第六話 その3
─曲終了─
「そういえばこの[perfect-area complete!]、一人では演奏することが不可能だって話知ってる?」
「え、そうなんですか?」
「らしいわよ?ホントかどうかは知らないけど」
「耳コピで簡略化したヤツなら出来たぜ?」
「こ、暦先輩、ピアノ出来たんですか?」
「おう、そこそこな」
「は、初耳ですっ!」
「んで、どんぐらいの完成度?」
「ん、ホイッスルの音とかまでは流石にそっくりとはいかなかったけどな。まあそこも大体似せた。そこそこそれっぽくなっていると思うぜ?」
「暦君、ピアノ本当に上手いよね〜」
「まだまだ。あくまで『そこそこ』っていうレベルだからな」
「いや、弾けるっていうだけで充分すごいわよ。私には無理ね」
「んじゃ、話を進めようぜ。次のお便り行くぞ。ほら猫島、パス」
「はうっ!?あ、あたし、ですかぁっ!?」
「ああ、そのためのこの番組だろう?」
「そ、それは建前じゃ……」
「無駄よ美玖ちゃん、暦君はあっさり騙されやすい事で有名なのよ」
「そ、そうだったんですか!」
「だ、騙されやすいのか?俺……」
「竜にしろ暦にしろ、根が善い人過ぎるのよ!」
「そこで責められるとは全くもって思ってもみなかったな」
「とりあえず猫島、葉書を読め。埒が開かない」
「は、はいっ、酢飯先輩っ!」
「『す』しか合ってねえぞ!?とにかく、読め!」
「わかったです!PN.碧眼のシャナ、さんからです」
「名前からしてギャグの匂いがするな…」
「ぎりぎり伏せ字にしなくて済むレベルですね」
「際どいわね……」
「猫島、気にせず続き読め」
「はい。……えっと、皆さんの中で、最近面白い出来事はありましたか?あったら教えてください」
「うーん、面白い出来事、ねえ……」
「何かこう、困ったときの常套句みたいな感じの質問ですよね、これ」
「でも、何げにハードル高いわよね、こういう質問って。答える側のセンスみたいなのが試されている気がする」
「あぁ、何となく分かる気がします……」
「さて竜、何か無い?」
「僕ですか?うーん、最近は特には……。あ、そういえばこの間、父親の頭に十円ハゲを見付けたぐらいです」
「お父さん、よほどストレス溜ってるのねぇ……」
「いや、そんな眼で視られても。僕が原因じゃないですからね?一応言っておきますが」
「こうゆーのって、自覚無いことが多いのよねぇ〜」
「むしろ、自覚が無いだけ質が悪いかもです」
「っだーーっ、一体何なんですか全くっ!!」
「……別に理由なんかないわよ??」
「むっきぃやぁぁぁァあぁぁあアっッ!!」
「さて、竜が程よく壊れたところで、エンディング行くわよ!」
「……程よいか?これ……?」
「……社会復帰できるか心配になるレベル」
「さ、さあ、エンディングはこの曲!『LEVEL5-Judgelight-』!」
「しかしアニソンばっかだな、この番組……」
「キシャァァアァァアッ!!」
「ち、ちょっと華ちゃん!竜君、本格的に壊れてきたわよっ!?」
「そ、それではまた明日〜っ!!」
────(ED)────
―第三話・了―