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翔龍騎伝 ドラゴン・ライダー! 第3章 キル・ラルの遺跡 Act8

挿絵(By みてみん)


ちょっとだけ・・・大人になったんだけど?

分からないか・・・な?


リュート「中身はなぁーんにも変わんねぇー!」

ミコ  「しばいたろか?!」

ミコとリュートが夫婦漫才めおとまんざいを噛まして居る一方・・・


「何よ、なぁーんにもないじゃないの!」


分かれ道で左へ向かったサエが歩くのを辞めて愚痴ていた。


「進めど進めど、出てくるのは雑魚ばっかりじゃない!」


傍らの翔龍ドラゴニスピンクのパンサーが退屈そうに主人を観ている。


「しかも偶にしか出て来ないし!

 こんな事なら右へ行けば良かったかも・・・間違えたかも」


ミコがどんな目に遭っているのかも知らずに、サエが愚痴りまくる。


「よーしっ、元の所まで戻って。

 アイツと道を交換してやろう、そうしよう!」


このまま進んでいても退屈でしかないと考えた男の娘が、踵を返して分かれ道に走り戻って行った。

ミコ達と出逢える筈もなかったのは当然だったのだが。






モフモフの狐モドキを抱き起して。


「リュート、ちょっとやり過ぎた。謝るよ」


ムスッと拗ねた様な目で観返して来るリュートに詫びて、


「でもな、この身体は元々ミコ姉のモノだから。

 リュートにあげる訳にはいかないんだよなぁ、そこは解ってよ?」


レベルアップしたミコの身体が、少しだけ大人に・・・いいや。

女の子っぽく育った事で、警戒感が芽生えたのだと教えたかったのだが。


「ミコぉ、あんまりだぞ?!いきなり魔法のハンマーでぶっ叩くなんて!

 しかも狐モドキ状態の俺に、罪もない幼馴染のお兄さんに・・・だぞ?!」


お兄さんっていう処を強調して、リュートが文句を垂れると。


「だ、だからだよ!リュートだからこそ・・・その、あの。

 あああっ、とにかくっ!リュートに触られると思ったら・・・気が動転して!」


真っ赤になったミコが必死に言い訳を言うと。


「何を今更。

 今迄なぁーんにも言って来なかったじゃないのかよ?

 どうして成長したからって嫌がるんだよ?そこが解んねぇけど?」


翔龍騎ドラゴンライダーに変身する事は、確かにリュートと同化する事にもなるのだが。

別に体に触れているとしても鋼鉄フルメタルの装備としてだけの事で、

肌に触れると云っても闘う為だけの事なのだから・・・


リュートが意味が解らないと小首を傾げてミコを見上げると。


「あ、いや、その・・・トニカクっ、姉さんの身体なんだからな!

 僕に断りも無く触れたら承知しないから!」


顔を赤らめたミコが指を突き付けて断言した。


「何言ってんだよミコ?

 それなら翔龍騎になってる時はどうなるんだよ?

 そもそも、ライダー状態になってる時は美呼ミーそのまんまなんだぜ?

 プリンプリンの17歳になってるのに、今更何を言ってるんだよ?」



(( はっ ))



真っ赤な顔をもっと真っ赤にしたミコが頭から湯気を上げる。


「そ・・・そうだった?!ミコ姉の身体になるんだったっけ?!

 あわわっ、忘れてた!闘う事に集中していたから気にもしていなかったけど!」


今現状の姉の身体になる事に因って、

翔龍騎ドラゴンライダーへとトランスフォーメーションしていた事にやっと気が付いたようだ。


「うわわぁーっ、どうしよう!僕、もう変身なんて出来ないよぉ?!」


またもや錯乱するミコに、リュートが怪訝な顔を向けて不思議がる。


「ミコ?さっきからどうも変だぞ?!

 少々成長したからって、俺が美呼ミーの身体に何かをする訳がないじゃないか?」


モフモフの尻尾を揺らせて、潔白を言い張ろうとしたリュートに。


「リュートだからだよ!美呼姉の身体に触れるのがリュートだからだよ!

 僕の姉さんに好意を抱いているんだろ?

 好きな女の子の身体に興味がない筈がないじゃないか!」


錯乱するミコが男の子のことわりを言った。


「はぁ?!どうしてそうなるんだ?

 確かに美呼ミーのことは好きな方だけど、それはミコの姉だからだけど?」


「へっ?!」


リュートの言葉の意味が解らず、ミコの眼が丸くなる。


「それって?どういう意味?」


思わず口から問い掛けの言葉が出てしまう。

興味に駆られた女神ミレニアの言葉が。


「あ?!気が付いていなかったのかよ?

 まぁ、はっきりと今迄一度も言わなかったからな。

 美呼ミーには言った事があるんだが・・・俺は・・・なぁ・・・」


「ごくん・・・」


リュートの言葉に女神とミコが息を呑んだ。

ミコは心の奥で何かを期待しているような別の自分が居る事に気付いた。


<僕は・・・リュートに何を期待しているんだろう?>


 ((ぐるるっ))


リュートの言葉を聞き逃すまいとしていた耳に、異音が入った。


「なんだろう?」


おもわず聴こえて来た方に向いてしまったミコに。


「・・・・が大切な事には変わりがない。だからマモリたいんだよ」


リュートの答えが告げられた。

肝心な名前の部分が聞き取れない状況で・・・


「えっ?!聞こえなかったよ!もう一度言ってよ?!」


視線を音が聞こえて来た方に向けたまま、リュートに訊き直したが。


「それはまたの機会で。

 それより、敵らしいのが来たみたいだぜ?」


確かに。

目の前に現れ出て来た存在が、自分達にとっては最優先だと感じた。

闇の底から現れ出て来たような存在が、襲い掛かろうとしているのだから。




牙を剥いて睨みつけてくる存在。

普通の魔物ならば、これ程までには警戒しなかっただろう。

ミコとリュートの前に迫り来るのは、獣の形を採る者。

金属質の装甲を施される甲冑を身に纏った、鋼鉄フルメタルの獣。

それが意味しているのは。



翔龍騎ドラゴンライダー・・・闇の力を持つ者?!」


リュートの声に、ミコも頷く。

闇より出でた翔龍騎ドラゴンライダーは、黒鉄くろがね翔龍ドラグナーを纏っていた。

今迄遭って来た闇の者とは全く違う威圧感を伴って。


「少女のレベルでしかないそなたに、我が聖域を冒す事は叶わぬ・・・」


どこまで知っているのか。

いつから観ていたというのか。


黒鉄の翔龍騎ドラゴンライダーがポツリと呟いた。


「お前は誰だ?こんな遺跡で何をしている?」


モフモフのリュートが牙を剥きだして威嚇する。


「愚問なり・・・答えるに当らず」


リュートに応えず、ミコへ向きながら歩を進めてくる。


「それ以上近寄るな!ミコには手を出させないからな!」


リュートがミコの前に立ち塞がり警告する。


「下僕などに停める権利はない。我はその娘に言っておるのだ」


歩みを停めずに黒鉄の翔龍騎ドラゴンライダーが左腕を伸ばして来る。


「あなたは何者なのですか?ここで何をされているのです?」


どうみても年上の翔龍騎ドラゴンライダーだと思い、言葉使いに注意しつつ訊ねるミコに。


「それも愚問なり。我はこのラルの遺跡を護りし者・・・

 我は魔剣を司る、魔王配下のジャキ・・・そう、名を付けられたのだ」


リュートの耳が跳ね上がる。

ミコの眉が跳ね上がる。


遂に魔王を名乗る者の配下と出逢えたと思ったから。


「あなたは魔王の配下と云った。

 じゃあ、あなたは魔王が誰なのか知っているんですね?」


金色の腕輪に魔法力を貯めて、ミコが訊き直す。


「無論の事。

 我が主たる魔王様はこの場を守備するように命じられた。

 我が護るラルの魔剣、この場に眠りし力の証なり・・・」


魔王の配下を名乗ったジャキ。

目の前に現れた闇に組みする者。


ミコとリュートは、遺跡にあるとされた秘宝がとんでもないモノだったと感じていた。

半面、自分達にとってはこの上ない情報を齎してくれそうな気がして堪らなかった。


遺跡の深部で。

闇の者と対峙する白金プラチナ翔龍騎ドラゴンライダーミコ。


やっと魔王の手掛かりが掴めそうだと安易に考えているのだったが・・・



ダンジョンに殺伐とした空気が流れる。


闇の力を纏う翔龍騎ドラゴンライダーが現れる!

遺跡の秘宝を守ると言うジャキはどんな能力を持つ者なのか?!

いよいよ戦闘開始!今度は簡単に倒せれるのか?!


次回  第3章 キル・ラルの遺跡 Act9


闘え!戦って勝つしか元の世界へ戻れる道は残されていないんだ!


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