見知らぬ世界
「んっーふぁぁ~」
体を伸ばし欠伸をした仁が周りを見渡すとそこは何にもない世界だった。
何にもないと言うのは良い過ぎかもしれない。
だが、本当に何にもない。
右には砂漠、左には砂漠、後ろには砂漠、前には砂漠
そうどこを見渡しても砂漠しかない。
仁は目の前に薄っすらと何かが光ってるのに気づいた。
それに触れて見るとこう書かれていた。
名前:ジン フォース
性別:♂
LV:01
職業:無職
装備:なし
状態:旅人
ん?何なんだ?これ?
名前が変わってるしどういう事だ?
ゲームみたいなステータスって事?
ここが、フィノって奴が言っていた別世界だってのは確実だけど・・・
どうすればいいか聞くの忘れてた。
取り敢えず身体的にどう変化してるのか確かめてみるか。
ジンは右手を振り上げてそこから地面に向かって軽く殴ってみた。
ドッゴーーーーーン
砂漠が爆ぜた。比喩はない。
本当にジンの周りの砂漠が消えていた。
「肉体的にはそんなに変わってないかな?ん?少し体が軽すぎなのが気になるけど。大丈夫そうだな」
先ほど殴った時に足が滑りそうになったのは重力の影響なのか?体の変化か?
よくわからないままジンは左の方に向かって歩き出した。
2時間後・・・・
「はぁはぁはぁ」
さすがに少し疲れてきた気がするな。
疲れたって言うより喉が渇きすぎて疲れたと感じてるだけなんだけど。
何の準備しないでこっちに来たのがまずかったと後悔し始めたジンだった。
6時間後
「おい。さすがにもう喉からからで腹減りすぎて死にそうだわ」
一人になると独り言が多くなるのは本当のようだ。
カラーンコトーン
後ろの方から小さな車輪の音が聞こえる。
ジンは後ろに向かって地面を蹴って向かった
「お頭、今日も粋な奴隷が見つかりましたね。」
坊主頭の男が馬車の中に座っている男に話しかけた
「まぁな。今日はエルフ族の娘とウルフ族の男だからな。残りの人間はまぁいつも通りだけど」
エルフ族は魔法や薬師に長けていて、女は桁違いに美人という奴隷としては高値だ。
ウルフ族は戦闘系に優れていて、男の毛並みは温かくそれを生地に服を作ったのは高く売れるんだ。
「今日は良い日っすね。ん?お頭、前から砂煙をあげて何か向かってきますぜ。」
坊主頭の男はお頭に大声で叫んだ。
「どういう事だ??」
「見つけた。おいお前等飯と飲み物よこせ」
ジンは空腹とガラガラ声で喋った。
だが、男達はジンの喋ってる言葉が理解できなかった。
いや理解できないのではなく存在しないのだ。日本語は。
「お頭、言葉が通じてないのを見るとこいつよそ者でっせ。」
「うむ。よし、後ろの鉄格子に入れて奴隷商に売るか。人間の男なんて肉体労働としてう売れるし、よし捕らえろ。」
ジンは相手の言葉は理解できていた。だけど、こちらの言葉は通じてないと理解した。
だが、ジンにはそんな事はどうでもいい。今火急に必要なのは、
食料、飲み物だった。
馬車の後ろから5人の男がこちらに向かって歩いてきていた。
ジンは右の男の顔面に拳を当てて昏倒させ、左の男の脛を右足で蹴り飛ばして倒し、前の男3人を上空に向かって軽く蹴り上げた。
落下して3人は昏倒した。
この間僅か5秒。
「ひっ・・・」
馬車の中の男が震えていた。
その時、ジンは視界に靄がかかるのを感じた。
あ、やばい。喉渇きすぎて意識保てない・・・
ジンは深い眠りに(気絶)入っていった。