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転生先は女神の家  作者: ホネット
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第2話 ケーキ

 アンナに続き階段を上る。どうやらさっき居た白い空間は地下に造られていたものらい。

「さぁ、ここが私の家よ」

 え、もう家? 驚く暇もなくアンナは目の前の扉を開き始めた。


 扉の先は部屋になっていた。木目調の壁や床、食卓テーブル、家具は白や黒色などが多く、

全体的におしゃれで落ち着いた雰囲気になっていた。

「さすが神様。センスもバッチリだな」

「当然よ。いろいろな世界の家を見て勉強したんだから」

 アンナは得意げに、また嬉しそうな顔でそう言った。分かりやすい神様だな。

「じゃぁ、さっそく目的地へ出発よ!」

 

 玄関を開けると外は西洋風な街並みが広がっていた。俺はしばらく立ち止まり街を眺めた。

 パン屋、カフェ、花屋、本屋、鍛冶屋、まだまだいろいろな店があるな。俺が呆気に取られていると

「おーい。置いて行くわよー」

 もうあんな所に。俺は急いでアンナの元へ駆け寄った。


「もう、ハヤトは驚き過ぎなのよ。いい? もっと思考は柔軟に時に気楽に。自分の持っている知識だけが世界じゃないんだから」

 確かにもう転生という俺の想像を遥かに超えた事が起きているんだ。いちいち考えていても仕方ないか。

「なぁ、そろそろこの世界について教えてくれないか?」

「そうね。じゃぁまず、ハヤトの頭がショートしない程度に教えるわね」


 


 この世界には様々な人種の人たちが暮らしている。なぜかというと、その多くが異世界から来た人たちだからだ。

 この世界で生活する人は異世界を転移し、転移先の特産物、知識や技術など身につけまたこの世界に戻ってくる。

 そして、持ち帰ったモノを生かし、自分の店を開いたり物々交換をしたりし生活をしている。

 なぜこのような形態が出来たかというとアンナの先祖の神様によって造られたのだ。先祖の神様は平等により良い

生活を人々に送ってもらいたく、自ら数多の世界を転移しながら知識を身につけ、そして広めていった。

 しかし、神様も完璧な存在ではない。いつか終わりを迎える。だから神様はこの世界を造り、人と人が、世界と世界が共に成長していくシステムを造り出したのだ。



「この世界についてはざっくり言えばこんなところかしら。」

 なるほど。まだまだツッコミたくなる所は多々あるが今は良しとしておこう。思考は柔軟に時に気楽にってね。

「さて、そうこうしているうちに目的地に着いたわよ!」

 嬉しそうにそう言ったアンナの目の前にはたくさんのケーキが並べられていた。


 ケーキ屋さんだよな? 

「あのー、アンナさん目的地ってあってますか?」

「あってるに決まってるでしょー」

 アンナはショーケースに並べられたケーキやプリン、ゼリーに夢中なっている。すると奥から髪は後ろで束ねられ、年はまだまだ若そうな女性が現れた。

「あらぁ、アンナじゃない。いらっしゃい。今日は何にす……る?」

 俺と目が合った。

「あらあらあらぁ、アンナついに彼氏出来たの!やるじゃない」

「え? ……あ。違う!ハヤトはそういうのじゃないからっ!転生者なの! 案内してるだけなの!」

 アンナは子供みたいに必死に否定する。――そんな必死に否定しなくても……。

「あらぁ、そうなんだ。残念ねぇ」「もうローザさんったら」

「はじめましてローザよ。ご覧の通りケーキ屋を営んでるわ。アンナは神様だけどドジなところもあるからこれからよろしくね」

「申し遅れました。イツキ ハヤトです。アンナの事は任せて下さい。」「あらぁ、頼もしいわねぇ」

「ちょっと、二人で盛り上がらいないでよ! ……もう。ローザさん。今日はコレとコレとコレ。あとコレもお願い」

 え? そんなに買うの?


「それじゃ」「また来てねぇ」

 お目当てのスイーツ買えご満悦なアンナとまた共に歩く。

「もうこれで用事は済んだのか?」

「……あとはハヤトの生活用品を買いに行くだけよ」

 少し赤くなりながらもアンナはそう言った。

「ってことは俺、アンナの家に暮らしていいのか?」

「い、いいわよ。べ、別に深い意味があるわけじゃないからね! 仕方なく何だからね!」

 嬉しかった。というか俺のほうこそ顔赤くなってないか? 

 しかし、そんな心配もすぐに解決した。街に夕日が差し込んだのだ。

「さぁ。暗くなる前に早く行きましょう」

 



 家に戻るころにはすっかり暗くなっていた。あの後各お店でケーキ屋と同じ様なやり取りを繰り広げていたのだ。

「もう遅いし今日は簡単なご飯にしましょう。ハヤトは先シャワーでも浴びてて」

 お言葉に甘えて先にシャワーを浴びることにする。しかし、このやり取りを聞いただけだともうカップルだよ。


 今日の夕ご飯はハムや卵などを挟んだサンドイッチとスープ。美味しい。すぐに食べ終えた。

 これからもアンナの手料理を食べられると考えると笑みがこぼれる。アンナに視線を向けるとアンナも笑みがこぼれていた。

 理由はすぐに分かった。「美味しそぉ」

 アンナの前には先ほど買ったケーキが置かれていた。品のある顔は今ではふにゃふにゃだよ。

 幸せそうに食べていたアンナはふと俺のほうを見た。

「……食べる?」「じゃぁ、一口」俺は口を開けて待つ。

「な、自分で食べさいよ!」やっぱりダメだったか。

 潔く自分で食べる。美味しい。またまた笑みがこぼれる。

「ローザさんが作るケーキは絶品なんだから!」

 アンナはそう自信満々に言う。アンナがたくさん買ってしまうのが分かった気がする。


「じゃぁ、今日はもうそろそろ休みましょう。ハヤトは2階の奥の部屋を使っていいわよ」

 二人で夕ご飯の片づけを終えたあとアンナは言った。

「アンナはまだ寝ないのか?」

「うん。まだ少しやることが残ってるから。ハヤトは気にしないで先に寝てていいからね」

「そっか。今日はいろいろありがと。じゃぁ、おやすみ」 「いえいえ。おやすみ」

 

 部屋はベットと机、クローゼットがあるシンプルな部屋だった。俺はベットに倒れこむ。

 今日だけでたくさんの発見があったな。しかしまだまだ覚えること、身につけることがたくさんあるよな。よし。明日も頑張らないとな。


 

  

 


 



 

 

 

 

 

 




 

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