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ひょんひょろ侍 『戦国偏』 戦端開く。

ちょっと思うところがあったので、続きを書いていこうと思います。


ただ、こちらの『ひょんひょろ侍』も、今後不定期になることを御了承くださいませ。


では、おたのしみください♪


「ちょっと、儂はどの道で行けばいいんだっけか?」


 飯井槻さまからの御達しで、西の国境の西端城に赴くように指示されたはいいが、途中で落ち合う筈の肝心の『ひょろひょん』は、どこで〖散歩〗とやらに興じているのか、全く聞いていないことに茅野家直参軍二千余を率いて出陣した癖に、しばらく経ってからこのことに気付かされた抜け作の兵庫介であった。


「どうなされた兵庫介殿?」


「いやなに、大したことではない」


 兵庫介は自分のアホさ加減からくる、今更ながらの身震いに耐えながら冷汗を背中に流しつつ、茅野家直参の武将である『(きの)四郎次郎(しろうじろう)(まさ)(やす)』に、如何にも何事もなさそうな振りをしてこう応えるしかなかった。


「されど、さほど暑くもない斯様な日に汗など書かれております故、なんぞ戦に不利な事でもありましたでしょうか?」

「い、いや、特にこれと云って…」

「んん?」

「いや、誠に…」

「なるほど、解り申した」


 本当に解ってくれているのかな? それよりお前、四郎なのか次郎なのか兄弟の中で何番目になるのか儂に教えて欲しんだが。


 などと、凄まじくどうでもいいことを考えていた兵庫介の、どうでもいい思いを知ってか知らずか四郎次郎は、何を思ったか軍勢グイッと見回して不意にこう叫んだのだ。


「皆の者よく聞け! 事態は風雲急を告げておる! これより我らは飯井槻さまが御為、急ぎ西端城に赴く。良いか!」


「「「おおう‼」」」


 付近の武者共が雄たけびを上げこれに応じる。


「使番‼」

「「はっ!」」

「よいか、よく聞け。前備え後備えの者どもに申し伝えよ。我らは一刻でも早く西端城に駆けつけるとな」

「ははっ!」


 ええっ!


 兵庫介は驚くしか術はなかった。


 自身の曖昧(あいまい)な発言により、あれよあれよと事が決まってしまい、最早どうすることも出来なくなってしまっていたからだが、そこはそれ、開き直り× 切り替え〇 の速さには自信がある兵庫介は、これに乗っかろうと心に決め、使番を幾人か呼び集めるとこう申し伝えた。


「儂の勝手を申し付けてすまぬが、西端城に行く道が何本かあるのを其方らも存じておろう」

「「「はっ!」」」

「なれば其の方らに申し渡す。いいか、どこぞをほっつき歩いておる『ひょろひょん』なる飯井槻さまの直参を、儂のもとに連れて参るのだ。それとな儂らは是より(から)()(とうげ)に入る。よいか唐渡峠に参ると申し伝えよ」

「「「畏まった!」」」


 そして何事かを使番各員に申し渡すと、其々(それぞれ)、赴く先に放ったのだった。


「兵庫介殿、先程の話まことでありましょうや」


 血相を変えた四郎次郎が兵庫介に問うた。


「ん?先程のとは」


 ボンヤリした風情の兵庫介は、この表情のまま口を開く。


「先程のとは先程の話でござる。唐渡峠に向かわれる話にござる! これでは西端城から遠ざかってしまい申す。どういう御存念があってのことか、お聞かせ願いたい!」


 血が頭にまでズズイっと立ち上ったのだろう。四郎次郎の(おもて)は真っ赤になっている。


「ああ、その事か。なれば心配はいらぬ」


 そっち?と、内心兵庫介は拍子抜けしたが、だが、(こた)えてやらねばなるまい。


「あのな四郎次郎殿よ。儂の言葉を心して聞かれよ」

「はあ」

「我らは(これ)より敵の懐を突く!」

「あっ! ははっ」


 兵庫介の企みに気付いた四郎次郎は、大声で叫ぶ。


「使番!」




 こうして神鹿兵庫介が率いる茅野二千余の軍勢は、左へと急速に旋回をはじめ、速足で敵地へと向かうのであった。


やっと、戦になりそうです。


やれやれ(笑)


では、次回をお楽しみに。


ここまで読んで頂き誠にありがとうございました♪

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