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#11 ロリっ子が自分の魔法にドン引きする話。

 そう! 魔法だ! 魔法を使えば良いんだ!


 と、思いついたはいいものの、魔法の使い方が判らない。

 そりゃそうだよね。私、魔法使った事無いもん。前世含めて。


「ねえ鑑定さん。魔法はどうやって使うの?」


 ………………音沙汰無し。そんなにご都合主義じゃないか。

 うーん。じゃあネットサーフィン戦法で行きますか。

 まずはヴェネチカを鑑定。


【幼刀ヴェネチカ】

 触れている者の魔力を吸収し続ける剣。極限まで軽量化をしている。魔力を吸い続ける限り刃毀れしない。銘はアイリス・ペンタゴンによって刻まれた。『妖刀』と『幼女』を掛けている模様。


 これで、魔力について鑑定。

 っていうか、もはや鑑定じゃなくて検索だよなぁ、これ。


【魔力】

 世に生ける生物全てが持つ生命エネルギーや、土地特有の力の総称。魔法を発動させる際に必要とされる他、発動型魔石を使用する際にも使われる。また、生物が持つ魔力の総量は遺伝的要素に大きく由来するが、自身で枯渇寸前まで追い込む事でそのキャパシティを底上げする事が可能。また、魔力は大きく五つの性質に分かれており、火、土、水、風、木である。土地特有の魔力を俗に地域魔力や領域魔力と呼ぶが、それが特段に大きいのが十三大大迷宮及びその力の源である霊帝十三訃塔であり、その場所は世界の楔とも呼ば ▽詳しく表示


 うわぁ。急に鑑定が本気出してきた。文章量が多すぎて省略されてるじゃん。

 なんだよ詳しく表示って。多すぎるでしょ。

 こりゃあ、魔法について調べても覚え方なんて出てこなさそうだな。



 一度自分のステータスを開き、修得済み魔法について鑑定してみる。

 ビンゴだった。頭の中につらつらと文字が見える。こいつ、直接脳内に……! 状態。



 現在のスキルポイント 0

 修得済魔法 0

 初回限定無料修得可能魔法数 3

 修得できる魔法

 《火球(ファイアボール)》《回復(リカバー)》《閃光(フラッシュ)

 その他 134,678,677種 ▽詳しく表示



 これは酷い。何が酷いって、一億以上の魔法から好きなの三つ選べるって事でしょ?

 何でこの世界は魔法に関してはどうも数字がでかくなってしまうのかね。

 そしてまた出てくる▽詳しく表示。何者だよアンタ。


 じゃあ、見ていきますか……






 余裕で四時間は経ったかな。うん。あんなに高かったお日様はもう地平線の彼方だよ。

 街に戻って、外壁にもたれ掛かりながら考えていた。

 一つずつ鑑定しながら、効果とか見て行ったけど、まだ数百種程度しか見れていないだろう。

 まあ、早く魔法使いたいしなぁ、適当に選んじゃうか。

 三回修得できるっていっても、三回しか修得できないわけじゃないもんね。スキルポイント貯めりゃあいい話ってわけよ。私、ポイント貯めるのは得意なんだ。出し渋るタイプだけど。

 えっと、まず攻撃魔法はあったほうがいいよね。

 なんかすっごく強そうな、《獄炎(ヘルフレイム)》を取る。

 すると、文字がふぁ〜ってなって私の中に定着する感じがする。


 次はやっぱり回復だよね。ただでさえ体力が少ないんだもん。

 《回復(リカバー)》を選択。


 で、弱体化させるのもあったほうがいいかな。

 これは悩んだ末、《閃光(フラッシュ)》を選択。使用者には効かないという文言が決め手となった。


 ステータスを開いてみよう。



 【  名 前  】アイリス・ペンタゴン

 【  Lv.  】1

 【  種 族  】転生者

 【  職 業  】冒険者

 【  体 力  】12/12

 【  魔 力  】982008/9823

 84

 【  攻撃力  】3

 【  防御力  】4

 【  敏 捷  】34《+17》

 【  状 態  】空腹

          《北十字星の加護》

 【  技 能  】《鑑定》

          《アイテムボックスLv.Max》

 【 修得済魔法 】《獄炎(ヘルフレイム)

          《回復(リカバー)

          《閃光(フラッシュ)


 おお! 遂に私のステータスに魔法が!

 つ、使ってみたい。


 急いで街から出る。もうすっかり暗くなっていたが、ちょっとだけ、ちょっとだけなら良いだろう。


 右腕を突き出し、叫ぶ。


「出でよっ! 獄炎!」


 ………………。

 ▽しかし なにも おこらなかった状態。


 あれぇ? 鑑定によれば私は(・・)魔法の名前を言うだけでよかった筈だけどなぁ。他の人は詠唱しないとダメらしい。へへん。優越感。

 魔法を鑑定してみる。


獄炎(ヘルフレイム)

 火系統最強魔法。莫大な魔力を消費するが広範囲を焦土と化す事が出来る。


 ああ、あれか。『獄炎』じゃなくて、『ヘルフレイム』を言わなきゃダメなのか。


 じゃあ、気を取り直しもう一度。


「燃やせっ! 獄炎(ヘルフレイム)!」


 すると私の掌に力が収束していく。

 紅い炎の塊が段々と大きくなっていく。そしてそれが約三十秒程掛けてテニスボール大になった時、急に成長を止めた。


 ……あれ? これだけ?


 試しに炎球にグッと力を込めると、そこから一筋の光が打ち出された。

 その光は電車程の速さで数秒進んだ後、巨大な炎柱を立てた。

 それは確かに私から少なくとも数キロメートルは離れていたが、確かに見える程に大きい。


 炎柱が見えて数秒後、轟音が響き渡る。

 次に少し温かい程度の熱風が吹く。

 炎柱は天を衝く程に高く聳え立ち、雲を突き抜け夜空を紅に染めた。

 ギャアギャアと鳴いて森を離れる鳥達。

 獣の鳴き声も多く聞こえる。

 街からなんだなんだと声が出る。


 うわぁ……これは……やってしまった。


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