お食事中失礼いたします。
私は大学の帰り道にスーパーによった。なんのことはない、夕食の材料を買うためだ。
私は大学生だが小さいころから料理が好きで、こうして一人暮らしを始めてからは暇さえあれば料理を作っている。
今日は少しいいことがあったからちょっとだけいいものを買って帰ろうか。そんなことを考えていた。
スーパーに入ると、ちょうどタイムサービスをやっていた。
ふむ、野菜と魚がお値打ちになっている。お、タマネギ安い。シメジもお値打ちね。
あ、鮭の切り身めちゃめちゃ安い!これはホイル焼きにでもするべきかしら。
結局いいもの食べようかなんてことは忘れてタイムサービス品を買ってしまうのだった。
家に帰り、さっそく料理の支度をする。
鮭のホイル焼きはしっかりホイルでくるんでおかないと中身が飛び出してしまう。
昔一回それをやってしまいぐっちゃぐちゃになったことがある。
まあ、この料理は何回も作ったので今ではそんな失敗はしない。
さて、あとはホイルに包まれた魚と付け合せの野菜を焼くだけ。
フライパンにそれ乗せると
「え、なにコレ?!あっちあっちやめてあついあついあついいいい!」
という変な声が聞こえてきた。
何事かと思いあたりを見回すも何か起こった様子もない。
空耳だったのだろうか…、私も疲れているのかな…?
できた料理と即席サラダ、昨日の残りごはんと残り味噌汁で今日の夕飯にする。
料理はできたてが一番だ。半分は残り物だけど。
一人暮らしなのでテレビで録画しておいたドラマを見ながら食べる。
「さて、いただきます」
「ちょっと待ちな御嬢さん!私を食べないで頂けるかな!」
また空耳か。今日のホイル焼きはうまくできたんだから変な空耳が聞こえてくると少し腹が立つ。
ホイル焼きに手を伸ばす。
「まったまったストップストオオオオオオッッッッッッッップ!!!!!」
「うるさいわねどこにいるのよ!」
机を思いっきり叩いてあたりを見回す。だがしかし誰もいない。
「ここだここ!俺は鮭の切り身だ!」
「はぁ?!」
確かに鮭の切り身から声が聞こえてくる。
「よーやくわかってくれたか!俺は鮭の切り身の精!さっきは熱かったぞコンチクショウ!」
鮭の切り身の精とかわけわからん。
どうやら私は疲れているようだ。もう今日は晩御飯食べたら寝ようかな。
「で、その鮭の切り身の精とやらがなんなのよ。」
「おーおー、嬢ちゃん。忘れたとは言わせねえぞ、よくも俺を火あぶりの刑にしてくれたな!しかも見えないように体全体を包みやがって!」
どうやらこの変なの、ホイル焼きにされたことにたいそうご立腹なようだ。
「いや、アンタ鮭の切り身でしょ?料理して何がいけないのよ。」
「しかもなあ、俺と一緒に包まれてたシメジたち。あいつらなんて命を…ウッ…ウッ」
なんか泣き出した。どうやらシメジの精(?)はホイル焼きにされる過程で命を落としたらしい。
「ウッ…グスン、とにかく俺はお前を許さねえ!」
「なんで?私はあなたたちをお金で買ったの。あなたたちは私の所有物よ。どうしようと私の勝手でしょ。」
「うるさい!俺ら切り身はなぁ。刺身で出されるのが一番の誇りなんだよ!」
…なにをいいだすのか。っていうかシメジはどうした。
「いいか、俺は天然のサーモンさんの体の中で育った。サーモンさんはいいやつだった。
俺はそのサーモンさんにすくすくと育てられた。将来は刺身になると思っていたんだ。
俺らは海の中でいろいろな奴らと出会い、そう教えられた。
間違っても焼かれるな。焼かれたら最後だぞとも教えられた。それがなんだ。このありさまは!
見事に騙されて焼かれてしまった。俺は貴様を許さない!絶対にだ!」
どこかで聞いたことありますねそのセリフ。
「シメジさんやタマネギさんだってそうだったはずだ。彼らだってせめて自分のなりたい料理くらいあったんだ。
シメジさんたちはすき焼きに、タマネギさんはオニオンドレッシングになりたいって夢を語ったんだ!
なのに!お前は!その夢を!無情にも!ぶち壊した!」
あーもうなんか面倒くさくなってきた。さっさと食べて明日に備えよう。
「おい聞いてるのか?え、ちょっと何するんだやめろ離…」
鮭のホイル焼きはやっぱりおいしかった。
いかがでしたでしょうか。
超!コメディでした。
コメディを書くのは初だと思います。
鮭の切り身の精の暑苦しいことといったら。
書いていてなんだか楽しかったです。
さてこれで三日連続投稿。
急に短編ばっかりなんなんでしょうね。でもシリーズ物書くより楽しいれす(^p^)
それでは次回の短編で会いましょう。




