アンカレッジ経由(1)
添乗員さんから搭乗券を頂き、愈々 私たちは飛行機に乗り込んだ。
同行している教授は、私たちゼミの青木教授とデザイン科の山野教授。
36人の学生の内訳はというと、デザイン(Aクラス)、絵画(Bクラス)、染織(Cクラス)、造形(Dクラス)となっている。
チケットを見て席に着いた。
すると、Cクラスの私たちが一番先頭の席順に並んでいます。
しかも、私は通路側。
そして、私の隣は二席空いたままです。
なぬっ!?
他のツアーの人と隣り合わせに座るのかと思って‥何だか憂鬱に思っていると、
「芳川さんの隣だな〜」そう言って青木教授が私の隣を一つ空け窓際に座られた。
「先生でしたか?すると、この空いた席は、山野教授ですか?」
「いやっ、山野君は一番後ろ手に座っていたよ。添乗員さんじゃないか?」
「そうですか!」
通路を挟んで、淳やミハリがはしゃいでいるが、なんだか到着するまでの24時間 のんびりと過ごせないような〜
唯でさえ苦手な空の旅が気持ちが沈みがちになった。
「ねぇ、なんで ゆきちゃんだけが そんな席になってるの?可愛そうだよ」
私を見ながらミハリが小声で呟いた。
「ミハリ〜代わってやろうか?」
私が、そう言うとミハリは
「いくら私が男好きだからって その席は、御免だわ。ゆきちゃん、ガマンガマン」
みんな無責任だよ!!
そうこうしている内に伊藤さんがにこやかに現れた。
「芳川さん、スペインまでの空の旅、有意義に過ごしてくださいね」
「はい!どうも‥」
「私は、何かと席を立つことが多くなりますが、何かあれば遠慮なく申し付けてくださいね」
「ありがとうございます」
伊藤さんは、そう言って青木教授と、何やら打ち合わせが始まった。
(勘弁してよ〜こんな席で爆睡するわけにもいかず、地獄だよ〜!何が遠慮なく申し付けてくださいだよ!!まったく!!)
この飛行機は北回りだから欧州までアンカレッジ経由で24時間掛かる。
(まぁ、いっかぁ~気にしないで行こ~)
私の地獄の24時間が始まった。