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翔龍騎伝 ドラゴン・ライダー! 第3章 キル・ラルの遺跡 Act2

クエストに向う事になったミコ。


唯、問題があった・・・

余計な人物と共に行く事になったミコは?

オレゾンの街から南方に数キロ。


僅かそれだけの距離だけなのに・・・・

辿り着くのに数時間を要する事になるなんて考えもしていなかった。


「サエさんっ!勝手に突き進まないでって言っただろっ!」


プンプン怒るミコが男の娘に叫んだ。


「アンタに指図される謂われはない!」


ミコの頭上からサエが答えるが。


「だったら!こうなった責任を取ってよ!」


木にぶら下がっているサエを観ながら言うのだった。

ミコが見あげるサエは、高い梢にぶら下がり冷や汗を掻いている。

プンプン怒るミコはというと。

サエの居る木の下で、周りをゴブリンの群れに囲まれてしまっていた。


「もうっ!こうなるとは思ったけど・・・埒があかないなぁ」


腕の幼馴染に愚痴を言うミコが。


「魔法力を温存したかったんだけど、そうも言っていられなくなっちゃった」


遺跡までは何とか魔法を使わずに辿り着きたいと願っていたのだが。


「こうなったのも。

 元はと言えばサエさんの所為なんだからね!

 降りて来て一緒に闘ってよね!」


周りを取り囲む魔物が包囲の輪を狭めて来るのに構えながら、頭上に避難したサエに文句を言う。


「アタシは雑魚とは闘わない主義なのっ!

 逃げ遅れたアンタが悪いの!」


梢にぶら下がるサエが舌を出して、ザマァと苦笑いを浮かべる。


「確かに。ミコは少々どん臭い処があるもんなぁ」


金色の腕輪の中からリュートが認める。


「リュート!どっちの味方なのさ!」


怒る先を幼馴染の自分に向けるミコに、


「まぁまぁ、こうなったのもお互い様だからさ。

 足の引っ張り合いだけはごめんだぜ?」


金色の腕輪に描かれた龍の彫り物が蠢きながら応えてくる。


「そろそろ俺の出番だろ?

 こいつら纏めて始末してやるぜ?」


リュートの声が腕輪から出せと言っている。


「モフモフ状態じゃ駄目だぜミコ。イキナリ翔龍ドラゴニス状態でいくぜ!」


ミコを取り囲むゴブリン共を駆逐するというリュートに応えて。


「じゃあ、リュートに任せる!出でよ白金プラチナ!」


呪文を唱え終わっていたミコに因って、魔法機械ドラグナー状態のリュートが召喚される。

白金プラチナ魔法機械ドラグナーが吠え、ミコの周りを囲んでいた魔物に襲い掛かった。





旅の宿<オイスター>から出発したミコとサエの翔龍騎ドラゴンライダー


遺跡に何が待ち構えているのか解らない為、徒歩で向かう事にした。

途中にある泉を越えれば、もう目的地は目の前だと言われて。


しかもオレゾンの街から数キロの場所だと安易に考えていたのだったが。


昼前に出発し、日が傾く前には到着するだろうと多寡を括っていた。

それは街からそう離れていない事からも考えて当然だろう。


だが、二人の思惑は街外れに出た時に覆される事になった。


草原に差し掛かった。

泉のある森迄、後1キロも無い場所で異変に気が付いた。


「ミコ・・・何者かが見張ってやがるぜ?」


肩に乗る狐モドキのリュートが後ろを振り返って注意を促す。


「やっぱり?ミレニアさんもそう言ってるよ」


旅立つまで寝たままだった女神ミレニアが、最初に警告したという。


「むぅ?糞女神め、今頃お目覚めかよ?」


肩に乗るリュートがミコの胸元に嫌味を言ったら。


「リュート、女神さんは一度休むと起きるには回復しなきゃ駄目なんだって言ってるよ?」


宿った女神を代弁して、狐モドキに苦笑いで返す。

呆れたような目をしたリュートだったが、後ろから監視する者の気配が気になり、


「それは良いとしてだな、ミレニア。奴は何者なのか解らないか?」


正体を求めて女神に訊いた。


「う~んっ、どうにも・・・分からないってさ」


立ち止まる事は相手を警戒させる事にもなるから、ミコはそのまま歩を進める。


「俺がちょこっと見てこようか?空の上からなら一発で解るぜ?」


狐モドキ状態でも、羽が備わっていて飛ぶ事が出来るリュートが耳打ちするが。


「それこそアイツに警戒させるし、危ないよ?」


相手の正体が掴めない今、下手に動く事こそ危険だという。


「まぁ、今のはミレニアさんの意見だけど・・・」


ミコとリュートは目配せする。

幼馴染で気心の合った者同士、以心伝心というやつで・・・


挿絵(By みてみん)


「そーらぁっ!飛び上がれぇ!」


ミコがいきなり狐モドキを空へと放り投げる。

じゃれ合う様に笑いながらも放り上げられたリュートが更に高く飛び上がる。

相手に気取られない様に注意しながら、数回羽ばたき相手が見える所まで上り詰める。


身体を捩りつつも、草原に隠れて監視している者を探る。


<居やがった・・・魔物が・・・ありゃーコボルド?いや、ゴブリンか?!>


小型の魔物が一匹だけ。

ミコとサエを睨んでいる姿が目に入った。


くるりと輪を描いて降りたリュートが。


「魔物だぜ?一匹だけだけど・・・ゴブリンらしいのが見張ってやがる!」


ミコに告げるとそのまま後方を見詰めて警戒を怠らなかった。


「リュート、間違いなくゴブリンなんだね?」


確認したミコが、宿ったミレニアに何かを告げられたようだ。


「ミレニアさんが言うには、ゴブリンは必ず群れで行動するんだって。

 だから一匹だけじゃない筈だって。きっと仲間がどこかに居る筈なんだって!」


魔物の習性を調べたのか、ミレニアがミコに教えているようだ。


「リュート大変だよ!

 ミレニアさんが言うには人里近い場所で出会うゴブリンは危険なんだって!

 人間を攫って巣に連れ帰って食べちゃうかもしれないんだって!」


初めて対戦する魔物の習性を女神に教わって、ミコがこの後に襲い来る魔物の群れを思い描く。


「じゃあ、あの一匹だけじゃ済まないんだな?

 数で襲われたら、まかり間違えば翔龍騎でも危険だと言うんだな?」


小型の魔物とはいえ、数で押しかかられればどうなるか。

どれほどの群れの規模なのかも分からない今。


「奴を倒しても意味がないか・・・それとも」


つけられている現状を打破するには、やっつけるのが手っ取り早い。

そう考えた者が・・・目の前に居てしまった。


「ゴブリンみぃーけ!」


ミコの前でピンクの髪が舞う。


「退屈してたのよねぇ、暇つぶしに滅ぼしちゃうんだから!」


止せば良いモノを、サエがつけていたゴブリン目掛けて襲い掛かった。

勿論、魔法力を厭わない方法で・・・


「鋼よ!喰い破れ!」


サエの首元にある紅い宝石から白銀のパンサーが躍り出る。

身に迫る脅威を感じる暇も無く、魔物ゴブリンは消滅させられた。


「なぁーんだ、歯ごたえも無い。

 これだから低級魔物は嫌なんだよねぇ、魔法石もちっこいし」


小指の先にも満たない紅き石を採ろうともしないサエに。


「ばっかぁ!どーして倒しちゃったの!」


ミコが大慌てでサエに怒ると、


「アンタに馬鹿呼ばわりされるなんて!今ここで勝負する気なの?!」


サエの返事にも応えず、ミコはその場を走り去る。


「ちょっ?!ちょっとアンタ!待ちなさいよ?!」


意に反した行動に出たミコに、男の娘は戸惑う様に後を追いかけた。


「力をみせちゃったらゴブリンは群れを呼ぶんだから!

 きっとどこか別の場所でも見張っている筈なんだから!

 サエが力ある者だと知ったのなら、勝てるだけの備えで襲ってくるから、きっと!」


ミレニアに教えられた言葉をそのままサエに返して、走り出したミコが。


「リュート非常事態だから腕輪に戻って!

 直ぐにでも呼び出すかも知れないから・・・翔龍ドラゴニス状態で!」


「判ったミコ!」


金の腕輪にモフモフリュートが戻る。

一匹の魔物を滅ぼした事が、事態を一変させてしまったのだ。



「ミコぉ?!待ってよぉっ!」


追いかけて来たサエに振り返ると、その後ろには。


「うわわっ?!なんだってぇ?!」


数匹のゴブリンが手に手に得物を持ってサエを追いかけていた。

しかもその数はどんどん増えていく。


「こうなりゃ!全部滅ぼしてやる!」


サエが踏みとどまって戦おうとしたのだが。

追いかけて来るゴブリンの群れは想像を遥かに超える数になる。


「・・・やっぱ。やぁーめた!」


踏みとどまる事に恐怖を覚えたのか、一目散にミコを追いかけ追い抜いて逃げる。

確かに逃げ足だけはミコを超越しているようだ。


20匹を超える数にまで膨れ上がった群れに追われて、ミコ達は逃げ惑い・・・


泉の所にまで追いつめられる事になったのだ。

逃げ足の速いサエは大木によじ登り、梢にぶら下がってゴブリン達の様子を伺った。

ミコは木に登るまでも無く、周りを囲まれて身構える。


そして・・・リュートを放ったのだった。


翔龍ドラグナー状態のリュートに因って、ゴブリン達は追い散らされた。

数匹の魔物を駆逐したリュートがミコの前まで戻って来ると。


「ほぉーっほっほっほっ!口ほどにもない!」


タカビーな笑い声と共に、サエが梢から飛び降りて来て。


「あんなゴブリン共にアタシが負ける筈が無いわ!」


またしても勝手な事を言い放つ。


「サエはなんにもしてないだろ?」


いや、なにもでは無く、悪化させただけの様に思うのだが。

ミコが言い募ってもサエは気にも懸けずに笑うだけだった。


「ミコ、元に戻るから。モフモフ状態にしてくれよ?」


魔法力を消耗する召喚を解除させるように勧めるリュートに、


「待って!まだ何か他の魔物が居るような気配がする・・・」


ミコが周りを見回しながら気配を探っていると。


「あーあっ、喉が渇いちゃった。

 泉の水って飲めるかなぁ・・・」


サエがまたしても勝手に泉へと近寄って行く。

お調子者の翔龍騎ドラゴンライダーサエには気が付いてはいない。


力は有っても警戒心が無いのか。

力に頼り過ぎる者の宿命なのか?


そして・・・<ソイツ>が現れる。


「待ってよサエさん!勝手に動いちゃ・・・」


サエが泉に近寄って行くのを呼び止めようとしたミコの眼に、

泉から浮かび上がって来る者の姿が眼に留る。


((ザザザザッ))


黒い影が水面の中から浮き上がって来た!


挿絵(By みてみん)

次々現れる魔物!

戦い切り抜ける事が出来るのか?

それとも逃げちゃう?


男の娘って・・・余計な事ばかりするなぁ?


お邪魔虫だったのか?


次回 第3章 キル・ラルの遺跡 Act3


君は魔物の巣窟から抜け出す事が出来るのだろうか?

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