棒)」


妙案なんて思いつかないミコが、諦めてジャンケンを受け入れる。

サエと向かい合ったミコが手を出すと、


「それじゃあ・・・ジャンケン・・・」


振り上げた右手と共にジャンケンの合図を喋り・・・


「あっ!魔物だっ!(棒)」


左手でミコの後ろを指差す。


「えっ?!」


「ぽんっ!」


・・・・・やりおった。


ミコが振り返った瞬間に振り下ろしたサエの手が、勝利の<パァ>になる。

こんな簡単に引っ掛かるのが悪いのか・・・ドン臭いのか?


「あああっ?!卑怯だよぉっ?!」


あっさり、騙されたのに負けを認めてしまうミコ・・・


「ミコ・・・・アンタ。やっぱり、背中が燃えてるわよ?」


とうとう、煤けるのを超えたか?

ここで言い合っていても時間の無駄だと気が付いたミコの思慮深さと。

・・・そう思っておこう・・・


「じゃあねミコ、あの魔剣を抜き放ってきなさいっ!」


指差し示す男の娘サエが、ワクワクとミコに嗾け。


「アンタの骨は拾ってあげるわ!」


挿絵(By みてみん)


確実に人身御供に仕立て上げる気まんまんだった。

煽られたミコはため息を吐きながらも、魔剣の持つ力というモノがどんなものなのかを考える。


<僕に必要なものなのかな?

 魔王を倒す時に必要なのかな?

 それとも、宝の持ち腐れって奴になっちゃうのかな?>


盛り土の上まで登ったミコの前に、妖しく光る剣が突き立っていた・・・

じゃんけんで負けたから?!

剣を引き抜くとき・・・何かが起きる!


ああ、またもやお約束って・・・え?


違うの?!

どうなるのか?どうなっちゃうのか?!


次回 第3章 キル・ラルの遺跡 Act17

君はかけられた声に耳を疑う?それとも幻だと思い込む?!

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