#13 ロリっ子が南十字星に鍛えられる話。
「ではアイリスちゃん、まずは魔力感知から始めようか」
そう言うとサザンさんはピンッと100フェル硬貨を投げて左手の手の甲に落とした。すぐさま右手で隠す。
「表か裏か? 100って書いてある方が表ね」
……え? こんな事して本当に魔法使えるようになるの?
「う……いや、表!」
サザンさんはクスッと笑うとゆっくりと右手を退けていく。
その手の甲には、何も無かった。
「あら。ハズレー。じゃあ硬貨は何処でしょー?」
うぇえ!? す、凄い。これは素直に凄い。
サザンさんが自分のポケットをポンポンと叩く。
私も自分のポケットをポンポンと叩いてみると、硬い感触が。
そこには硬貨が入っていた。
瞬間移動ってやつだろうか。
「その硬貨には私の魔力を纏わせていたんだけどねぇ。その程度、気付けないならまだまだ……」
「き、気付けるにはどうすればいいんですか!?」
「お、おお? 何だ、結構やる気だねぇ。いいよ。お姉さんがみっちり教えてあげる」
サザンさんの目付きが変わった。
させられたのは、座禅。
まずは落ち着いて、自分の魔力の流れを把握する必要があるそうだ。
……さっぱり判らない。
「どういう感覚なんでしょう? 魔力の流れって」
「んー?」
ガブガブと水筒の水を飲むサザンさん。どんだけ水好きなんだ。
「鼓動に似てるかな」
鼓動?
「心臓に手を当ててご覧。脈を打っているだろう? それは当たり前で、寝ている時も、起きている時も、四六時中続いていることだ」
ふむふむ。
「魔力も同じ。普通に生きていれば意識しないうちに出来ていることだが、何せ鼓動より感じ取りにくいからね。まあ、鼓動の向こう側を感じる感覚?」
また、ガブガブと水を飲むサザンさん。あんなに飲んだら水中毒になっちゃうよ……
いやいや、そうじゃなくて、修行だ。
鼓動の向こう側……成程。
鼓動。鼓動を感じる。私の小さな心臓が小さく脈を打っている。
絶えず体を循環する血液、血液……
魔力、魔力……
自分の奥にある、魔力……?
絶えず回る魔力、魔法の根源を成す力……
いや待てよ、私のあの莫大なチート魔力が何でこんなに感じにくいんだ?
はっはーん。さてはあの巨乳女神が細工したな? 残念。そんな箍なんて外して、私は魔術チートをしてやるんだ。
「うーん。おっかしいなぁ」
サザンさんが呟く。
「何がですか?」
「いやね、さっきの硬貨、結構な魔力を纏わせたんだよ? それこそ一般人でも判るくらいに」
くそう。嫌味か?
「普通に魔力の通う人間なら気づく筈……気付かないってことは、極端に魔力が低いか、
ちっくしょー、絶対見つけてやる。
「……それとも、極端に多過ぎて、体が無意識に蓋をしている、とか」
あ、多分後者です。
蓋、蓋かぁ。それを外せば、いいのかな?




