魅惑のスペイン(2)
バスが停車したのはグエル公園でした。
この公園をガウディが設計したのかと思うと、疑うほど奇抜な色彩に面食らった。
そういえば、ガウディは色彩音痴だと聞いていたが、それは真実だったのか‥
しかし、絶景のバルセロナの街を一望できるこのグエル公園は、スペイン色に華やいだ美しいオブジェとして私の目に写った。
その後、念願のサグラダファミリアに到着。
教授は、すかさず 仕事中であろう友人を訪ねる為に先に入っていった。
なんと!!
そのかの有名な彫刻の巨匠は留守であったようだ。
残念だが仕方がない。
しかし、なんという建造物なのだ。
外から見上げると圧巻の頂だ。
また、複雑な彫刻の中の繊細な模様が 厳かに私たちを迎え入れてくれた。
この教会が完成するのは、随分先のことだというが、
時の流れと共に、人間の手で積み重ねていくことに未知なるロマンを感じるのであった。
午後、オプショナルツアーの一行は私たちと別れてセビリアに行った。
私たちは、ピカソの住んでいた家、街を散策した。
早々にホテルに到着した私たちは、ホテルでのんびり過ごすことにした。
ここ欧州では午後の三時間は休息タイムになるらしく 街道のショップは軒並みに店先の幌を下げお昼休みに突入したようだ。
そして街中は、人通りも疎らになるのだろうか!?
子どもたちや、お年寄りは お昼寝をするのだそうだ。
どれほど日本人が働き者であるかが分かる。
そんなことをボンヤリと思い更けながら 何やらバスルームで騒ぐ声を聞き付けた私は、急いで駆けつけた。
すると、淳が大笑いして私に転げ込み、その拍子に私は淳の下敷きになってしまった。
「どうしたの?何があったのよ~」
「ミ、ミ、ミハリが~アッハハハ!?」
「ミハリがどうしたって!?それに、ちょっと重いんだけど‥」
「アッハ!ごめん」
淳の笑いが少し治まったかと思うとミハリがバスルームから出てきて、淳の口を手で塞いで
「分かった!!分かった!!もう~みんなに言わないでって!!」
必死で淳の口を塞ぐミハリが可笑しくって 私は必要以上に聞いてみた。
「ねぇ、ねぇ、どうしたのさ」
「聞かないで、ゆきちゃん。後で こっそり教えてあげるから」
ミハリが、そう言ったところを見ると どうやら 私にだけは教えてくれるようだ。
二人の争いも落ち着き ミハリが話し出した。
ミハリが下着を洗っていたのを淳が見て笑い出したらしい。
このホテルのバスルームは、トイレと一体化している。
これは、よくある光景だが、なんと、わりとだだっ広い空間には、バスタブの横に トイレの便器とその横には 便器と同じような形体のビデだけが備え付けられていたわけだ。
つまり、そのビデが 何の役割か知らないミハリは 散っちゃな下着を手洗いする場だと思い込み、疑いもなく石鹸を片手にパンティを洗っていたのだと言う。
そりゃ、それを見てしまうと淳じゃなくとも爆笑するだろう。
日本では、まだまだオシュレットが一般化していない時代に田舎者のミハリには理解出来なくて当然だ。
「知らんかったもん」
小さな声で呟くミハリが可哀想だったが、聞いてしまった私は、淳と同様 その光景が目に浮かび 再び 部屋中 笑いの渦に包まれてしまった。