第二話 その3
やはり僕はレモンティーが好きだ。コクのあるミルクティーよりも、さっぱりとしたレモンティーの方が好きだ。
あ、さっぱりしたレモンティーというのはやはりアイスでないと。うん、アイスは必須だな。
それと、ガムシロップは不要だと思うんだよな。ガムシロップ入れちゃうとベトつくから。レモンティーの爽やかさを損ねてしまう。
ああ、アイスのストレートティーというのも悪くないかもしれないな。
「……でもやっぱり、僕はアイスレモンティーが好きだ」
勝手に結論を出してみた。
そしてそれを聞いた春原が、
「ミルクティーの方が美味しいわよ!」
と言った。負けじと僕も、
「いいやレモンティーの方がいいね、絶対!」
「いいえ、どう考えてもコクのあるミルクティーの方が美味しいわね」
「ふん、あのさっぱりとしたレモンティーの美味しさが分からないなんて、春原もまだまだ子供だな」
ヒートアップ。
「な……っ!? ミルクティーの方が気品がある感じがするからミルクティー好きの方が大人よ!」
「……今お前、『気品がある〈感じがする〉から』とか言わなかったか?」
「う、うるさいわね、多分きっと気のせいよ!とにかく、レモンティーなんて邪道なんだから!」
「邪道だろうと何だろうと!僕は!レモンティー(コイツ)が好きなんだッ!」
「うわ、無駄に台詞が格好いい!?」
「まあ、ルビを抜いて読むと馬鹿らし過ぎて呆れるがな」
「……ところで何でわたし達、こんな事で盛り上がってるんだろう……」
「さあな……」
一気にテンションがクールダウン。
「ま、取り敢えず。そろそろ遅くなってきたから帰らないか?もう充分買っただろ?」
「うん。……じゃあ、家まで送ってくれる?」
「…ま、いいけどね」
「やった。じゃあ、早く行こ!」
ぴょんと跳ねると、春原はそわそわし始めた。軽く苦笑しながら、僕は春原に言った。
「会計済ましてからな。…先行ってていいぞ?」
そう言うと、
「ううん、わたしが払うよ。わたしの買い物に付き合って貰ったんだし」
春原もサイフを取り出そうとする。それを手で制し、
「いいよ、僕が払うから。こういう時は、取り敢えず男の顔を立てておいてくれ」
そう言うと、春原は
「…う、うん……」
戸惑いながらもサイフを仕舞う。うん、それでいい。女の子に奢ってもらうというのは、何というか……ねぇ?
会計を済ませ、喫茶店を出る。
「…春原、買い過ぎだろ……」
荷物の存在を忘れていた。いや、そこまで重くはないんだけど、嵩張るから大変持ちにくい。
「ほら、鈴木、行くよ!」
つか、自分の荷物なんだから一つぐらい自分で持てよ。
第二話・了
また遅くなってしまいました……。本当にすみません、とイツキは謝罪の意を述べてみます。
…どうもこんにちは、斎藤一樹です。のっけから変なテンションですみません。それもこれも宿題という名の憎いアイツの所為です。夏休みを返せ〜っ!
いやまあ、夏休みに遊んでばかりいたからこんな事になっているわけですが。
さて、今回のテーマは「蘭ルート発生イベント」です。基本テンションの高い元気娘な蘭は、華と比べてまた違った魅力が出せていればいいな、と思います。
因みに、ストックがあるとか言いながら、今回の話は書き下ろしでした。更新が遅れたのもその辺りにも原因があります、と言い訳してみます。
今のところ、次回掲載がいつになるかは全く持って不明です。予定では新キャラ登場、な予定でいます。
…そこまで話が進むと、いいなぁ……(溜め息)。行かなかった場合は、恐らくまた書き下ろしになると思われます。
乞うご期待!! と言うことにしておいてください。