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翔龍騎伝 ドラゴン・ライダー! 第3章 キル・ラルの遺跡 Act10

弾き飛ばされたミコ?!


ダメージは?動けるのか?

黒い何かがミコを突き飛ばした。


どれだけのダメージが与えられたというのか。

どれ程の威力があったというのか?


「ミコっ?!大丈夫なのかっ?」


額から伺えるのは装備には異常が認められない事位だった。

ミコの身体にも何処と云って怪我をした様子はないようだったが。


「うっ、うん・・・何とかね。

 突き飛ばされたくらいかな・・・プロテクターが無かったら危なかったかも」


腰に着けられた鋼の防御プロテクターに焦げた跡の様な物が着いていた。

まるで何か高温を発した物で焼かれたような焦げ跡が・・・


挿絵(By みてみん)


「奴の装備にヒート関係の物があったのか?!」


リュートが即座に敵を確かめて、漸く訳が解った。


「なかなか味な真似をしおるな。

 てっきり胴体に撃ち込んで来るかと思ったが・・・」


左足にダメージを与えられたのは間違いなかったのだが。

ジャキは片足で姿勢を維持して見下ろしている。

その手に持ったロッドを突き付けて。


<いつの間に?奴はあの棒を出したんだ?>


リュートは警戒しながらジャキが持つ得物を見詰めて考える。


<ミレニア、あれは何だ?>


宿る女神に訊ねたのだったが、女神は力行使した為に眠りに就いてしまっていた。


<くそっ?!肝心な時にはいつもこうだ!>


眠りに就いた女神は、回復するまで起きられない事を思い出して。


「「ミコ、奴のロッドに気を付けろ。どんな技を繰り出すか分からんぞ!」」


闘う娘に忠告し、自分も敵の動きに警戒した。


「うん、あれをまともに喰らったら、只じゃあ済みそうもないね?!」


ゆっくりと身体を起こしたミコが身構えながら、次の手を考える。


「リュート、僕達には何か対抗できるような武器はないの?

 素手で闘うにはかなり不利な感じがするんだけど?」


相手には得物が握られ、こちらには武器らしいものがないから。

ミコは敵に近寄る事も出来ないような気がしていた。


「「う~んっ、そうだよなぁ。

  確かに不利だとは思うけど、闘い様がない事も無いぞ?!」」


空手を齧っていたリュートには、思い出があった。

自分がミコ達を護って戦ってしまった時の事を思い出していた。


<あの時だってそうだったんだ。

 ミーとミコを助けたい一心で立ち向かった。

 苛めがエスカレートして拒んだミコに数人の奴等が絡んで来た・・・モップや箒を持って。

 奴等は素手のミコを叩きつけやがった・・・だから俺は・・・>


空手の試合が間近に迫っていたあの日。

学校で遭遇した現場。

ミーとミコを呼び出した犯行グループは悪ふざけを通り越した苛めを集団で行っていた。

家族の事で苛めを喰らう二人に、リュートは幼い時から誓っていた。


「俺が護る。俺が尊と美呼を護るから・・・だから心配するな!」・・・と。


ミコに数人が絡み、何人かの卑劣漢が殴りかかっていた。

争いを好まない姉弟は、されるがままに苛めを受けようとしていた。


リュートには大事な空手の試合よりも、姉弟との約束の方が何倍も大切だった。

頭に血が上る。逆上した心は止めようがなかった。

空手の有段者には素手の相手との私闘は許されてはいない。

だが、卑劣な奴等は手に得物を携えていた。

リュートは恩師と先輩に心で許しを請いながら、悪漢共にとびかかってしまった。

結果がどんな裁量になるか、解っていたのだが。


<俺は即座に退部願いを先生に渡した。

 そうする事で対外試合を禁じられなくする為に。

 それが先輩や先生に対するせめてもの償いだと思ったから・・・>


当然、リュートの意を汲んで退部が認められた。

だが、それだけでは済まなかった。

学校側は揉み消す事に必死になり、そもそもリュートが空手部に所属していた事さえも消し去った。

そして、苛めを見過ごしていた事さえも・・・


<俺はそんな学校が嫌になった。

 両親にもその旨を告げたのだが・・・俺は約束を果たさねばならなかった。

 ミーやミコを護るという大義があったから・・・退学しなかった>



走馬燈の様にリュートの記憶が流れ、自分の身体に覚え込まされた空手の技が甦る。


「「ミコ、相手の技を見極めなきゃいけない。

  あのロッドに因って繰り出されてくる技がどんなものなのかを」」


得物を適した敵の技量も、ロッドの威力さえもが未知数なのが気がかりであり、

ミコの翔龍騎としての力さえもが未だに解り切ってはいないと思った。


「「だからミコ。奴の攻撃を受け流しながら、見極めないとならない。

  ジャキがどんな技を持つのか、力を持つのかを!」」


こちらから攻撃を掛けるにしても、相手の出方が解らない今。

リュートは慎重に闘う事に専念する・・・これが命を賭けた闘いだと解っているから。


頷いたミコがジャキの動きに併せて構えを崩さず、


「リュートに任せるから。

 僕にどうすればいいかを教えて?」


闘う事にはリュートに敵う筈もないと、教えを乞う。


「「ああ、任せろミコ。奴をぶっ倒してみせるぜ!」」


ジャキのロッドを持つ手を睨みながらリュートが答える。


闇の力を持つ翔龍騎ジャキが得物を振り上げる。


「「くるぞ!俺が言う通りに避けるんだ!」」


額のエンブレムからリュートが言い放つが早いか。


((ブンッ))


ジャキが振り下ろして来る。


「「左だ!飛び避けろ!」」


右足に力を籠め、ジャンプするように飛んだミコ。

ぎりぎり、掠めるようにロードが地を叩く。


「「どうやら、あのロッドは伸縮自在みたいだな、あぶねぇ!」」


如意棒の様に伸縮が効くジャキのロッド。

他に力は無いのか・・・そう叩かれた地面を観ると。


「「おまけに・・・高熱を放っていやがるのか」」


ミコが一撃を受けた時にも、跡が残っていた。

地を焼いたロッドは、再びジャキの手元にまで短くなる。

伸縮が自在で、おまけにヒート効果がある。


「「厄介だな・・・こいつは」」


近付く前に手痛い攻撃を受けてしまいそうだと考えるリュートに、


「どうする?このままじゃどうにもできないよ?」


流石に不利だと感じたミコが訊ねるのだが、リュートにもこれと云って手がある訳でもなかったのだが。


「「なぁーに、奴が一瞬でも気が逸れたら。

  それで勝負は着けられるさ。俺達の勝ちで・・・な」」


その一瞬がいつ来るのかは、リュートにも分かってはいなかった。


だが・・・まさかの一瞬が訪れようとしていた。


そう。

()に因って、齎されるのだった・・・



彼?!誰のことだ??


闘う白金の翔龍騎ミコ

思わぬ苦戦を強いられてしまうのだったが。

リュートは姉弟の心を思い出す。

そして、異世界へと召喚された者ミコという少年の心を知ろうとしたのだった。


次回 第3章 キル・ラルの遺跡 Act11


君の心は誰にある?君と姉を護る者として知っておきたかったのだが?

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