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翔龍騎伝 ドラゴン・ライダー! 第1章 龍と女神と幼馴染と?!  Act11

帰れないと知ったミコとリュート。


召喚した女神に言い募るのだったが・・・

魔王を倒せれば帰れる筈だったんじゃないのか?


必死に闘った結果、魔王を倒せた筈だったんじゃなかったのか?




しかし・・・今。



「シクシク・・・・」


ミレニアが泣いている・・・ミコの中で。


「あのなぁ・・・泣いてたって始まらないじゃないか?」


これはリュート。


「でもさぁ、責任取って貰わないと・・・だね?」


追い打ちをかけるのは、少女の姿に戻っているミコ。


「だぁ~ってぇ!そう聞いてたんだから!

 先達の女神さん達からは・・・そうだって言われたんだもん!」


魔王を倒せれば、召喚者は元の世界へと帰れる筈だと。

そう聞いていたミレニアも、どうしてなのか全く分かっていないみたいだった。



確かに魔王を名乗る毒蛇ヴァイパーのレッドアイは滅ぼした。

だから、帰れると思っていた・・・のだが。


「アンチョコ本にも書かれてあるのよ!

 召喚した者が闇の魔王を倒して帰って行ったと。

 だから先達の話にも合点がいっていたの!だからミコを召喚したのに!」


倒した筈なのに・・・なにか問題があったのか?


考えても考えても解決方法が解らない。

さがしてもさぐっても答えは見つからない。


あるのは唯・・・・


「あああああっ?!これからどうすればいいのよぉ?!」


混乱と疑問のみ・・・


「はぁ・・・どうすりゃ善いのって、こっちが聴きたいよ?」


栗毛の少女に戻ったミコが愚痴る。


「はぁ・・・どうすりゃいいんだよ、こんな姿にされた俺は?」


モフモフの小動物モドキに姿を変換されたリュートがため息をく。


「どうもこうもないわよ!こうなりゃやけよ!神様に直訴するわ!」


ミコの身体に宿ったままのミレニアが天に向かって吠えるが。


「で?どうやってだよ?神様に会えるにはどうすりゃいいんだよ?」


「・・・天使に戻りたい・・・」


あっけなくミレニアが諦めたようだ。




3人は魔王の城で途方に暮れて話し合っていた。


召喚された幼馴染と、召喚した女神の3人が、

この状態を打開しようと試みるのは、今少し時間が経ってからの事だった。


レッドアイを倒して、やれやれと安堵したのも束の間。

先ず問題になったのは、どうやって翔龍騎ドラゴンライダーから元へ戻れるのかということ。

女神ミレニアの魔法書に記されてある方法に則って、解除したのだったが・・・


「ミコ、解除方法はいたって簡単みたいよ。

 宿った者を元に戻せば良いだけみたい・・・ね、簡単でしょ?」


ミレニアが魔法書を読みながらミコに教えた。

また・・・注意書きを読まずに。


「ふ~ん?そうなんだ。

 で?元に戻すにはどうやればいいんだい?」


翔龍騎ドラゴンライダーになっているままでは魔力が消耗する。

このままではミレニアもリュートも、力が出せなくなってしまう。

この世界から帰還する為のにも、二人の協力が欠かせない。

魔王を滅ぼしたと思っている3人が直ぐに帰還出来ない事を認識して、

兎に角元の姿に戻ろうと意見を纏めた。


そこでミレニアに元の姿へ戻る方法を訊ねたのがきっかけだった。


「ミコ、簡単よ!

 譲着したリュートを<愛玩生物ペット>の姿に戻れって命じれば良いだけなんだから」


ミレニアは書かれてある通りに読んだ。

そう・・・フリガナが振られていなかった部分を勝手に端折はしょって。


「ふ~んっ、じゃあ・・・リュート、ペットになぁれっ!」


ミコもミレニアが言った<戻れ>を、<成れ>と言い違えてしまった。


・・・その結果・・・どうなったのかというと?





「天使だった時はこんな間違いは起こらなかったのに…シクシク」


ミレニアがミコの中で泣いている。


「だぁっ!泣きたいのはこっちの方なんだぞ!

 なんで俺がモフモフの狐モドキにならなきゃいかんのだぁ!」


遺憾を表明するモフモフの毛に覆われた小動物・・・リュートの成れの果て。


「まぁまぁリュート。案外似合ってるかもよ?」


ミコが取りなす様に声を掛けるが。


「お前にも責任はあるんだからなミコ!

 お前がペットに成れなんて言ったからなんだからな!」


小型犬位の大きさになったリュートが、人間の言葉を話しているのにも違和感がある。


「し、しょうがないだろ?ミレニアが言い間違えたんだから!

 僕も間違えた事は認めるけど、根本的に間違えたのはミレニアなんだからね!」


「そうだ!お前が悪いんだ!何もかも!!」


ひょいっとミコに伸し掛かったリュートがミコの胸の中へ追及する。


挿絵(By みてみん)


「あ、あはははっ!もう笑うしかないわね!」


ミコの口からミレニアの言葉が流れ出す。


「ミコ?お前に宿った女神をさぁ、追い出せないのか?」


ムスッと牙を剥いて威嚇するリュートがミコ本人に訊く。


「う~ん・・・やり方が解らないよ。

 ミレニアをどうやれば追い出す事が出来るのかなんて・・・」


勝手に宿られ、勝手に体を乗っ取られてしまうミコが胸に乗っかる狐モドキに言った。


「私だって元に戻りたいのよ!

 でもね、リュートの奴が私の純潔を無理やり奪ったの!

 女神の純潔をよ・・・それがどう云う結果を招いたのか・・・思い知ったわ!」


自分に対して言い募るリュートに、ミレニアが応戦したのだが。


「えっ?!リュートが?ミレニアの唇を・・・無理やり?」


ミコの眼が狐モドキをジト目で観る。


「い、いやぁ。それはだなミコ・・・事故なんだって」


狐モドキが必死に説明しようとするが。


「事故?!アンタ、事故で女神の唇を奪ったと云うの?!

 事故でってどういう意味よ、サイテェー!」


「・・・リュート、サイテェ―!」


ミコとミレニアの声が山びこの様に被さった。

狐モドキのリュートががっくりと首を垂らして消沈する。


「あんなぁ・・・おまえら。

 そもそもこんな事になったのはこいつの所為だろーが!」


反撃しようとしたリュートのモフモフの肉球がミコの胸に乗る。


「あ・・・」


「えっ?!」


少女とはいえ幼馴染。

い、いいや。幼馴染とはいえ少女。

無いとは云え、そこは女の子・・・


「リュート・・・セクハラだぞ?!いくら獣化したとはいえ・・・

 これは立派な犯罪なんだからな!

 しかも、この身体は姉さんと同じなんだからな!この・・・

 こんのぉっロリコン、女たらし、変態っ、おまけに男色家だんしょくか!」


ミコが怒ったのはどういう意味からなのか?最期の一言が気になる・・・


「シクシク・・・」


泣くな、リュート・・・




______________




こうして。

ミコと、リュートは魔王を倒したというのに帰る事が出来ずにいた。

その理由は、ミコの身体に宿った女神の所為?


ある意味はそうなのだろう。

だが、本当の理由が解ろうとしていた。



ミコに宿った女神に訊ねる。


「なぁミレニア。これからどうするの?帰る方法が他にはないのかい?」


「・・・ない!」


ミコの眼で辺りを伺うミレニアが叫んだ。


「ないって・・・じゃあ、魔王を倒したのに何故帰れないんだよ?」


狐モドキがもう一度同じ質問を繰り返した時。


「違うわ!無いのっ、魔王のしるしが!」


ミコを通して広間を見渡すミレニアが叫んだ。


しるし?魔王の印ってなに?」


宿られたままのミコが訊いてみる。


「魔王だったら闇の刻印がどこかに残されている筈なのに!

 この広間にも、レッドアイが滅んだ後にも残っていないのよ!」


ミコとリュートが顔を見合わせる。


「どういう事なのミレニア?」


「それじゃあ、さっきの蛇女は魔王じゃなかったって事かよ?」


こもごも女神に問い詰める。


「そう・・・そういう事になる。

 レッドアイは魔王では無かった・・・それが事実なら。

 魔王はどこか別に存在しているってことになる?!」


ミレニアが耳を疑う結論を言った。


「なんだってぇ?!それじゃあ、闘い損って事かよ?!」


リュートが飛び上がる様に訊き返す。


「その証拠に、レッドアイが滅んだ処を観て。

 翔龍騎だった毒蛇ヴァイパーの龍が滅んだ跡を・・・」


ミコの眼を通してミレニアが指し示す所には。


「あ・・・なんだろあれ。綺麗な石が?」


拳位の大きさもある紅く光る石が転がっている。


「ミコ・・・あれが滅び去った龍のたま

 翔龍ドラゴニスの魔力を閉じ込めた魔法のたま

 ・・・あれがここに残ったという事は。

 闇の翔龍ドラゴニスを造る者が存在し続けている証だわ!」


ミレニアが教えた事は・・・魔王の存在。

自分達が倒した筈の魔王は未だに存在し続けているのだと。


「それじゃあ・・・僕達が帰れるのは?

 本当の魔王を倒さないと・・・帰れないの?」


恐るべき一言がミコの口から漏れ出す。


「そう・・・みたいね。

 召喚された者が帰る事が出来たのは・・・

 この魔法書に書かれてある・・・唯の一回だけ・・・かもしれない」


ミコの一言に併せるかのように、ミレニアも驚愕の一言を告げた。


「ばっきゃろぉーっ?!調べもせず召喚したのかよ?!」


リュートの叱責が飛んだが、もはや後の祭り。


「ねぇ・・・ミレニア。

 断末魔のレッドアイが言ってたんだけど。

 滅び去ればどうなっちゃうの?

 現実世界でも・・・滅び・・・いや。

 元の世界に戻れたとしても、死んでしまうの?」


リュートがミコの声に顔を向ける。

身体の中に宿る女神にそれだけは聞いておかねばならないと思ったから。


「二人とも。もし・・・だよ?

 もし・・・滅ぼされちゃったら。

 私もあなた達も・・・そして翔龍ドラゴニスも。

 只では済まないの、魂を消滅させられてしまう事になる。

 ・・・この意味・・・解るわよね?」


ミレニアが言いたい事とはつまり・・・


「魂を消滅させられる?

 じゃあ、帰れたとしても現実世界では?」


リュートが恐る恐る女神に訊いた。


「生きるしかばね・・・

 心臓が動いていたにしろ、何も出来ない。

 いいえ、それはもう死を意味する・・・

 身体はこには何も入ってはいないのだから・・・」


ミレニアの言葉にミコもリュートも顔を強張らせるばかりだった・・・


ヤバイ世界なのだとやっと判りつつある2人。

実世界に帰るには、やはり魔王を倒さなければいけないのか。


早く帰るには旅立たねば始らない!

やっと此処から物語は始まるのです!


次回  第1章 龍と女神と幼馴染と?!  Act12

次回で第1章も終るようですね・・・

旅立つ君に迫り来るのは誰?

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