第五話 その1―Side:Ryuuya―
前話から二ヶ月以上の間が空いてしまいました。申し訳ありません!土下座の準備は出来ています、しかし画面の前で土下座をしたところで、読者の皆さんには見えないというジレンマ。
それは何の変哲も無い、平凡でありふれた僕の日常の中で起こった、一つのイレギュラー。本来ならば起こるはずが無かった、完全に想定外の出来事。
なんて。
色々と回りくどく、遠回しに言ってはみたけれど。
詰まる所、彼女の登場が僕の日常を少しだけ、変えてしまったと言う事だろう。
朝、教室に入ると、クラスメイトの坂東が話し掛けてきた。
「なあ鈴木、知っているか?」
「なにをだよ」
「今日、うちのクラスに転校生が来るらしいぞ?」
「へえ。それは知らなかった。男?それとも女?」
「女だよ、それもかなりの美少女」
「ほう。実際に見たのか?」
「応よ。朝、職員室に入っていくのを見たのさ」
「それで、どうして僕らのクラスだと分かる?」
「うちの担任が案内してたからな」
「臨時で案内してたのかもしれないぜ?」
「…う……。まあそうかもしれないけどさあ…」
「それはそうと利根川、」
「利根川言うな」
「いいじゃん、僕はいいあだ名だと思うぜ?フルネームが坂東太郎だから利根川。筑紫次郎って奴と四国三郎って名前の奴探して、日本三代河川とでも名乗ったらどうだ?」
「勘弁してくれ…」
「で、その美少女転校生とやらはどんな感じの奴だった?」
「金髪で、」
「ほう?」
「頭の両サイドで髪を縦ロールにまとめていて、」
「金髪の縦ロール?」
「ああ。それがどうかしたか?」
「いや、別に。そんな知り合いに心当たりがあっただけだ」
「お?じゃあそいつか?」
「いや、あいつは確か今アメリカに居たはずだ」
「何だ、つまらん」
「何だとは何だ、何だとは」
一人憮然としていると、春原が話し掛けてきた。
「お、おはよ、鈴木。何で今朝はこんな騒がしいの?」
「おう、おはよう春原。何か、転校生が来るらしいぜ?」
答えると、
「転校生?この時期に?」
春原は不思議そうに言った。
「ああ、この五月に転校ってのもおかしな話だよな。ところで春原、顔が赤いけど大丈夫か?」
熱でもあるのかと思い、春原の額に手を当ててみる。
すると、
「うひゃうっ!」
春原が変な声を出した。
「だ、大丈夫か、春原!?何かどんどん熱くなって…おい、しっかりしろ!」
しかし春原は返事をしない。
「おい、春原?大丈夫か!?春原っ!?」
尚も呼び掛け続けていると、同じくクラスメイトの尾島由比〈おじまゆい〉がやって来て言った。
「鈴木クン、蘭のことはうちらに任せて?ね?」
少なくとも男である自分よりは適任だろう、と思い、僕は有り難くその申し出を請ける事にした。